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  • 執筆者の写真t-ogino

模型から住まいを考える設計方法。模型スタディとは。01,02,03,04

更新日:8月30日

模型スタディーから、建築を考える1


小屋(屋根の骨組み)をどう組もうか?

いつも考えています。


何も考えずに、フラット屋根水平な天井でも良いのですが、、、建築が他のデザインと異なる事は、3次元の空間である事。

小屋は、その特徴を生かせる設計の腕の見せ所になります。

余白も生み、空間に余裕が生まれる造形操作ができる。


住宅の模型

模型は、多面体に小屋を組んだ住宅

リビング吹き抜けが多面体になっています。間取り光の入れ方余白道路との 関係性木造の梁組み方を考察していった結果、不思議が導き出されました。


模型スタディーで、建築を考える2


街中の住宅密集地で設計することも多く、とにかくプライバシーをどう確保するか?頭を悩ませます。

前の道 から、家の中を覗かれたく無い。

けれど、光を入れて明るくしたいし、何より圧迫感を感じたく無い。

解決策を色々思案します。

住宅の模型

模型の住宅 は、ルーバーをつける提案をしました。

間口の狭く細長い敷地。

三階から一階まで光りが降りてくる吹抜けを、建物の中央 に作り、明るい住まい に設計しましたが、それだけでは圧迫感を感じる。

そこで、道に向けてバルコニーと大きな窓を作りかつ抜け感を作りつつ、覗かれ無い様にルーバーをつけました。

ルーバーは、二階床から、三階手摺りまで。

床から隙間がありますから、普通のバルコニーよりかえって開放感が出るし、ルーバー特有の包まれる安心感も感じます。


模型スタディーで、建築を考える.3

住宅の模型

こんな、三角形の屋根の事を切妻屋根と言います。

設計 デザイン用語としては、家型という形である種トレンドだったりします。

この形の良い処は、わかりやすく、家でっせと表現されているところ。

今では家の形は色々有り、真四角だったり、斜めになった片流れだったり、雁行型だったり、妙な不思議な形だったり、普通の形というものがありません。

そんな中、模型の様な切妻(家型)形状は、誰か見ても家と認識できる家らしい住宅です。

お家な形なので、可愛らしくも、ノスタルジックなイメージにもデザインできます。

建築模型の提案では、三角形の屋根の高さを生かして、ロフトと吹抜けを仕込んでみました。


模型スタディーで、建築を考える.4

住宅の模型

二世帯住宅の計画。

1.2階世帯と、3階世帯で分かれています。

南側はオープンに。

道路つけのある北側は、小さな窓でディフェンシブな表情を。

道路から見られる、住まいの顔は、反転した階段状で、不思議な幾何学模様になっとります。

3階世帯の必要ボリュームが大きいので、その分、張り出す。

張り出した3階部分を2階、1階と徐々に小さくしながら最上階を支えている、構造表現 と、幾何学が一体になったデザインになっている。

3階建て住宅の模型

ま、なんか何処からこんな形が出てきたか分からない様なフェイス 。

珍しく、色をつけた模型も作ってみましたよ。

 


住宅設計における「模型スタディ」とは、設計プロセスの一環として物理的な模型を作成し、デザインのアイデアや建物の空間構成を検討する手法を指します。模型スタディは、設計の初期段階から最終段階まで幅広く用いられ、建築家やデザイナーが設計を視覚的に確認し、物理的に実感できる重要なツールです。以下は、模型スタディの詳細について説明します。



住宅設計における模型スタディ


1. 模型スタディの目的

  • デザインの検証: 模型を作ることで、設計図だけでは理解しにくい立体的な形状や空間の感覚を物理的に確認できます。これにより、デザインのバランスやプロポーション、スケール感などを視覚的に検証できます。


  • 空間の理解: 模型を使って、住宅の内部空間や部屋の配置、動線の流れを確認します。これにより、居住者がどのように空間を利用するか、どのように感じるかを考慮することができます。


  • 光と影のシミュレーション: 模型は、自然光の入り方や影の落ち方を確認するためにも使用されます。これにより、どのように採光が行われるか、建物がどのように環境と調和するかを予測することができます。


