
事例を見る:Case15「桜と中庭の家・東京都北区」
北側斜線をどうかい潜るか?を頑張ってみた家なんです。
高さ制限という、厄介、でも街の環境を守って行くのに大切な、法規制が有るんです。高い建物を立てると、お隣さんが影ばかりになったり圧迫感を感じたりするのを避ける為に規制をしている、とっても素敵な法律・条例なんですが。。。。。。
家、建てる側としては、結構厄介。
特に都心部の小さな敷地だと、ダイレクトにその影響を受けてしまい小さな家しか建たなくなってしまうんです。
北側斜線に係らない様にする、方法は単純です。
高さを低くする事。
そう、魔法の方法!!は無いっす。
え~そんなの当たり前じゃんと言わないで。
どう高さを抑えるかが、腕の見せ所。
・半地下にして建物をちょっと地面に埋める。
・各階の階高を低くする。
(でも天井高さはキープかつ、開放感を感じる仕掛けをする)
そうすると、あら不思議、本来2階建てしか建たない敷地に、3階が建ち、更に屋上まで作ってしまえた。。。
実際はかなり悪戦苦闘して設計した、汗と涙の結晶です。いや泣いては無いか。盛りすぎでした。

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半地下にして北側斜線をクリアする方法
北側斜線制限は、住宅や建物の高さが隣接する北側の敷地の日照を妨げないようにするために設定された制限です。特に都市部ではこの制限により、建物を高くできないことがあります。そこで、半地下の設計を活用することで、北側斜線制限をクリアしながら有効な空間を確保することが可能です。
半地下のメリット
半地下は、地面よりも低い位置に建物の一部を設置する設計方法で、以下の利点があります。
建物の高さが抑えられる:半地下にすることで建物の全体の高さを低くし、北側斜線制限に対応できます。地上部分の高さが低くなるため、日照を妨げることなく、建築物のボリュームを維持可能です。
有効活用スペースの確保:地上階のフロアを確保しながら、地下にリビングや寝室、収納スペースなどを配置することで、全体の延床面積を増やせます。
地下室としての機能:断熱や防音効果が高い地下部分を活用することで、外部の騒音や気温変化に強い空間を作ることができます。また、地下部分を収納やワークスペース、プライベート空間として使うこともできます。
半地下設計の具体例
ステップ1: 地盤面の設定
建物の一部を地盤より下に設置するため、まずは地盤面をどのように設定するかが重要です。半地下にする際は、建物全体の高さが地上からどれだけ見えるかが制限されるため、地盤面を意識して設計することが重要です。
ステップ2: 北側斜線制限の影響範囲を確認
半地下にすることで、地上階部分の高さが低くなるため、北側斜線制限にかかる部分が減ります。これにより、地上階を効率よく設計でき、余分なセットバックを避けることができます。
ステップ3: 採光と換気の確保
半地下は自然採光や換気が難しい場合があるため、通風口や採光窓を設ける設計が必要です。地上階との連続性を持たせた階段や中庭を設置することで、地下部分でも快適に過ごせるように工夫できます。
注意点
水はけ・防水対策:地下部分は雨水がたまりやすいため、排水や防水対策が不可欠です。排水ポンプや適切なドレインシステムの設置が必要です。
建築基準法との適合性:半地下を採用する場合、建物全体の高さや敷地の状況に応じて、地域ごとの建築基準法を確認する必要があります。特に地盤面の設定に関しては、自治体の条例やガイドラインに従う必要があります。
半地下を上手に活用することで、北側斜線制限に縛られることなく、広い居住空間を確保することができます。

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北側斜線とは
北側斜線は、日本の建築基準法に基づく規制の一つで、建物の高さ制限を定めたルールです。この規制の目的は、隣接する敷地(特に北側の敷地)に対する日照や通風を確保し、住環境の悪化を防ぐことにあります。北側斜線制限を超える高さの建物を建てることはできません。
北側斜線の基本的な考え方
北側斜線制限では、建物が北側隣地の日照を妨げないよう、一定の斜めのライン(斜線)を引いて、その斜線の内側に建物を収める必要があります。具体的には、北側の敷地境界線から一定の高さと角度を持つ斜線を設定し、建物がその斜線の中に収まる形で設計することが求められます。
北側斜線制限の計算方法
北側斜線の角度や高さの基準は、建物の所在地(用途地域)や敷地の地盤面の高さによって異なります。以下がその一般的な計算方法です。
1. 起点となる敷地境界線
北側斜線の起点となるのは、北側に隣接する敷地との境界線です。そこから建物の高さが制限されます。
2. 基準高さ
敷地境界線から高さがどの程度まで許容されるかは、建物の用途地域や建設場所の高さにより異なります。たとえば、第一種低層住居専用地域などでは、比較的厳しい制限が設けられています。
3. 斜線の角度
北側斜線制限では、敷地境界線から一定の角度で斜線が引かれます。この角度は用途地域によって異なり、一般的には1:1.25(高さ1mにつき、敷地境界線から1.25m後退)の斜めのラインを設定します。つまり、敷地境界線からの距離が遠いほど、建物を高くすることが可能です。
