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自然光の取り込み方の違いで、木肌がより美しく、木を彩る方法。住宅から介護施設まで。

執筆者の写真: t-oginot-ogino

木と光が美しい介護施設

事例を見る:Case23「木と光、六角形の看護施設・神奈川県伊勢原市」


ある設計者の話「家が成る(家成)」という苗字を信頼して、設計依頼があるそうです。わたしの名前には「木」と「光」の文字が入っています。文字通り木と光の美しい建築が設計できるでしょ。という??な理屈でオファーが来て設計した建築がこの建築。お仕事の不思議。。。


木と光が美しい介護施設

実際は、名前の文字だけで設計依頼が来る訳では無くて、これまでの設計の内容や設計に対する考え方に惹かれて戴いて、最後の一押しが漢字だったりします。でも、「木と光」を気に入って貰ったので、「木と光にフォーカス」した設計をしました。


食堂と各個室

事例を見る:Case23「木と光、六角形の看護施設・神奈川県伊勢原市」


天窓と北側窓から入った光が、2階の白い壁に反射し、木で包まれた1階に美しい光が注いでいます。1階壁はタモ材・床はオーク・吹抜け天井は針葉樹で優しい印象です。


神奈川県伊勢原市の、看護小規模多機能型居宅介護施設の設計



自然の光をとり込む事で、木材が美しく魅力的になる


自然光が木材を美しく魅力的に見せる理由は、光と木材の独自の関係にあります。いくつかの要素が関係しています:


1. 自然光の色温度と木材の色合い

自然光は、太陽の位置や天候によって色温度が変わります。朝や夕方は暖かいオレンジや赤みを帯びた光が差し込み、昼間は白っぽく冷たい光が入ります。この変化が、木材の温かみや自然な色合いを際立たせる効果を持っています。特に暖かい光は、木材の持つ赤みや黄みを引き立て、柔らかくリラックスした雰囲気を作り出します。


2. 木目と陰影の強調

自然光は木材の表面に当たると、木目の凹凸により陰影を作り出します。この陰影が木材の質感や深みを強調し、立体的で豊かな表情を生み出します。特に斜めから入る光や朝夕の低い角度の光は、木目のディテールをより強調して見せます。


3. 光による温もりと質感の強調

木材はもともと温かみのある素材であり、自然光によってその温もりがさらに引き立てられます。人工光では再現しにくい柔らかな光が、木の表面を照らすことで、木材の柔らかさや自然な手触りを感じさせるように見えます。


4. 時間の経過による色の変化

木材は時間が経つにつれて、自然光にさらされることで「経年変化」を起こします。紫外線や酸素との反応により、木材は徐々に色が深まったり、味わいが増していきます。この変化は多くの人にとって魅力の一つであり、自然光の影響を受けた木材は、その経年変化によってさらに独特の風合いを持つようになります。


5. 木材の反射特性

木材は、光を吸収する性質と、反射する性質の両方を持っています。表面の仕上げによっては、木材が柔らかく光を反射し、空間全体に自然な輝きを与えることができます。特に無垢材やオイルフィニッシュされた木材は、光を優しく反射することで、木材そのものの質感と色を引き立てます。


6. 木材の自然なパターンと色の多様性

木材は、自然の中で育った素材であるため、一つとして同じパターンや色がありません。自然光が当たることで、それぞれの木材が持つ独自のパターンや色の微妙な違いが際立ち、一層魅力的に見えるのです。


自然光は、木材の持つ自然な美しさを引き出し、空間全体に調和と温もりをもたらす重要な要素です。そのため、家づくりやインテリアデザインにおいて、木材と自然光の相性を考慮することは非常に重要です。



木と光が美しい建築の設計方法


木と光を効果的に活かした建築設計は、自然素材と光を調和させ、空間全体に温かみと美しさをもたらす手法です。以下は、木と光を最大限に生かすための設計方法のポイントです。