  • 設計のフィードバック: クライアントや関係者に設計のアイデアをわかりやすく説明するためのツールとして使用されます。模型を見せることで、言葉や図面では伝えにくい部分を視覚的に共有し、フィードバックを受けやすくなります。


2. 模型スタディの種類

  • コンセプトモデル: 設計初期に作成される簡易的な模型で、デザインの基本的なコンセプトやアイデアを探るために使用されます。紙や発泡スチロールなど簡単に加工できる素材が使われることが多いです。


  • スケールモデル: より詳細な設計段階で作成される模型で、正確なスケールで作られます。具体的な素材や仕上げ、家具の配置なども検討するために使用されることがあります。


  • ダイアグラムモデル: 特定の機能や動線、構造的な概念を示すために作られる抽象的な模型です。形状やプロポーションよりも、概念や機能性の確認に重点を置きます。


3. 模型スタディの利点

  • リアルな感覚の把握: コンピュータ上の3Dモデルとは異なり、物理的な模型は実際のスケール感をより直感的に感じることができます。


  • 創造的な思考の促進: 手で模型を作る過程で、思わぬアイデアや解決策が見つかることがあり、創造的な思考が刺激されます。


  • 対話のツール: クライアントや設計チームとのコミュニケーションが円滑になります。実際に手に取って確認できるため、理解が深まり、設計の方向性についての合意が得られやすくなります。


4. 模型スタディの実施方法

  • 素材の選定: 紙、木材、プラスチック、発泡スチロールなど、プロジェクトの段階や目的に応じて適切な素材を選びます。


  • スケールの決定: 建物のサイズや詳細の度合いに応じて、模型のスケールを決定します。一般的には1/100や1/50スケールが使用されますが、部分的な詳細を確認する場合には1/20や1/10スケールも使用されることがあります。


  • 制作技術の活用: 手作業でのカットや接着の他、レーザーカッターや3Dプリンターなどの最新技術を利用して精密な模型を作成することも増えています。


5. 住宅設計における模型スタディの意義

模型スタディは、設計の質を高め、より良い居住空間を作り出すために重要な役割を果たします。設計者がアイデアを形にする過程での検証ツールとして、またクライアントとのコミュニケーションツールとして、多くの利点を提供します。このため、模型スタディは住宅設計において欠かせない手法の一つとなっています。


住宅設計において模型スタディを活用することは、設計の精度を向上させるだけでなく、最終的な建物の完成度を高めるための重要なステップです。ご興味があれば、住宅設計における他のプロセスについてもお話ししますので、お気軽にお尋ねください。


住宅の小屋組みについて


「小屋組み(こやぐみ)」とは、住宅の屋根部分を支えるための構造で、特に木造建築において重要な役割を果たします。小屋組みは、屋根の形状や勾配を支え、建物の耐久性や安全性を確保するための基本的な骨組みです。以下に、小屋組みの構成要素、種類、設計方法について詳しく説明します。


1. 小屋組みの基本構成要素

小屋組みは、主に以下の構成要素で成り立っています。これらの要素が連携して屋根を支える強固な構造を形成します。


  • 棟木(むなぎ): 屋根の最上部を水平に走る主要な梁で、両側の垂木(たるき)を支える役割を持ちます。棟木は屋根の頂点に位置し、全体の安定性を確保します。

  • 垂木(たるき): 棟木から軒先に向かって斜めに配置される細長い木材。垂木は屋根の形状を形成し、屋根材を支えます。

  • 母屋(もや): 屋根の平面方向に水平に配置される梁で、垂木を支えるための補強材です。母屋は棟木と平行に配置され、垂木の間隔を固定します。

  • 束(つか): 棟木や母屋を支える垂直な支柱で、梁の荷重を下の構造に伝える役割を果たします。束は柱と連結して屋根全体の安定性を高めます。

  • 小屋梁(こやばり): 小屋組み全体を支える水平の梁で、屋根の荷重を分散し、建物の耐震性を向上させます。小屋梁は束と垂木を支える位置に配置されます。


2. 小屋組みの種類

小屋組みにはいくつかの種類があり、それぞれ異なる構造特性を持っています。主な小屋組みのタイプを以下に紹介します。


  • 和小屋:

