
事例を見る:Case27「斜め40do猫の家(40° cat house)・東京都北区」
住宅の設計では、実は多様な素材を使っています。
多様な素材を選定しながら質感は揃えています。
天井:母屋梁表し、天井構造用合板濡れ色CL
壁:珪藻土左官。
巾木:h35EP塗装塗りつぶし
床:栗無垢材
窓額縁:4周タモ集成材
カーテンボックス:間接照明仕込
格子建具:スプルース
家具:オーク突板
キャットステップ:タモ集成材
ウッドデッキ:セランガンバツ
ルーバー:ヒノキ
多様な素材を使いながら、整った空間をつくる
たくさんの素材を使いながらも整った住宅内装を設計するには、素材選びの工夫と全体のバランスを考慮することが重要です。異なる素材を効果的に組み合わせるためには、デザインのテーマを統一し、視覚的な連続性と調和を保つ必要があります。以下に、具体的な設計のステップとポイントを紹介します。
1. テーマ設定と空間の目的
統一感を持たせるためのテーマ決め
まず、全体のテーマを決定します。例えば、モダン、ナチュラル、ミッドセンチュリーなど。テーマが決まると、それに合わせて素材選びが一貫しやすくなります。空間の目的(リラックスできるリビング、落ち着いた寝室など)も考慮することで、素材の使い方が決まってきます。
2. 素材のコントラストと調和
異なる素材を調和させる
異素材を使う際は、コントラストを意識して選びます。たとえば、木材の暖かみとコンクリートやスチールのクールな質感を組み合わせると、バランスの取れた空間になります。硬い素材と柔らかい素材を組み合わせると、互いを引き立てる効果があります。
カラーとテクスチャーの一貫性
素材のテクスチャーや色調を揃えることも大事です。たとえば、自然素材を多く使うなら、色味が統一されるように木材や石材のトーンを揃えると整った印象になります。
3. ゾーニングで整理する
異素材をゾーンごとに配置
異素材を用いる際に、それぞれのゾーンを意識すると整然とした空間が作れます。たとえば、床材をエリアごとに変えることで、リビングやダイニング、キッチンのエリア分けを強調することができます。
4. 色彩計画
トーンオントーンで統一感を持たせる
素材の多様性があるときは、カラーをトーンオントーン(同系色の濃淡)で統一すると、一貫性が出ます。たとえば、木材ならば濃淡の違いを使いつつ、全体的にブラウン系でまとめると、素材の違いがあってもまとまりのある空間になります。
アクセントカラーを効果的に使う
異なる素材を使う場合、アクセントカラーを活用して空間を引き締めます。家具やクッション、ラグなどに鮮やかな色を取り入れると、全体の統一感がありながらも動きのあるデザインになります。
5. 照明計画
照明で素材の質感を引き立てる
異素材が持つ質感を強調するために、照明の工夫も大事です。たとえば、石材や木材は間接照明やスポットライトで陰影をつけると質感が際立ちます。異なる素材ごとに最適な照明を考えることで、空間全体に深みを与えることができます。
6. ディテールとアクセント
金物や小物で統一感を持たせる
ドアノブや取っ手、照明器具などの細部で統一感を出すと、異なる素材を使っていても全体にまとまりが出ます。また、素材のつなぎ目や境界にアクセントを持たせることも効果的です。
7. 動線を考慮する
素材の配置で動線を誘導
素材の変化を活かして、動線を自然に誘導します。たとえば、廊下からリビングへ移動する際に、床材を変えることで空間の切り替わりを強調できます。
具体例:
モダンスタイル
コンクリートの壁、ガラスの仕切り、木材の床といった素材を組み合わせて、無機質と有機的な素材のコントラストを強調します。全体の色調をグレーや白、ナチュラルなブラウンでまとめると、整った印象になります。
ナチュラルスタイル
天然木材や石材、籐(ラタン)などの自然素材を使い、白やベージュ、グリーンなどの淡い色でまとめます。複数の素材を使用しても、色調を揃えることで統一感を保ちます。
異なる素材を使うときは、それぞれの素材の特性と質感を活かしつつ、全体のバランスを保つことが重要です。

ヒノキ、セランガンバツ、タモ、オーク、スプルース、栗という多様な樹種の使い方
ヒノキ、セランガンバツ、タモ、オーク、スプルース、栗といった多様な樹種を使って住宅内装を設計する際、それぞれの木材の特徴を活かしつつ、空間全体に調和をもたらすことが大切です。以下に、各樹種の特徴と、それに基づいた効果的な使い方のアイデアを紹介します。