1. 大きな窓と開口部の配置

木材の美しさを引き立てるには、自然光を豊かに取り込むことが重要です。大きな窓や開口部を設け、光が木材に十分に当たるようにすることで、木目や質感が引き立ちます。特に以下のような工夫が効果的です:


  • 南向きの窓: 日中の安定した光を取り込み、木の自然な色合いを引き立てることができます。

  • 天窓(トップライト): 上方からの光は、木材の立体感を強調し、空間に開放感を与えます。吹き抜けや中庭と組み合わせると、光がより効果的に拡散されます。

  • 縦長窓やスリット窓: 光の帯が木材に当たることで、木目の陰影や表情が劇的に際立ちます。


2. 光の動きを設計に取り込む

一日の中で太陽の角度が変わり、光の質も変わります。朝は柔らかな光、昼は明るく、夕方は暖かい光が差し込みます。この時間による光の変化を設計に反映させることで、木材が時間と共に異なる表情を見せます。


  • 東向きの窓: 朝日が差し込むことで、木材が朝の柔らかい光を受け、心地よいスタートを提供します。

  • 西向きの窓: 夕方の暖かい光が木材の色合いを強調し、落ち着いた雰囲気を作り出します。


3. 吹き抜け空間と木材の相性

吹き抜けは、光を取り込むための大きな効果を持ちます。天井が高い吹き抜けの空間に木材を使用することで、木の存在感を際立たせつつ、光が上下に広がるため、開放的で明るい空間を作り出します。吹き抜けの梁や天井に木材を使用することで、自然光と相まって木の温もりが強調されます。


4. 間接照明と自然光のバランス

夜間や曇りの日など、自然光が少ない時にも木材を美しく見せるためには、間接照明の工夫が必要です。光を天井や壁に反射させて木材を柔らかく照らすことで、木の質感や色合いを壊さず、温かい空間を作り出せます。ポイントは、直接光を木材に当てるのではなく、反射光や拡散光を使うことです。


5. 木材の種類と仕上げの選定

光が木材にどのように当たるかは、木材の種類や仕上げによっても異なります。木材選びと仕上げを慎重に行うことで、光の効果を最大化できます。


  • 無垢材: 自然な質感を持ち、光を吸収する性質があるため、柔らかく落ち着いた雰囲気を作り出します。

  • オイルフィニッシュ: 木材の自然な色を際立たせ、光が優しく反射する仕上げです。

  • 磨き仕上げ: より光沢のある木材に仕上げることで、光を反射し、空間に輝きをもたらします。


6. 木の質感を引き立てるテクスチャと光の調和

木の粗さや節、木目の流れなど、木材の自然なテクスチャは、光の当たり方によって様々な表情を見せます。たとえば、床や壁に節が多い木材を使うと、光が当たったときにその自然な模様が強調され、より個性的な空間が生まれます。また、平滑な木材と粗い木材を使い分けることで、光と影のコントラストを利用したデザインも可能です。


7. 植栽との組み合わせ

木材と自然光だけでなく、緑の植栽を取り入れることで、さらに調和の取れた空間を作り出すことができます。自然光が木材と植物に当たることで、より豊かな自然の雰囲気を感じられる空間が生まれます。木材と植栽の色合いが自然光に反応し、季節による変化も楽しむことができます。


8. インナーバルコニーや半屋外空間の活用

インナーバルコニーや半屋外空間を設けることで、外部の自然光を柔らかく取り込む設計が可能です。このような空間では、木材を使って温かい雰囲気を作り出しつつ、光のコントロールもしやすくなります。たとえば、バルコニーの木製デッキや壁面の木材仕上げが、外からの光を受けて美しく映えます。


9. 再生可能エネルギーとの連携

太陽光を取り込む設計は、エネルギー効率の高い建築と相性が良いです。ソーラーパネルや自然換気システムを組み合わせることで、光と木材の美しさを保ちながら、持続可能な建築を実現できます。


これらの要素を組み合わせることで、木材と自然光が共鳴し合い、美しい建築空間が完成します。自然の中で育った木材の温かみや個性を、光を通じて最大限に引き出すことが、魅力的な設計のポイントです。