    • 日本伝統の小屋組みで、棟木を中心に束や母屋を配置する構造です。垂木が棟木から直接軒先に向かって伸びるシンプルな構造が特徴です。

    • 木材の組み合わせによる接合方法が用いられ、金具を使わない場合が多いです。伝統的な和風建築や寺院などで見られます。


  • 洋小屋:

    • 洋風の建物に用いられる小屋組みで、一般的に三角形のトラス構造を採用します。木材の他、鉄骨や金属プレートを使用することもあります。

    • プレカット工法で大量生産が可能なため、近代的な住宅で広く使用されています。


  • キングポストトラス:

    • 中央に一本のキングポスト(垂直の支柱)を立てて、上部に棟木を支える形状の小屋組み。キングポストから両側の垂木に斜めの材が伸びる構造で、シンプルでありながら強度が高いです。

    • 特に広いスパンを持つ屋根に適しており、教会や体育館などで使われることがあります。


  • クイーンポストトラス:

    • 2本の支柱(クイーンポスト)を用いて棟木を支える構造です。キングポストトラスに比べてより広いスパンに対応でき、開放的な空間を作ることができます。

    • クイーンポスト間の距離が広く取れるため、大規模な住宅やホールなどで使用されることがあります。


3. 小屋組みの設計方法

小屋組みの設計には、建物の規模、屋根の勾配、地域の気候条件などを考慮して、最適な構造を選択することが重要です。


  1. 材料の選定:

    • 木材の種類や品質が小屋組みの強度と耐久性に大きく影響します。日本の伝統的な小屋組みには、スギやヒノキなどの耐久性のある木材が使用されます。

    • 近年では、強度が高く安定した集成材(複数の木材を接着して作られる材)が使われることも多いです。


  2. 構造計算:

    • 小屋組みの設計において、屋根の荷重(積雪、風圧、地震時の揺れなど)を支えるための構造計算が不可欠です。これにより、適切な梁のサイズや支柱の配置が決まります。


  3. 結合部の設計:

    • 接合部は小屋組みの要となる部分です。伝統的な工法では「ほぞ穴(ホゾアナ)」や「かすがい」などの技法で木材を組み合わせます。現代的な工法では金具やボルトを用いて強固に接合することが一般的です。


  4. 換気の考慮:

    • 小屋組みの中には通気性を確保するための空間を設けることが必要です。これにより、湿気を防ぎ、木材の腐食やカビの発生を防ぎます。


4. 小屋組みの施工と注意点

  1. プレカット工法の利用:

    • 近年の住宅建設では、プレカット(工場であらかじめ加工された木材)を使用することが多く、小屋組みもこの方法で施工されます。これにより、現場での作業時間を短縮し、精度の高い施工が可能です。


  2. 組み立ての順序:

    • 小屋組みは、土台と柱がしっかりと固定された後に設置されます。まず小屋梁を設置し、その上に束や棟木、垂木を順次組み立てていきます。


  3. 安全対策:

    • 高所での作業となるため、作業員の安全確保が重要です。足場の設置や保護具の使用を徹底し、作業中の転落や落下物の防止策を講じる必要があります。


5. 小屋組みの利点と役割

  • 耐久性と強度の確保: 小屋組みは建物全体の構造を強化し、屋根の荷重を効率よく支えることで、耐震性や耐風性を向上させます。


  • 設計の柔軟性: 小屋組みを工夫することで、さまざまな屋根形状や空間デザインが可能になります。勾配屋根や平屋根、ドーム型屋根など、建物のデザインに応じて最適な小屋組みを選べます。


  • 伝統的な美観の提供: 日本の伝統建築における小屋組みは、木材の美しさを活かしたデザインであり、内部空間に独特の美観を提供します。


小屋組みは、住宅の屋根を支えるための重要な構造であり、建物の安全性、耐久性、デザインに大きな影響を与えます。設計や施工に際しては、適切な構造計算と材料の選定が不可欠です。小屋組みの知識を深めることで、より良い住宅設計が可能となります。興味があれば、他の建築技法や設計の詳細についてもお話ししますので、ぜひお尋ねください。


