抜け感!とにかく抜けがあると、意識が遠くへと導かれるので、気持ちがほぐれますね。
いわゆる施設(看護・介護)の設計なんですけど、サッシは全て住宅用サッシ・空調も天井エアコン含めて家庭用を使う事でコストバランスを整えた設計しました。(エアバランスの調整にはちょっと苦労した)
伊勢原の看護小規模多機能型居宅介護施設(通称:看多機)
建築の抜け感とは
建築における「抜け感」とは、空間に広がりや開放感を持たせるためのデザインの要素です。具体的には以下のような要素が含まれます:
視線の抜け: 壁や仕切りをあえて少なくし、室内から外や他の空間へ視線を通すことで、広がりを感じさせるデザイン。例えば、大きな窓や開口部がそれに当たります。
天井の高低: 天井の高さに変化をつけたり、一部を吹き抜けにすることで、空間にダイナミズムを与え、開放感を感じさせることができます。
素材の選択: 軽やかで透過性のある素材や、光を取り込む素材を使うことで、空間に軽快感や透明感をもたらします。ガラスや明るい色の木材などが例です。
空間の連続性: 部屋やゾーン間のつながりを意識した設計にすることで、視覚的な連続性が生まれ、全体としての広がりを感じやすくします。
家具や内装の配置: 家具や装飾品を適度に配置し、空間に余裕を持たせることで、圧迫感を感じさせないようにする方法です。
「抜け感」を意識することで、狭い空間でも広がりを感じさせたり、圧迫感を軽減することができます。特に都市部や小さな住宅で効果的です。
抜け感があると、気持ちがほぐれる理由
抜け感がある空間が気持ちをほぐす理由には、以下のような要素があります:
視覚的な広がり: 抜け感がある空間は、視線が遠くまで届くため、閉塞感を感じにくくなります。視覚的な広がりがあることで、視野が広がり、心に余裕が生まれるため、リラックスしやすくなります。
光の取り入れ: 大きな窓や開口部を設けることで自然光を取り入れると、空間が明るくなり、気分が良くなります。自然光は精神的に安定させる効果があり、心理的なリラックスを促進します。
空気の流れ: 開放感がある空間では、空気の流れが良くなり、換気がしやすくなります。新鮮な空気を取り入れることで、快適さが増し、リラックスしやすくなります。
圧迫感の軽減: 空間に余裕を持たせることで、物理的にも心理的にも圧迫感が軽減されます。狭い場所で圧迫感を感じると、ストレスが増すことがありますが、広がりのある空間ではその逆で、リラックスしやすくなります。
心理的な安心感: 視界が開けた空間は、心に余裕を持たせ、落ち着かせる効果があります。開放感は心に安らぎを与え、ストレスや緊張を和らげることができます。
これらの要素が組み合わさることで、抜け感のある空間は、気持ちをほぐし、心地よいリラックスを提供することができます。
抜け感のある場では、意識が遠くへ導かれる作用
抜け感のある空間が意識を遠くへ導く作用には、以下のような心理的・視覚的なメカニズムが関与しています:
広がりの効果: 抜け感のある空間では、視界が広がり、遠くまで見渡せるため、空間の境界が曖昧になります。これにより、物理的な制約が緩和され、意識が自然と広がり、遠くへと導かれる感覚を生み出します。
視線の誘導: 空間内の視線の抜け(例えば、大きな窓や開口部)があると、視覚が自然に遠くの景色や別の空間へと移行します。視線が遠くまで届くことで、心がその景色や空間に引き込まれ、意識が広がりやすくなります。
精神的なリラックス: 抜け感によって空間が開放的になると、心理的な圧迫感が軽減されます。リラックスした状態では、心が安定し、意識がより自由に広がることができます。心の余裕が生まれることで、遠くに思考が及びやすくなります。
深さの感覚: 空間に奥行きがあると、意識がその深さや広がりを感じ取ろうとします。この感覚が、心をより遠くに引き込む作用をもたらします。視覚的な深さが意識を引き寄せることで、空間全体の体験がより豊かになります。
接続感の形成: 遠くまで見渡せる空間では、視覚的に複数の要素が繋がっているように感じられます。これにより、空間全体の統一感や繋がりが生まれ、意識がその一部として広がりやすくなります。
外界との連続性: 内部と外部の境界が曖昧になることで、外界と内部の空間が連続しているように感じられます。この感覚が、意識を外界にまで広げる手助けとなります。
これらの要素が組み合わさることで、抜け感のある空間は、物理的・心理的な広がりを提供し、意識を自然と遠くへと導く作用を持ちます。
抜け感がある建築の設計方法
抜け感のある建築を設計するためには、以下のようなポイントや手法が考えられます:
1. 開口部の設計
大きな窓: 大きな窓やガラスの壁を設けることで、視線が外に抜け、空間の広がりを感じやすくなります。
高い窓: 窓を高い位置に設けることで、自然光を取り入れつつ視線を外に向けることができます。
ガラスパーティション: 部屋やゾーンを分ける際に、ガラスや透明な素材のパーティションを使うことで、視覚的な広がりを保ちます。
