t-ogino
ブルーモーメントでの撮影に映る、建築の外観と空間設計
建築写真では、夕景という日が沈む一瞬の青い光( ブルーモーメント )に満ちた時間に、建物の外観を撮ります。
設計者の私も、この夕景写真 が好きで、必ずカメラマン に撮って貰う。
夕景の良さの一つは、外観の素材感 が無くなり、より建物の造形美が分かりやすく、映し出されるところ。
そこで、夕景写真から建築設計 をする過程で、何故こんな形の家や建築を考えたか解説していきます。

|Photo by 吹き抜けが心地よい、緑の内科クリニック|
まず最初は、
「リラックスする待ち時間 / 吹き抜けが心地よい、緑の内科クリニック」
建物の真ん中が上に高く伸びている、2階建ての様に見える、形ですが、実は、平屋 のクリニック。
ロードサイドに有るこのクリニック。
周辺の住民や車で通る人にも、クリニックが有りますよと認知して欲しい。
でも、でかい看板 なんて野暮なものは建てたく無い。
そこで、建築自体をサインにしてしまおうと考えたのが、真ん中が2階の様に高くなっている 造形。
この高くなっている場所の内部は、2枚目の写真の待合室の吹き抜けになっている。
患者さんで混んでいて圧迫感を感じ易い病院 の待合い を、開放感 を感じ居心地の良い空間にする為の、吹き抜けだ。
心地よい吹き抜け+サイン
この二つを満たす為の、二階建ての様な平屋の造形です。

2つ目は、
「屋上テラスと中庭が生む、余裕のある暮らし/中庭が街をつくる、テラスハウス」
住戸数、7住戸の集合住宅です。
敷地の真ん中に大きな広場の様な、誰でも使える中庭が有り、各住戸の中にもプライベートな中庭がある、中庭in中庭な集合住宅。

1枚目の写真は、奥に見える中庭には向かうプロムナード部分です。
敷地を東南側から西北側へ通り抜ける、プロムナードと中庭の関係が、小さな街を作り出しています。
それぞれの住戸には、ルーフバルコニーが有り2階のテラスになっている為、建物が立体的に凹凸がある形が複雑に積層されています。
この事で、南ヨーロッパの島の斜面地にある様な、形の複雑な小さな街のイメージがより強くなっています。

3っつ目は
「猫と人が、心地よい / 猫と住む、中庭のある集合住宅」
建物の真ん中に中庭が有り、光が降り注ぐ明るく 開放的な空間が広がる集合住宅ですが、 外部からはその様相は全く感じられ無い、ディフェンシブ な外観 。
住宅密集地の狭い敷地 、セキュリティーとプライバシー確保の為、覗かれ無い、こっち見るな!というフェイス のデザイン をしました。
バルコニーが作るC の字型 の立面 の形と、グレー の下見板が、道路から見て、一枚面のレイヤーをつくる事で、ディフェンス感と共に、奥行き が有り立体感があるファサード になりました。