ルーバーをつくる事で、プライバシーを確保する方法


ルーバー(louver) は、プライバシーの確保や日射遮蔽、通風を目的として建物の外部や内部に設置される細長い板状の部材です。ルーバーは、視線を遮りつつ光と風を取り入れることができるため、プライバシーの確保に非常に効果的です。以下に、ルーバーを用いてプライバシーを確保する方法について詳しく説明します。


1. ルーバーの基本的な仕組みと役割

  • 視線の遮断: ルーバーは、角度をつけて配置することで、外部からの視線を遮りつつ、内部からの視界は確保できます。例えば、道路や隣家に面した窓に設置することで、外から室内の様子が見えにくくなり、プライバシーが向上します。


  • 自然光の取り入れ: 完全に閉じた状態ではなく、適度な隙間を持たせることで、日中の自然光を取り入れながらプライバシーを確保できます。ルーバーの角度や位置を調整することで、必要な明るさを確保することが可能です。


  • 通風の確保: ルーバーは風通しを良くし、自然換気を促進します。これにより、室内の空気がこもらず、快適な室内環境を維持できます。


  • 日射遮蔽: 夏季にはルーバーを利用して直射日光を遮ることができ、室内の温度上昇を防ぐことができます。逆に冬季には角度を調整して、低い角度からの太陽光を取り入れることで、暖かさを保つことができます。


2. ルーバーの設計と配置

  • 角度の調整: ルーバーの角度を適切に設定することで、外部からの視線を遮りながら、内部からの視界や光を確保することが可能です。例えば、ルーバーを水平に設置し、45度程度の角度をつけると、上方からの視線を効果的に遮ることができます。


  • 可動式ルーバー: ルーバーを可動式にすることで、使用者が手動または自動で角度を調整し、プライバシーの確保度合いや採光・通風を自在にコントロールできます。例えば、日中は開けて光と風を取り入れ、夜間や必要に応じて閉じることでプライバシーを高めるといった運用が可能です。


  • 垂直または水平配置: ルーバーは垂直に設置するか、水平に設置するかで効果が変わります。垂直ルーバーは、側面からの視線を遮るのに有効で、道路に面した窓などに適しています。水平ルーバーは、上方からの視線や日射を遮るのに効果的です。


  • ルーバーの間隔とサイズ: ルーバーの隙間(ピッチ)を狭くすることで、外部からの視線をより遮ることができます。逆に、間隔を広くすると通風や採光が向上します。設置する場所や用途に応じて、適切なサイズと間隔を選ぶことが重要です。


3. ルーバーの材質とデザイン

  • 材質の選定: ルーバーの材質としては、木材、アルミ、スチール、ガラス、PVCなどが一般的です。木材はナチュラルな外観で、住宅の外観と調和しやすいです。アルミやスチールは耐久性が高く、メンテナンスが容易で、現代的なデザインに向いています。ガラスルーバーは視線を遮りながら光を取り入れることができるため、エレガントな印象を与えます。


  • デザインの多様性: ルーバーはさまざまなデザインが可能です。縦型・横型の違いだけでなく、色や形状、材質の選択によって建物の外観を個性的に演出できます。装飾的な要素を取り入れることで、美観と機能性を兼ね備えたデザインを実現できます。


  • パターンの採用: 規則的なパターンのルーバーはモダンな印象を与えますが、ランダムなパターンのルーバーを設置することで、視覚的な面白さを加え、プライバシーの確保に加えデザイン性も高めることができます。


4. プライバシー確保における具体的な使用例

  • バルコニーやテラス: 屋外スペースにルーバーを設置することで、隣家や通行人からの視線を遮りつつ、開放感を維持します。特にマンションのバルコニーでは、上下左右からの視線を遮るためにルーバーが効果的です。


  • 窓のルーバー: 居室の窓にルーバーを設置し、外からの視線を遮ることで、リビングや寝室のプライバシーを保ちます。窓枠に取り付けたり、外壁に沿って設置することで、エクステリアデザインに一体感を持たせることができます。


  • ファサード(正面壁)のルーバー: 建物の外観にルーバーを採用することで、視線を遮ると同時に、建物全体のデザイン性を高めることが可能です。特に商業施設や公共施設で、プライバシーを守りながら外観の統一感を持たせるために使用されます。


5. ルーバー設置のメリットとデメリット


メリット:

