木の質感にも色々あって、さりげない木・主張し過ぎない木の質感も良いなと思っています。「さりげない木」の優しく美しい空間を創り出す仕上素材として、ラーチ合板(構造用合板)を使っています。「モダンな木の空気感」を感じる素材です。
ラーチ合板(構造用合板)とは
構造用合板というのは、本来建築物の床や壁、屋根など、構造材として使用する合板です。木材の薄板を重ね合わせて作られる素材で、木の繊維方向を90度変えて交互に重ね合わせることで板の強度を高めています。構造用合板のうち針葉樹を使って作っているのがラーチ合板で、サラッとした表情が特徴的です。
ラーチ合板(構造用合板)を仕上素材に選ぶメリット
ラーチ合板は、美しい木目や色合いが特徴的で、その柔らかくマットな質感や木目の美しさから、北欧スタイルなインテリアにもなる素材です。ちょっと荒いけれど、針葉樹系の木材で木目の質感がサラッとした風合いが主張し過ぎない空気感をつくってくれます。また元々仕上材では無く構造用の下地材な為、比較的安く、また本来構造材ですので構造強度を増す事ができます。
ラーチ合板(構造用合板)を仕上素材に選ぶメリット
元々仕上材では無く、構造用の素材ですので表情が荒く、製品としての印字(製品名を黒く記載)されておりそのままでは使えません。そこで合板の表面を研磨することで、表面の傷や汚れを取り除き、印字を消します。また、表面を薄っすら塗装することで、耐久性を持たせます。このちょっとした工程が入る事で、美しい木目の仕上材に変わっていきます。
表面をサンダー(ヤスリ)をかけると、板表面の粗さが削れ、優しい質感になります。保護用の浸透系の塗料で塗ると風合いを変える事もできます。木だけだと、ちょっと鬱陶しいので、差し色に白い壁面をつくるもの良いかな。
ラーチ合板を使ったリフォーム・リノベーション事例
「リノベーション・アパートメント」では、壁の構造補強材+仕上として、また天井材としてラーチ合板を使っています。表面をサンダーで研磨した上に自然由来と浸透系オイルを沁み込ませています。白色の染料を少し入れているので、薄っすら白い色が掛っています。
こんな方にはラーチ合板がオススメ!
静かで柔らかい北欧モダンのデザインが好きな方には、ラーチ合板仕上はお勧めで
す。山小屋の木の粗々しさや、和風建築のスキのない木の表情とは違い、優しい美し
さに満たされた建築ができあがります。
ラーチ合板について
ラーチ合板(ラーチごうはん、Larch Plywood)は、主にラーチ(カラマツ)材を使用した合板の一種です。ラーチは、針葉樹の一種で、強度が高く耐久性があるため、建築や家具の材料として広く使われています。以下にラーチ合板の特徴や用途について詳しく説明します。
特徴
強度と耐久性
ラーチは木材の中でも特に強度が高く、重いものや高い圧力に耐えることができます。したがって、ラーチ合板も耐荷重性が高く、構造用材料として優れています。
耐水性
カラマツの木は耐水性に優れており、ラーチ合板も湿気に強いのが特徴です。このため、外部に面する箇所や水に接する環境でも使用できます。
美しい木目
ラーチは特徴的な木目を持っており、自然な見た目が好まれます。表面が美しいため、ラーチ合板はそのまま仕上げ材としても利用されることが多いです。
硬度
ラーチ材は硬度が高いので、耐久性のある合板が必要な場面に適しています。例えば、床材や外壁の下地材としてよく使用されます。
加工のしやすさ
合板であるため、加工が容易であり、さまざまな形状に切り出すことができるため、住宅や建築プロジェクトに適しています。
用途
構造材
ラーチ合板は耐荷重性が高いため、住宅の壁や床、屋根の下地材など、強度が求められる箇所で使用されます。
外装材
耐水性と耐久性を活かし、外装に使用されることもあります。特にラーチ合板は、外壁やベランダの床材など、外部環境に晒される場所で使われます。
インテリアの仕上げ材
ラーチ合板は見た目が美しいので、家具や内装の仕上げ材としても利用されます。特にナチュラルなインテリアデザインに向いています。
建築現場での一時的な足場や型枠
強度があるため、建築現場での一時的な型枠や足場材としても活躍します。
メリット
強度と耐久性が高い
耐水性がある
美しい木目で仕上げ材としても利用可能
加工が容易
デメリット
他の合板と比べて重いため、取り扱いがやや難しい場合がある