1. ヒノキ(檜)
特徴: ヒノキは日本の伝統的な建築材で、香りが良く、耐久性に優れています。湿気やシロアリにも強く、抗菌作用があるとされています。
使い方:
浴室や和室の内装材として使用するのが一般的です。ヒノキの香りはリラックス効果があるため、心地よい空間を作ることができます。
天井材や壁材に使うことで、和風の落ち着いた雰囲気を演出できます。
2. セランガンバツ
特徴: 熱帯地方の硬木で、耐久性や耐水性に優れており、虫害にも強いです。重厚感があり、屋外の使用にも適しています。
使い方:
デッキ材や外装材として利用すると、耐久性と耐候性を活かせます。また、雨や湿気に強いため、屋外の家具やバルコニーにも適しています。
フローリング材としても、硬くしっかりとした質感があり、長く美しさを保てます。
3. タモ(アッシュ)
特徴: タモは、明るい色合いと美しい木目が特徴で、適度な硬さと弾力性があります。北欧デザインやモダンインテリアに使われることが多いです。
使い方:
家具やフローリング材に向いています。タモは頑丈で、ナチュラルな印象を与えるため、ダイニングテーブルやキャビネットなどの大型家具にも適しています。
建具や階段材にも適しており、ナチュラルかつモダンな空間を作ることができます。
4. オーク(ナラ)
特徴: オークは硬く耐久性が高く、木目がはっきりしていて高級感があります。西洋の伝統的な家具やフローリングによく使われます。
使い方:
フローリング材として使うと、頑丈で耐久性のある床が作れます。また、木目の美しさが際立つため、ナチュラルで高級感のある雰囲気が演出できます。
家具材として、チェストや本棚などの重厚感のある家具にも適しています。
ドアや窓枠などの建具にも使え、空間に安定感と重厚感を与えます。
5. スプルース(トウヒ)
特徴: 軽くて柔らかい材質で、木目は直線的で淡い色合いです。加工がしやすく、音響特性が優れているため楽器にも使われます。
使い方:
天井材や壁材として、明るく軽やかな印象を与えることができます。また、空間を広く感じさせる効果があります。
音響特性を活かして、音楽室やリビングの内装に使用することで、音の響きが良くなる効果があります。
梁や柱に使うことで、温かみのあるインテリアを作り出します。
6. 栗
特徴: 耐久性が高く、水に強い木材です。木目は力強く、色味は深い茶色で経年変化によってさらに味わいが増します。日本でも古くから利用されています。
使い方:
フローリングや階段材として、堅牢で長持ちし、落ち着いた風合いを楽しめます。経年変化によって色が深くなるため、長く愛される空間を作ることができます。
外装材やデッキ材としても使われることがあり、耐水性が求められる場所に適しています。
家具では、ダイニングテーブルや収納家具など、重厚感のあるデザインに適しています。
これらの木材の組み合わせ方
対比を楽しむ:異なる木目や色合いを持つ木材同士を組み合わせて、空間にリズムを持たせる。たとえば、オークの重厚感とタモの明るさを組み合わせると、空間に明暗のバランスが生まれます。
ゾーニングを意識:各空間ごとに樹種を使い分けることで、異なる空間の雰囲気を強調します。リビングにはタモやオークのような温かみのある木材、浴室にはヒノキといったように、空間の目的に合わせて選択します。
素材の使い分けとアクセント:メインのフローリングや壁に一貫した樹種を使いながら、天井や家具に異なる木材を使うことで、アクセントを加えつつ統一感を保てます。たとえば、タモのフローリングと栗の家具を合わせて、色調を揃えつつも素材感に変化を持たせます。
経年変化を楽しむ:栗やオークなどの経年変化を楽しめる木材は、長期的に使うことで風合いが増すため、長く愛される空間をデザインできます。
このように、樹種ごとの特性を理解し、適材適所で使用することで、多様な木材を用いた統一感のある空間を作り上げることができます。

珪藻土のデザイン性
珪藻土は、その機能性だけでなく、デザイン性においても非常に優れた素材です。自然素材としての風合いや多彩な仕上げ方が可能なため、インテリアに独自の表情を加えることができます。以下に珪藻土のデザイン性に関する詳細を紹介します。
1. 自然素材としての美しさ
質感:
珪藻土は自然の土を使っているため、マットで柔らかい風合いがあります。工業的な製品とは異なる、素朴であたたかみのある表面が特徴です。また、微細な粒子感が残るため、表面の触り心地も独特で、自然素材特有のやさしい雰囲気を作り出します。