  • プライバシーの確保: 外部からの視線を効果的に遮ることで、居住空間のプライバシーを向上させます。

  • 通風と採光: ルーバーの角度や配置を工夫することで、風通しや自然光の取り入れを促進し、快適な室内環境を維持できます。

  • エネルギー効率: 夏場の直射日光を遮ることで、エアコンの使用を減らし、省エネルギーに貢献します。

  • デザインの多様性: 建物の外観デザインにルーバーを取り入れることで、個性的で美しい建築デザインが可能です。


デメリット:

  • 設置コスト: 高品質な材質やデザインを採用する場合、設置コストが高くなることがあります。

  • メンテナンス: ルーバーは風雨にさらされるため、特に木材製の場合は定期的なメンテナンスが必要です。汚れやカビ、劣化の防止対策が求められます。

  • 調整の手間: 可動式ルーバーを設置した場合、頻繁に角度を調整する必要があることもあります。自動化されたシステムを導入することで、手間を軽減することが可能です。


6. 設計の実際

  • 地域や環境に合わせた設計: 例えば、都市部の住宅地では、隣家との距離が近いため、視線を完全に遮る設計が求められます。逆に自然豊かな郊外では、景色を楽しむために開放的なルーバーデザインを選ぶことが多いです。

  • 法律や規制の確認: ルーバーの設置に関しては、地域の建築基準法や規制に基づく制限がある場合があります。設置前に必ず確認し、適切な設計と施工を行うことが重要です。


ルーバーを用いたプライバシー確保は、快適な居住環境の維持と建物のデザイン性を高めるための有効な手法です。


切妻屋根について


切妻屋根(きりづまやね) は、日本の伝統的な屋根形状の一つで、最も一般的で広く見られる屋根の形状です。この屋根の形状は、シンプルで機能的な構造を持ち、さまざまな気候条件に対応できることから、住宅や公共施設など、さまざまな建物に採用されています。以下に、切妻屋根の特徴、利点、設計のポイント、施工方法について詳しく説明します。


1. 切妻屋根の特徴

  • 基本形状: 切妻屋根は、2枚の斜めの屋根面が合わさって頂点(棟)で交わり、三角形の形状を作る屋根です。この屋根面が2方向に広がることから、建物の両側に三角形の壁面(妻壁)が現れます。この三角形の形状が「切妻」の由来です。


  • 構造のシンプルさ: 切妻屋根の形状はシンプルで、構造的に強度が高く、施工も比較的容易です。屋根の頂点から軒先までが一直線に繋がっているため、雨水の排水が効率的に行えます。


  • 多用途性: 日本国内の住宅だけでなく、海外の住宅や公共施設、商業施設などでも広く採用されています。シンプルなデザインが現代的な建築様式にもマッチします。


2. 切妻屋根の利点

  • 排水性が良い: 切妻屋根は、屋根面が傾斜しているため雨水が自然に排水されやすく、屋根の寿命を延ばし、防水性能を高めます。この特徴は特に雨の多い地域や雪が積もる地域で有効です。


  • 施工が簡単でコストが低い: 切妻屋根はシンプルな構造を持っているため、施工が比較的容易で、材料費や工事費も抑えられます。複雑な形状を持つ屋根と比べて、建築コストが低くなりやすいです。


  • 通気性の確保: 屋根の内部に空間ができるため、通気性を確保しやすい構造です。これにより、夏場の熱気を逃がし、冬場の結露を防ぐ効果があります。


  • 多様なデザインへの対応: 切妻屋根は、現代建築のスタイルとも調和しやすく、伝統的な和風建築からモダンなデザインの住宅まで、さまざまな建築様式に適用可能です。例えば、外壁材の色や素材を工夫することで、個性的な外観を作り出すことができます。


3. 切妻屋根のデメリット

  • 風の影響を受けやすい: 切妻屋根は屋根面が大きいため、強風が吹いたときに風圧を受けやすい構造です。特に台風や強風地域では、屋根材が飛ばされないように強度を高める必要があります。


  • 軒の出に注意が必要: 雨水が効率的に排水される一方で、軒先の出が短いと壁面に雨が当たることが多くなり、外壁の防水対策が必要です。軒の出を大きくすることで、外壁の保護を強化することが求められます。