自然光を北側窓から取り込む良さ


北側の窓から自然光を取り込むことは、特に日本の気候や建築設計において重要な役割を果たします。北向きの窓からの光は、南側からの直射日光とは異なる特徴を持ち、特定のメリットがあります。以下に、北側窓からの自然光の良さについて詳しく説明します。


1. 安定した柔らかい光

北向きの窓は、直射日光を受けにくく、間接的で穏やかな光が入りやすい特徴があります。この光は一日を通して安定しており、時間や季節による極端な変化が少ないため、安定した照明効果をもたらします。強い日差しによるまぶしさや過剰な暑さを避けながら、空間に自然な明るさをもたらします。


2. 均一で拡散された光

北側の光は直射日光ではなく、拡散光が主です。このため、部屋全体に柔らかく均一に光が広がり、影ができにくい特徴があります。特に、作業スペースや居住空間においては、まぶしい日差しがなくても明るさを保つことができ、快適な環境を提供します。


  • デザインやアートの作業スペースに最適: 均一で自然な光は、色の再現性が高く、物のディテールが正確に見えるため、デザイン作業や絵画など、色彩の重要な作業に向いています。

  • ワークスペースに最適: 影ができにくいので、北向きの窓からの光は、目が疲れにくい環境を提供し、仕事や学習に適した空間を作ります。


3. 熱負荷の軽減

北側窓からの光は、直射日光ではないため、室内が過剰に暖まることがありません。特に夏場には、南や西からの直射日光によって室内が暑くなりすぎる問題が避けられ、エアコンの使用を抑えることができます。北向きの窓を活用することで、よりエネルギー効率の高い設計が可能です。


4. 視覚的快適さ

北側からの光は、穏やかで目に優しいため、長時間過ごすスペースやリラックスしたい空間に適しています。例えば、読書や休憩をするスペースに北向きの窓を配置することで、視覚的に心地よく過ごせる空間を作り出すことができます。光の強弱が少なく、長時間の作業や趣味に集中しやすい環境を提供します。


5. 木材やインテリアの美しさを引き立てる

北向きの穏やかな光は、木材や他のインテリア素材の色合いを自然に引き立てます。直射日光が当たると、木材が色あせたり、過度な反射で眩しさが生じることがありますが、北向きの光はそのような影響を与えません。木材の自然な風合いがそのまま維持され、美しく照らされます。


  • 家具や床材が均一に照らされる: 特にダークトーンの木材や繊細なテクスチャを持つ素材が、自然光のもとで均一に照らされ、魅力を発揮します。


6. 光の質感と心理的な効果

北側の光は落ち着いた雰囲気をもたらし、リラックスした空間づくりに寄与します。強い日差しではなく、柔らかい光が降り注ぐことで、空間全体に穏やかな印象を与え、居住者のストレスを軽減する効果が期待できます。特にリビングルームや寝室、または瞑想や休憩のための空間に北向きの窓を取り入れることで、心地よい空間が実現します。


7. デザイン上の利点

北向きの窓は、視覚的なつながりを提供しつつ、プライバシーを守りやすいという利点もあります。南側や西側に比べ、隣接する建物や通行人からの視線を遮りつつ、自然光を取り込むことができるため、プライバシーと光のバランスをうまく取ることができます。


8. 日射管理がしやすい

北側からの光は穏やかで熱をもたらさないため、窓に遮光カーテンやブラインドを設置する必要が少なく、手入れが簡単です。また、日射量の管理がしやすいため、過剰な眩しさや熱気を抑える設計が容易です。


9. 北向きの庭や景色の取り込み

北向きの窓を活用することで、外の景色や庭の自然の美しさを穏やかに取り入れることができます。特に、直射日光を避けながら外の景観を楽しみたい場合、北側の窓は最適です。庭や緑地が北側にある場合、その景観が優しく部屋に取り込まれ、リラックスできる空間が生まれます。