2. 天井のデザイン
吹き抜け: 天井を高くすることで、空間に縦の広がりを持たせ、開放感を感じさせます。
部分的な天井高の変化: 一部を吹き抜けにすることで、ダイナミズムと広がりを生み出すことができます。
3. 内部空間のレイアウト
オープンプラン: 部屋をオープンにして、仕切りを少なくすることで、視覚的な連続性と広がりを作ります。
可動式の仕切り: 可動式の壁やパーティションを用いることで、必要に応じて空間を調整し、柔軟な使い方を実現します。
4. 素材と色の選択
明るい色調: 壁や床に明るい色を使うことで、空間が広く感じられます。
軽やかな素材: 軽く透過性のある素材(ガラス、アクリルなど)を使うことで、視覚的に広がりを持たせることができます。
5. 自然とのつながり
インドアアウトドアの連続性: テラスやバルコニーを室内と一体化させることで、内外の境界を曖昧にし、広がりを感じさせます。
緑化: 室内外に緑を取り入れることで、視覚的なつながりを作り、空間の広がりを感じさせます。
6. 光の取り入れ
自然光の活用: 大きな窓や天窓を設けて、自然光を積極的に取り入れることで、空間が明るく開放的になります。
人工光の工夫: 複数の光源を使用して、均一に光を拡散させることで、空間の奥行きを感じさせます。
7. 空間の連続性
視覚的なつながり: 部屋やゾーン間の視線の抜けを意識して設計することで、空間の連続性を保ちます。
景色の取り込み: 外部の景色や風景を視界に取り入れることで、空間がより広く感じられるようにします。
これらの方法を組み合わせることで、抜け感のある建築空間を設計することができます。デザインにおいては、視覚的な広がりだけでなく、実際の使い勝手や居住性も考慮しながら進めることが重要です。
抜け感を感じる建築の間取り
抜け感を感じる建築の間取りには、視覚的な広がりと開放感を生み出すための工夫が施されています。具体的な設計要素と間取りのポイントについて詳しく説明します:
1. オープンプラン
リビングとダイニングの連続性: リビングとダイニングを一体化させたオープンプランは、視覚的に広がりを感じさせます。仕切りを減らし、空間をつなげることで、全体の一体感が生まれます。
キッチンの一体化: キッチンをリビングやダイニングとオープンにすることで、空間の広がりが増します。アイランドキッチンやカウンター越しのコミュニケーションが可能な設計が効果的です。
2. 吹き抜け
リビングの吹き抜け: リビングルームに吹き抜けを設けることで、上方向に広がりを持たせます。これにより、空間に立体感が生まれ、視覚的に広く感じられます。
階段の吹き抜け: 階段の近くに吹き抜けを設けると、空間全体に広がりを与えます。また、階段の周りに大きな窓を設けることで、自然光を取り入れ、さらに開放感を演出できます。
3. 大きな窓と開口部
外部との連続性: 大きな窓やガラスの壁を使って、室内と外部の境界を曖昧にします。外の景色を取り込むことで、内外の連続感を生み出し、視覚的に広がりを感じさせます。
フルオープンドア: サッシや折れ戸などでフルオープンできるドアを設けることで、外部空間と内部空間の連続性を高めます。
4. 空間のゾーニング
可変空間: 部屋の仕切りを可動式にすることで、必要に応じて空間を広げたり狭めたりできます。例えば、引き戸や折れ戸を使って、普段はオープンな空間を保ち、プライバシーが必要なときには仕切ることができます。
中間領域: 部屋と部屋の間に中間領域(例えば、広めの廊下やギャラリー)を設けることで、視線が遠くに通る感覚を作ります。
5. 視覚的な連続性
視線の抜け: 部屋やゾーンの間に視線の抜けを意識して設計することで、空間全体の連続性が生まれます。例えば、リビングとダイニングを視覚的に繋げるために、間に低い仕切りを設けるなどの工夫が有効です。
開放的な壁面: 壁面に開口部を設けたり、部分的にガラス面を使用することで、視線が空間の奥まで通るようにします。
6. 天井のデザイン
部分的な天井高の変化: 部屋の一部に高い天井を設けたり、天井のデザインに変化を持たせることで、空間に立体感と広がりを加えます。
ドロップシーリング: 天井を一部下げることで、空間のアクセントを作り、視覚的な深さを持たせることができます。
7. 内部空間と外部空間の統合
テラスやバルコニー: リビングやダイニングから直接アクセスできるテラスやバルコニーを設けることで、内外の連続性を強調し、空間の広がりを感じさせます。
庭との連携: 庭と室内空間をシームレスに繋げるために、引き戸や大きな窓を使い、庭の一部を内部空間に取り込む設計が効果的です。
これらの要素を組み合わせることで、抜け感のある開放的な間取りを実現し、居住空間の広がりを感じやすくすることができます。
住まいの設計・計画の解説
→収納計画
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