  • 妻壁の防水対策: 切妻屋根では、両端に妻壁があるため、ここに雨が当たりやすくなります。妻壁部分の防水対策が不十分だと、雨漏りの原因になることがあります。


4. 切妻屋根の設計と施工のポイント

  • 屋根勾配の設定: 切妻屋根の勾配(屋根の傾斜角度)は、一般的に15度から45度程度です。勾配が急すぎると風の影響を受けやすく、緩すぎると雨水の排水が悪くなるため、地域の気候条件や建物のデザインに合わせて適切な勾配を選ぶことが重要です。


  • 棟と垂木の配置: 切妻屋根では、棟木(屋根の最上部にある水平材)が屋根の骨組みを支える重要な役割を果たします。垂木(屋根面を支える斜材)は棟から軒先に向かって配置され、屋根材を支えます。これらの配置を適切に設計し、強度と安定性を確保します。


  • 屋根材の選定: 切妻屋根には、瓦、金属板、スレートなどさまざまな屋根材が使用可能です。屋根材の選定は、耐久性、防水性、断熱性、デザイン性などを考慮して行います。また、地域の気候条件(例:雪の多い地域では積雪に耐えられる材料)にも配慮が必要です。


  • 妻壁の防水対策: 妻壁には、雨水が浸入しないように防水シートを貼ったり、防水材でコーキング処理を施すことが重要です。また、屋根と壁の接合部には雨仕舞(あまじまい)を設け、雨水の浸入を防ぎます。


  • 換気システムの設置: 切妻屋根の内部に通気口や換気棟を設けることで、屋根裏の通気性を確保し、湿気や熱気を逃がすことができます。これにより、夏場の室内温度の上昇を防ぎ、冬場の結露を防ぐ効果が期待できます。


5. 切妻屋根の施工方法

  1. 骨組みの設置: まず、柱や梁などの建物の基本骨組みを設置し、その上に小屋組みを構築します。棟木や垂木を取り付けて屋根の骨組みを作り、屋根面の形状を形成します。


  2. 下地材の取り付け: 垂木の上に屋根下地材(合板など)を敷きます。この下地材が屋根材を支える基盤となり、防水性を向上させます。


  3. 防水シートの敷設: 屋根下地材の上に防水シートを敷設し、雨水の浸入を防ぎます。防水シートは屋根の最上部から軒先に向かって重ねて敷設し、シート同士の隙間からの水の浸入を防ぎます。


  4. 屋根材の取り付け: 選定した屋根材(瓦、スレート、金属板など)を防水シートの上に取り付けます。屋根材の取り付けには、風圧や雪の重みに耐えられるよう、しっかりと固定することが必要です。


  5. 雨仕舞の施工: 屋根の端部や接合部に雨仕舞を設け、雨水が内部に浸入しないようにします。特に妻壁と屋根の接合部は、雨水の浸入が起こりやすいため、慎重に施工する必要があります。


6. 切妻屋根の応用例とバリエーション

  • 寄棟屋根との組み合わせ: 切妻屋根と寄棟屋根を組み合わせることで、より複雑で個性的な屋根デザインを作り出すことができます。これは、主屋部分に切妻屋根を採用し、付加部分に寄棟屋根を設けるなどの方法です。


  • 二重切妻屋根: 切妻屋根を2段に設けることで、屋根裏の空間を有効利用し、内部空間のボリュームを増やす設計が可能です。二重切妻屋根は、ロフトや収納スペースを作るために活用されることがあります。


  • ガブルドーム(破風の屋根): 切妻屋根の両端に装飾的な破風を設けることで、建物の外観を引き締め、エレガントな印象を与えるデザインです。特に伝統的な和風建築や寺院で見られるスタイルです。


切妻屋根は、そのシンプルで機能的なデザインから、住宅や商業施設など多くの建物に採用されています。特に日本の気候や風土に適しており、長い歴史の中でその利便性が実証されてきました。適切な設計と施工を行うことで、耐久性や快適性を兼ね備えた屋根構造を実現できます。他の屋根形状や設計に関する質問があれば、お気軽にお尋ねください。



住まいの設計・計画の解説


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