北側の窓から取り込む自然光は、安定していて柔らかく、目に優しい光を提供します。この光は、まぶしさや熱を避けながら、空間を明るく心地よいものにするため、作業スペースやリビングルーム、休息のための空間などに最適です。また、木材やインテリアの自然な美しさを引き出す効果もあり、特に素材の色や質感を活かしたい設計においては、北向きの窓が効果的です。



天窓をつくる時の注意点


天窓(トップライト)を設置する際には、いくつかの注意点があります。天窓は自然光を取り入れる素晴らしい方法ですが、適切に設計・設置しないと、様々な問題が生じる可能性があります。以下は、天窓を作る際の主な注意点です。


1. 防水対策

天窓は屋根に取り付けるため、防水対策が非常に重要です。不適切な取り付けや防水処理が不十分だと、雨水が侵入しやすく、漏水の原因になります。以下の対策を講じることが重要です:


  • 適切な取り付け: 天窓は専門の技術者に取り付けてもらうことが推奨されます。確実な取り付けと防水処理が必要です。

  • 防水材の使用: 防水シートやシーリング材を使って、天窓周辺の防水処理を徹底します。

  • 排水の工夫: 屋根の傾斜に合わせた排水設計を行い、水が天窓周辺に溜まらないようにします。


2. 断熱性能

天窓からの熱の損失や過剰な熱取得を防ぐため、断熱性能を考慮することが重要です。


  • 断熱ガラスの使用: 高性能な断熱ガラスやトリプルガラスを使用することで、断熱性を向上させます。

  • 天窓枠の断熱: 天窓のフレームや枠も断熱材で包むことで、熱損失を抑えます。


3. 光の調整

天窓からの直射日光は、室内の明るさや温度に大きな影響を与えるため、光の調整が必要です。


  • ブラインドやシェード: 直射日光を調整するための内蔵型ブラインドや外付けのシェードを使用します。

  • 調光機能: 光の量を調整できる調光機能を備えた天窓を選ぶと便利です。


4. 通風の考慮

天窓は自然換気の機会を提供しますが、通風設計も重要です。通気が不足すると、熱や湿気がこもる原因となります。


  • 開閉機能: 手動または電動で開閉できる天窓を選ぶと、通風が容易になります。

  • 換気システムの併用: 天窓だけでなく、他の換気手段と組み合わせることで、効果的な通風が実現します。


5. 設置場所と角度

天窓の設置場所や角度も重要です。設置位置や角度によって、光の取り込み方や視界が変わります。


  • 屋根の傾斜: 天窓は屋根の傾斜に合わせて設置することが一般的です。屋根の傾斜角度を考慮し、最適な位置に設置します。

  • 周囲の遮蔽物: 隣接する建物や樹木など、周囲の遮蔽物によって光の取り込み方が変わるため、設置位置を検討します。


6. 安全性の考慮

天窓は高い位置に取り付けられるため、設置やメンテナンスの際の安全性が重要です。


  • 施工の安全: 天窓の設置は専門家に依頼し、安全な施工を行うことが重要です。

  • 点検とメンテナンス: 定期的な点検とメンテナンスを行い、天窓の状態を良好に保ちます。


7. デザインとの調和

天窓のデザインは、建物全体のデザインと調和させることが重要です。


  • 外観の統一性: 天窓のデザインや形状は、建物の外観と統一感を持たせるようにします。

  • 内装との調和: 内装デザインと天窓の取り付け位置やサイズも考慮し、空間全体との調和を図ります。


8. 光の品質と温度管理

天窓からの光の質や室内の温度管理も考慮が必要です。


  • UVカット機能: UVカット機能のあるガラスを使用することで、室内の家具やカーペットの劣化を防ぎます。

  • 温度管理: 夏場の過剰な熱取得を防ぐため、遮熱機能のあるガラスやブラインドを使用します。


天窓は自然光を効果的に取り入れる素晴らしい方法ですが、適切な設置と管理を行わないと、様々な問題を引き起こす可能性があります。上記のポイントを考慮し、プロフェッショナルと相談しながら設計・設置を進めることが重要です。


【公式ホームページはこちらから → 株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所】

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