何故だか、ニャンコを飼っている方からの設計依頼が多いんです。
で、施主のお宅に設計の打ち合わせにいくと、彼ら(猫)は必ず寄ってくる。
「お前だれだ?」という顔して。
慣れて来ると、いきなり肩に飛び乗って来る。戸棚の上から飛びついてくるんですが、多分。。。マウントとられてるんでしょうね。
ことほど、猫さんは高いところが好き。
猫の居場所は高い処、人の居場所は床の近く。
どちらも心地よい、縄張りで過ごす設計をしています。
キャットステップを駆け上り、キャットウォークを歩く。
匂いを無くす為の、エコカラットというタイルも貼っています。
猫も人も心地よい住まいを考えています。
屋根の形合せた、斜めに上がっていく天井のプロポーションと、猫の設え(キャットステップ・キャットウォーク)のバランスを試行錯誤しながら設計しました。伸びやかさのある空間。
猫が暮らしやすい家の設計
猫が暮らしやすい家の設計は、猫の本能や生活習慣に配慮し、安心して自由に行動できる空間を作ることが重要です。以下に、猫のために工夫された住宅設計のポイントを詳しく説明します。
1. キャットウォークやキャットステップ
猫は高い場所が好きで、部屋の上部を歩ける「キャットウォーク」や「キャットステップ」を設けることで、猫にとってストレスの少ない空間が作れます。キャットウォークは猫が自由に移動できる通路として機能し、リビングや廊下の上部に設置されることが多いです。また、棚やタワーを設けることで、猫が飛び上がったり、休める場所を提供できます。
2. 素材選び
床や家具の素材は、猫の爪が引っかからないよう滑りにくく、傷が付きにくいものを選ぶことが推奨されます。たとえば、無垢材や耐久性の高いフローリングが適しており、また、壁に「エコカラット」のような消臭効果のあるタイルを使うことで、猫のトイレや遊び場の匂いを軽減する工夫も行われています。
3. 脱走防止と安全性の確保
猫は好奇心が強く、外に出たがることがあります。玄関や窓には「脱走防止ドア」や「フェンス」を設置して、外に出られないようにすることが大切です。自動ロック機能付きの引き戸や、網戸の強化も有効です。
4. 快適なトイレスペースと換気
猫のトイレは匂いが気になる場所ですが、専用の換気システムや消臭効果のあるタイルを使うことで、快適に過ごせるようになります。トイレの設置場所は、人間が使う部屋から少し離れた静かな場所にするのが理想的です。また、通気性を確保し、空気が循環しやすいように設計することも重要です。
5. 隠れ場所やリラックススペースの確保
猫はリラックスできる隠れ場所を好みます。クローゼットやベッド下、窓辺などに小さなスペースを設けて、安心して休める場所を提供すると、猫にとって快適な環境が整います。また、外の景色を見られる窓辺に、猫用のベンチやスペースを設けることで、猫が楽しめる要素が加わります。
6. 適度な刺激と遊びの場
猫は日常的に刺激を求める動物です。部屋の中に遊び場やチャレンジできる要素を設け、猫が運動や狩猟本能を発揮できる環境を作ることが大切です。キャットタワーやおもちゃ、爪とぎ場所を配置することで、猫が退屈せずに過ごせるようになります。
7. 掃除しやすい設計
猫の毛や爪とぎによるゴミが出やすいので、掃除しやすい設計も必要です。収納スペースを多めに確保し、猫砂やフードをまとめて管理できる場所や、汚れた際に掃除がしやすいフローリングや壁材を採用すると良いでしょう。
猫が暮らしやすい家を設計する際には、猫の本能や習性に配慮し、高低差のある空間や隠れ場所、安心して過ごせるスペースを確保することが重要です。また、匂い対策や安全性の確保も欠かせません。これらを踏まえた住宅設計が、猫にとって快適で健康的な暮らしを提供します。
猫の縄張りについて考えられた住宅設計
猫の縄張りを考慮した住宅設計は、猫が自分の領域を安心して守り、快適に暮らせる環境を作ることが重要です。猫は本能的に縄張り意識が強いため、設計にはその習性に基づいた工夫が求められます。以下に、具体的なポイントを説明します。
1. 領域の分割とゾーニング
猫は縄張りを「コアエリア」「パトロールエリア」「境界エリア」に分けて認識します。このため、住宅設計では、猫が落ち着けるコアエリア(リラックスできる場所)と、活動や遊びができるパトロールエリアを設けることが重要です。たとえば、寝室や静かな場所に猫専用の隠れ家やベッドを用意し、リビングや廊下にはキャットウォークや遊び場を作ることで、猫の縄張りを分けることができます。
2. 縦方向の空間利用
猫は高い場所を好むため、キャットウォークや棚を設置することで、縦方向にも縄張りを拡張できます。特に多頭飼いの場合、猫同士が異なる高さで過ごせることで、縄張り争いを減らすことができます。これにより、猫が自由に移動しつつ、自分の安全な場所を確保できます。
3. 隠れ家やプライベートスペースの確保