高強度であるため、他の種類の木材と比べて価格が高い場合がある
ラーチ合板は、強度や耐水性、見た目の美しさを重視するプロジェクトに最適です。特に、住宅の構造材や仕上げ材としての利用が一般的です。
ラーチ合材を仕上素材として使う、注意点
ラーチ合板を仕上げ素材として使用する際の注意点について、以下の点に細かく説明します。ラーチ合板は美しい木目や耐久性が魅力的ですが、その特性に応じた適切な処理や配慮が必要です。
1. 表面仕上げ
塗装やニスの選択
ラーチ合板をそのまま仕上げ材として使う場合、木材の質感を活かすためにクリアな塗装やニス仕上げが一般的です。ただし、ラーチ合板は比較的硬度が高く、表面が荒い場合があるため、事前に表面を丁寧にサンディングして滑らかにする必要があります。
シーリング
ラーチは自然素材であるため、湿気や乾燥による膨張・収縮が発生することがあります。特に屋外や湿気の多い場所で使用する場合は、適切なシーリング処理を施し、水分が浸透しないように保護することが重要です。
2. 木目のムラや節
木目の一貫性
ラーチは自然の木材なので、木目にムラがあることが多く、節が目立つ部分もあります。これがナチュラルな美しさを生む一方で、均一な見た目を求める場合には向いていないことがあります。節や木目の不規則さを避けたい場合は、品質の高いグレードのラーチ合板を選ぶことを検討するとよいでしょう。
節の処理
節がある部分は、長期間使用するうちに木が収縮し、穴が開く可能性があります。節の部分は、適切に補修材で埋めるか、節の少ないラーチ合板を選ぶのが望ましいです。
3. 環境要因による変形
湿気と乾燥に対する対策
ラーチは耐水性があるとはいえ、湿気や乾燥による膨張や収縮が起こる可能性があります。室内で使用する場合でも、湿度の変動が大きい場所(浴室やキッチンなど)では、特に注意が必要です。使用前にラーチ合板に防湿コーティングを施すか、湿度管理を徹底することが重要です。
屋外での使用
屋外に使用する場合は、UVカット塗料や防腐剤を使用して、日光や雨風による劣化を防ぐことが必要です。ラーチ自体は強度が高い木材ですが、適切なメンテナンスがなければ、表面が劣化しやすくなります。
4. 重量
取り扱いの難しさ
ラーチ合板は他の合板と比較して重量があるため、施工時の取り扱いに注意が必要です。特に高所での取り付けや大きな面積での使用には、適切なサポートや補強が必要となることがあります。壁や天井への取り付けの場合は、下地の強度も確認しておくと安心です。
5. 施工時の接合方法
釘やネジの選定
ラーチは硬いため、釘やネジを打ち込む際に表面が割れやすいことがあります。施工時は、先に下穴を開けてから釘やネジを打ち込むといった方法を取ると、割れを防ぐことができます。また、強度を保ちながらも、適切な固定ができるよう、適切なサイズと種類の釘やネジを選定することが重要です。
接着剤の選択
ラーチ合板は表面が硬い分、接着剤の浸透が難しい場合があります。高強度の木工用接着剤を使用し、事前に試し張りを行うことで、しっかりとした接合ができるか確認することが推奨されます。
6. メンテナンス
定期的な再塗装
ラーチ合板を仕上げ材として使用した場合、特に屋外で使用する際は、定期的に再塗装や防水処理を行うことが重要です。日光や雨風によって塗膜が劣化し、合板自体が損傷することを防ぐために、適切なメンテナンススケジュールを組む必要があります。
汚れや傷の対策
表面が美しいラーチ合板は、その美しさを保つために、日常のメンテナンスが必要です。汚れや傷がついた場合は、速やかに処理し、必要に応じて表面を再仕上げすることが推奨されます。
7. コストと品質
コスト管理
ラーチ合板は強度と耐久性が高いため、他の合板よりもコストが高いことがあります。コストに応じてグレードを選び、品質に見合った適切な用途で使用することが重要です。
ラーチ合板を仕上げ材として使う場合、特に美しい木目を活かしながら耐久性を保つためには、塗装・防水処理、適切な施工技術、環境に応じた管理が不可欠です。また、定期的なメンテナンスを行うことで、長期間にわたってその美しさと機能を維持することができます。
構造用合板とは
構造用合板(こうぞうようごうはん)は、主に建築の構造部分に使用されるために設計された合板です。複数の木材の薄い層を直角に積み重ねて接着することで作られ、耐久性や強度が必要とされる場所に使用されます。構造材としての役割を担い、住宅や建物の床、壁、屋根などの下地材として広く使われています。