色合い:
珪藻土はもともと淡いナチュラルな色調を持っており、ベージュやグレー、アイボリーなどのアースカラーが多いです。これにより、落ち着いた空間を演出しやすく、他の素材や家具との調和がとれやすいです。さらに、顔料を混ぜることで多彩なカラーバリエーションを実現でき、空間のデザインに合わせてカスタマイズ可能です。
2. 多彩な仕上げ方法
左官仕上げ:
珪藻土は左官技術を用いて表面を仕上げるため、施工者の技量によって異なるテクスチャーや表情を作り出せます。たとえば、滑らかに仕上げる「鏝(こて)仕上げ」や、粗さを残した「ざらざら仕上げ」、ランダムに動きをつけた「波打つような仕上げ」など、バリエーション豊富です。これにより、空間に独自のアクセントや動きを加えることができます。
パターン仕上げ:
左官技術で模様やパターンを作ることも可能です。たとえば、波状や格子状、スパイラルなど、動きのあるパターンを壁面に施すことで、インテリアデザインにダイナミズムや独自性を持たせられます。
研磨仕上げ:
研磨を施すことで、より滑らかな質感や光沢を持たせることも可能です。この仕上げは高級感を求める空間に適しており、光の反射を楽しむことができます。
3. 自然光との相性
光の反射と陰影:
珪藻土の壁は表面が多孔質であるため、光を柔らかく拡散させる性質があります。特に、自然光を取り込む場所では、壁面が光を吸収して反射し、空間全体を柔らかく包み込むような雰囲気を作り出します。また、テクスチャーのある仕上げは、光の当たり具合によって陰影が生まれ、時間帯や光源の位置に応じて表情が変化するため、空間に豊かな表情が生まれます。
4. 調湿機能を生かした快適性
調湿機能のデザイン性:
珪藻土は多孔質であり、湿気を吸収したり放出したりすることで、室内の湿度を自然に調整する機能を持っています。この機能を活かして、デザイン的にも機能的にも快適な空間を作り上げることができます。湿気が多い場所や乾燥しやすい場所でも、快適さを維持しつつ、美しいインテリアを保つことができる点が魅力です。
5. 他の素材との組み合わせ
木材との相性:
自然素材である珪藻土は、木材との相性が非常に良いです。たとえば、木材の温かみと珪藻土の素朴な質感を組み合わせることで、ナチュラルで落ち着いた空間を作り出すことができます。和風や北欧風のインテリアにもよく合い、空間全体を自然素材で統一することで、居心地の良い雰囲気を演出できます。
コンクリートや石材とのコントラスト:
コンクリートや石材の冷たい質感と、珪藻土の柔らかい風合いを対比させることで、モダンでありながら温かみのある空間を作ることができます。例えば、リビングやダイニングの壁に珪藻土を使い、床や家具にコンクリートや石材を取り入れることで、素材のコントラストが際立ち、視覚的にも面白い空間が生まれます。
6. アクセントウォールとしての利用
部分的な使用でインパクトを与える:
部屋全体に珪藻土を使用するのではなく、壁の一部や特定の部屋だけに使うことで、アクセントウォールとして効果を発揮します。たとえば、リビングや寝室の一面だけを珪藻土で仕上げると、他の壁との対比が生まれ、自然なアクセントを加えることができます。
7. エコロジカルなデザインアプローチ
環境に配慮した素材選び:
珪藻土は環境負荷の少ないエコロジー素材としても評価されています。化学物質を含まず、自然素材であることから、健康的な住環境を提供するだけでなく、サステナブルなデザインを重視する人々にも人気があります。
珪藻土のデザイン活用例
和モダンな空間: ヒノキやタモなどの木材と組み合わせ、和のテイストを取り入れた落ち着いた空間。調湿効果とナチュラルな色合いが和風のインテリアとよく合います。
北欧スタイルの部屋: 白や淡いグレーの珪藻土を使い、明るく柔らかい雰囲気を演出。木製家具と組み合わせることで、温かみのある北欧風のインテリアに。
モダンなミニマル空間: コンクリートや金属素材と組み合わせ、珪藻土の柔らかさと対比させたクールで洗練されたデザイン。
珪藻土は自然素材としての風合いや調湿効果など、機能性だけでなく多彩なデザインの表現が可能です。素材の特性を活かしながら、異なる仕上げや他の素材との組み合わせを工夫することで、独自性と居心地の良さを両立したインテリアを実現できます。
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