猫はストレスがかかると隠れたくなる習性があるため、隠れられる場所を複数用意することが大切です。クローゼットの中や、キャットタワーの中に設けられたボックス型のスペースなど、猫が外敵から身を守れる場所があると安心します。これは縄張りの中でも特に「コアエリア」として重要な部分です。
4. 窓辺や外部へのアクセス
猫は外の環境を観察するのが好きなため、窓際にキャットステップやベンチを設置して、外の景色が見える場所を作ることも有効です。窓越しに外を眺めることで、自分の縄張り外の「境界エリア」を確認でき、ストレス軽減につながります。また、庭に出られる中庭を設けることで、安全に外気に触れる機会を提供することも猫にとって大きな魅力です。
5. 脱走防止対策
縄張りを意識する猫にとって、外部からの侵入者や自身の脱走は大きな問題です。玄関や窓には脱走防止のフェンスやドアを設置し、猫が安心して生活できるようにしましょう。また、外部から猫が侵入しないよう、外壁や窓にも対策を施すことが重要です。
6. 複数猫のための個別スペース
多頭飼いの場合、それぞれの猫が自分の縄張りを持てるよう、スペースを分けることが重要です。例えば、各猫がそれぞれのキャットタワーや寝床を持ち、互いに干渉せずに過ごせるようにすることで、縄張り争いを防ぐことができます。
7. 匂いと視覚の管理
猫は匂いに敏感で、縄張りの中に自分の匂いがあると安心します。そのため、家具や床材には猫の爪研ぎや体をこすりつけることができる素材を選ぶと良いでしょう。また、猫同士の視線を遮る工夫も縄張り意識を和らげるのに役立ちます。例えば、カーテンや仕切りを使って見えないエリアを作ることで、猫の精神的なストレスを軽減することができます。
猫の縄張りを考えた住宅設計では、猫が安心して自分の領域を持てるように、空間を縦方向に活用したり、隠れ家や高い場所を設けたりすることが重要です。また、複数猫の場合はそれぞれの縄張りを考慮したスペースの分割や、視覚・匂いをコントロールすることで、猫が快適に暮らせる環境を作ることができます。
猫を飼っている方から住宅設計依頼が増えている理由
近年、建築設計事務所で「猫を飼っている方」からの住宅設計依頼が増えている理由は、ペット(特に猫)が家族の一員としての地位を高め、その生活環境や快適さを優先する人々が増えていることが背景にあります。以下に、具体的な理由をいくつか挙げます。
1. 猫のための特別な環境を求める傾向
猫は犬に比べて室内で過ごす時間が長く、運動や遊びを室内で完結させる必要があるため、猫が快適に暮らせる住環境が重要視されます。飼い主は、キャットウォークやキャットタワー、隠れ家、窓から外を眺められる場所など、猫の行動や習性に合わせた工夫を凝らした空間を求めることが多くなっています。このような要望に対応できる設計が求められるため、専門的な設計事務所への依頼が増加しています。
2. ペット共生型住宅の人気
ペットと共に暮らすことを前提とした「ペット共生型住宅」が増加しています。特に、猫はトイレの場所や動線、爪研ぎ場所、毛がつきにくい素材など、細かな配慮が必要です。また、掃除のしやすさや安全性(例えば、猫が脱走しないようにする工夫や、高い場所に上れる安全な構造)が設計の段階から考慮されることが重要です。
3. 飼い主のライフスタイルの変化
現代では、ペットの健康や快適さだけでなく、飼い主自身のライフスタイルや働き方の変化も、住宅設計に反映されています。例えば、在宅勤務が増える中で、飼い主がペットと快適に過ごせる空間の重要性が高まっています。リビングスペースや仕事部屋の設計に、猫と一緒に過ごせる工夫を盛り込む依頼が多くなっています。
4. カスタマイズの需要の増加
既存の住宅では満たせない特別なニーズに応えるため、注文住宅やリフォームの依頼が増加しています。一般的な賃貸住宅や分譲住宅では、猫の行動や生活リズムに対応しきれないことが多いため、設計段階から飼い主の要望を反映させたオーダーメイドの住宅が求められています。
5. ペットフレンドリーなデザインの流行
建築やインテリアデザインの分野では、猫を含むペットに配慮した「ペットフレンドリーなデザイン」が一種のトレンドとなっており、これが広がることで設計事務所への依頼が増えています。デザインの中に「猫専用スペース」や「遊び場」としての要素を組み込むことが、ペットと共に暮らす家族の間でステータスや豊かさの象徴と見なされるケースも増えています。
猫を飼っている方からの住宅設計依頼が増えている背景には、猫を家族として扱う意識の高まりや、それに伴う猫の生活空間への配慮、ライフスタイルの変化が大きな影響を与えています。建築設計事務所は、このようなニーズに対応するため、ペット共生型住宅の設計やリフォームに特化したサービスを提供することが求められているのです。
賃貸集合住宅(マンション・アパート)設計プロジェクトの解説
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