特徴
強度と耐久性
構造用合板は、荷重を支える構造材として使用されるため、一般的な合板よりも強度が高く設計されています。木材の繊維方向が交互に配置されることで、ねじれや曲がりに対する耐性が増し、全体の強度が向上します。
耐震性
建物の構造体に使用されるため、耐震性や耐風性が求められます。構造用合板は、地震や台風などの外力に対して、建物全体の剛性を高め、力を均等に分散する役割を果たします。
耐火性
木材そのものは燃えやすい素材ですが、構造用合板は耐火性能を持つ製品も存在します。これは、合板の厚さや特別な処理により、一定の時間火災に耐えるように設計されています。
湿気に対する耐性
構造用合板には、湿気や水分に強い接着剤が使われており、外部や湿気の多い場所でも使用可能です。特に、防湿処理を施した合板は、湿気による膨張や劣化を防ぐことができます。
安定性
木材単体と比べて、構造用合板は湿度や温度の変化に対する寸法安定性が高いです。木材が縮んだり膨らんだりする性質を、層ごとに互いに打ち消し合うことで、形状が安定します。
製造方法
構造用合板は、いくつかの工程を経て製造されます。
木材の剥ぎ取り
丸太を薄いシート状に剥ぎ取ります。この剥ぎ取られたシートを「単板」と呼びます。
単板の積層
単板を繊維の方向が交互になるように重ね、接着剤で固定します。このプロセスにより、合板の強度が向上します。
プレス加工
単板が接着剤で固定された後、高温・高圧のプレス機で圧縮して一体化します。この工程により、合板は耐久性と均一な厚みを持つ板材に仕上がります。
種類
構造用合板には、いくつかの種類があり、用途や性能によって選択されます。
ラワン合板
東南アジア産のラワン材を使用した合板。強度が高く、建築や家具製作にも使われます。
ラーチ合板
カラマツ材を使った合板で、耐水性や強度に優れています。特に屋外の構造材に使われることが多いです。
針葉樹合板
スギやマツなどの針葉樹を使った合板で、コストが抑えられるため、住宅建築で一般的に使用されています。
OSB(Oriented Strand Board)
大きな木片を方向性を持たせて積層・圧縮して作られた合板。構造用として強度が高く、耐水性もあります。
用途
構造用合板は、以下のようなさまざまな建築分野で使用されています。
床材の下地
構造用合板は、住宅の床の下地材として使用されます。耐荷重性が高く、長期間の使用に耐えるため、フローリングやカーペットの下に敷かれることが多いです。
壁や天井の下地
壁や天井の骨組みの強度を保つために使われます。また、断熱材を設置する際の支持材としても利用されます。
屋根の下地
屋根材を取り付ける際の下地として使用され、建物の全体的な耐風性を強化します。
耐震壁や耐力壁
構造用合板は、地震や台風の際に建物を補強するための耐震壁や耐力壁として重要な役割を果たします。壁に貼り付けることで、横からの力に対する強度を高めます。
仮設建築や工事現場
工事現場での足場や型枠、仮設建物など、一時的な使用にも構造用合板は適しています。耐久性がありながらも、加工がしやすいため、さまざまな場所で使用されます。
メリット
高い強度と耐久性
構造体の強度を保ち、長期間の使用に耐える。
湿気や外力に強い
防湿処理が施された製品や、耐水性の高い接着剤が使用されるため、外部環境でも耐久性がある。
加工のしやすさ
合板は比較的加工がしやすく、様々な形状やサイズにカットできる。
デメリット
見た目の粗さ
構造用合板は基本的に構造を支える役割のため、仕上げ材としては見た目が粗いことが多く、直接露出する仕上げ材として使用する場合には不向きです。
重さ
強度が高い分、重量もあるため、大きな面積で使用する際には取扱いが難しいことがあります。
構造用合板は、建物の強度を保ち、耐久性を向上させるために不可欠な建材です。主に床、壁、屋根などの下地材として使われ、特に耐震性や耐風性が必要な部分で広く利用されます。湿気や外力に強く、耐久性に優れているため、建築のあらゆる場面で重宝される素材です。
住まいの設計・計画の解説
→収納計画
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