北側斜線の適用例
たとえば、敷地境界線から建物の屋根や壁が高さ10m以上になる場合、その高さ部分が北側斜線制限に抵触している可能性があります。この場合、建物を北側に向けてセットバックする、あるいは建物を階段状にデザインして高さを調整する必要があります。
用途地域と北側斜線の関係
北側斜線制限は、主に住居系の用途地域(第一種・第二種低層住居専用地域など)で厳しく適用されます。一方、商業地域や工業地域では適用されない場合が多く、建物の高さ制限が緩和されています。
北側斜線制限をクリアするための設計テクニック
セットバック:建物を敷地の北側境界から距離を置いて設計することで、斜線制限に抵触しないようにします。
階段状のデザイン:建物を階段状にして、北側に向けて高さを徐々に低くするデザインが一般的です。
半地下の活用:地上部分の高さを抑えるため、地下部分に空間を設け、地上部分は低くする工夫ができます。
屋根の形状を工夫:建物の屋根を斜めにしたり、勾配を工夫することで、北側斜線制限をクリアしやすくなります。
例外や緩和措置
一部の地域やケースでは、北側斜線の規制が緩和される場合もあります。例えば、道路が高い位置にある場合や、隣接地が特定の用途地域に該当する場合などです。これにより、地域の特性に応じた設計ができるようになっています。
北側斜線制限を理解することで、日当たりや通風を確保しつつ、建物を効率よく設計することが可能になります。

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梁型をつくり、階高を小さくする方法
梁型(はりがた)を工夫して階高を小さくする方法は、建物の高さ制限やスペースの制約をクリアしながら、建物の強度や構造を保つための設計手法の一つです。梁型の設計を工夫することで、天井の高さを確保しつつ、全体の階高を抑えることが可能になります。
梁型とは
梁型とは、建物の構造において、床や屋根を支える横向きの構造部材である「梁(はり)」の形状や配置を指します。梁は建物の重量を支えるために重要な役割を果たし、床や天井の高さ、空間の使い勝手に大きく影響します。
梁型を工夫して階高を小さくする方法
フラットスラブ構造を採用するフラットスラブ構造は、梁を床と一体化させた設計で、梁を目立たなくする方法です。この設計では、梁がないか、非常に薄いため、天井がフラットに保たれ、階高を抑えることができます。梁を見せる必要がないため、天井高を最大限に確保しつつ、建物の全体高さを抑えられます。
梁の高さを抑える(小梁の使用)通常の梁よりも小さな「小梁」を使うことで、階高を抑えることができます。小梁は大梁に対して短く細いため、天井高を確保しやすくなります。ただし、小梁を多く配置すると、天井に梁が見える部分が増えるため、デザイン面では注意が必要です。
落し梁を使う落し梁は、通常の梁よりも下がった位置に取り付けられる梁です。これにより、構造上の強度を保ちながら、天井を比較的フラットに保つことができます。落し梁を活用すれば、梁が天井高に干渉せず、空間を広く感じさせることができます。
隠し梁(インビジブル梁)を使う隠し梁は、天井に埋め込んだ形で設置される梁で、天井の高さに影響を与えずに構造を支える方法です。これにより、目に見える梁がなく、天井がフラットに保たれるため、階高を抑えつつも天井高を確保できます。
梁を壁と一体化させる(耐力壁を併用)耐力壁を併用することで、梁にかかる負担を軽減し、梁のサイズを小さくすることができます。壁を強化することで、梁の高さを抑えながら、建物の耐震性や構造強度を保つことができます。この手法は、梁を目立たせずに建物の強度を確保するための一つの方法です。
ダブルスラブ構造の採用ダブルスラブ構造は、二重の床構造を作り出すことで、天井部分と床部分を独立させ、梁の影響を最小限に抑えられる設計です。この方法では、梁の高さを気にせずに階高を抑えることができますが、施工やコストが増加することも考慮する必要があります。
梁型を工夫する際の注意点
構造の強度:梁の高さや配置を工夫して階高を抑える際でも、建物の構造強度や耐震性を保つことが重要です。特に地震に強い設計を考慮する場合、梁のサイズや配置は慎重に設計する必要があります。
天井のデザイン:梁を見せるか隠すかによって、室内のデザインが大きく変わります。例えば、あえて梁を露出させるデザインにすることで、インテリアのアクセントとして活かすことも可能です。
施工コスト:フラットスラブ構造や隠し梁、耐力壁を併用する場合、一般的な構造に比べて施工が複雑になることがあり、コストが増加する可能性があります。
階高を小さくするメリット
建物全体の高さを抑える:特に都市部では、建物の高さ制限が厳しいため、階高を抑えることで制限内に収めやすくなります。また、北側斜線制限などをクリアするためにも、階高の低減が役立ちます。
省エネ効果:階高が小さくなることで、空調効率が向上し、冷暖房の省エネ効果が期待できます。特に冷暖房の効率化は、年間を通じて光熱費の削減にも繋がります。
梁型を工夫し、階高を小さくすることで、効率的なスペース活用と建物デザインの柔軟性を持たせることが可能です。また、建物の高さや制限に対応しつつ、快適な居住空間を実現できる設計が求められます。

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天井高さを最小限にする事で、建物の高さを低くする
天井高さを最小限に抑えて建物全体の高さを低くする方法は、階高の効率化と空間の最適化を組み合わせることで実現できます。建物の高さを抑えることで、特に都市部での厳しい高さ制限や北側斜線制限に対応しやすくなるため、設計上のメリットがあります。
以下では、天井高さを最小限にして建物全体の高さを低くするための具体的な方法について詳しく説明します。
1. 階高と天井高のバランスを考慮
階高(かいこう)は、床から上の階の床までの高さを指します。これを抑えることで建物全体の高さを低くできます。天井高は階高の一部で、居住空間の高さを指します。
2. 天井高さの最小化方法
天井高さを最小限に抑えるためには、以下のポイントに注意することが重要です。
a. 必要最低限の天井高を確保
居住空間としての快適さを保つため、天井高さには限界があります。日本の建築基準法では、居室の天井高は2.1メートル以上と定められていますが、通常は2.4メートル前後が快適とされています。天井高さを最低限に抑えつつ、快適さを損なわない高さを維持することが重要です。
b. 部屋ごとの最適な天井高を調整
各部屋の使用目的に応じて、天井高さを調整することで、建物全体の高さを抑えられます。
リビングやダイニング:開放感を持たせるために少し高め(2.4~2.6m)に設定することが一般的ですが、最小限の高さで設計するなら、2.2m~2.4m程度でも十分に快適な空間が作れます。
寝室や収納スペース:あまり天井高が必要ないため、2.1m程度に抑えることで全体の階高を削減できます。
c. スキップフロアや中二階の利用
スキップフロアや中二階を利用することで、上下に分割された空間を効率的に使うことができ、天井高さを抑えつつも空間を広く感じさせることができます。この方法では、必要な部分にだけ高い天井を設けることができ、無駄なく空間を活用できます。
3. 梁型の工夫で階高を低くする
梁型の設計を工夫することで、天井高を抑えながら建物の強度を維持することができます。次の方法を活用すると、階高の無駄を省き、全体の高さを抑えることができます。
a. 梁の露出を避ける
天井に梁を露出させると、その部分の天井高が下がるため、梁を隠し梁にするか、薄型の梁を使うことで天井をフラットに保つことができます。これにより、天井が全体的に低くても圧迫感が減ります。
b. フラットスラブ構造
梁をなくし、スラブ(床板)自体で荷重を支えるフラットスラブ構造を用いると、天井をフラットにでき、梁の分の高さを節約できます。これにより、階高を小さく抑えながら快適な室内空間を確保できます。
4. 床と天井の厚みを最小化
床や天井の厚みを最小限にすることで、建物全体の高さをさらに抑えることができます。
a. 軽量構造材の使用
軽量のコンクリートやスチール材を使って床や天井を構成することで、厚みを抑えつつ十分な強度を確保できます。
b. 二重床や二重天井を使わない
二重床や二重天井を使う場合、それらの構造の厚みが階高に影響を与えるため、できる限りそれらを省略し、シンプルな構造にすることで、階高を抑えることができます。
5. 空調や照明の工夫
天井高さが低くなると、エアコンや照明の設置位置や方法も工夫が必要です。効率的に空調や照明を設置することで、天井高さを抑えつつ快適な空間を保てます。
a. 埋め込み型の照明を使用
天井に埋め込み型のダウンライトや間接照明を採用することで、天井の高さを有効に活用し、圧迫感を軽減します。天井に照明器具が飛び出すことがないため、低い天井でも広がりを感じられる空間が作れます。
b. 空調ダクトを天井に埋め込む
空調設備のダクトを天井に埋め込むことで、天井に余分な高さを取られず、部屋全体を効率的に冷暖房できます。
6. 勾配天井を採用する
天井を一部勾配にすることで、必要な部分だけ高さを確保し、全体としては天井高を抑えられます。勾配天井は視覚的に広がりを感じさせるため、実際の高さ以上に開放感を演出することができます。
7. 床下収納や小屋裏収納を活用
天井高を抑えた空間において、収納スペースを確保するために、床下収納や小屋裏収納を活用することも有効です。これにより、収納のために無駄に天井高を上げる必要がなくなります。
天井高さを最小限に抑えることで、建物全体の高さを低くし、敷地条件や法的な制限に対応することができます。これには、以下のような工夫が有効です。
必要最小限の天井高さを部屋ごとに設定
梁型を工夫して天井をフラットにする
床や天井の厚みを抑える構造を採用
埋め込み型の照明や空調を活用
勾配天井やスキップフロアで空間を広く感じさせる
こうした方法を組み合わせることで、建物の高さを抑えつつ、居住空間としての快適さを維持することが可能です。
住まいの設計・計画の解説
→収納計画
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