築60年?お父様から、引き継いだ都心の狭小住宅。
家族の一員でも有る、猫ちゃんとの暮らしを大切にしているご家族が実現した、猫とともに住む家の完成までのストーリーです。
猫が快適な家は、実は人間も快適!
家の中に1番長い時間いるのは誰でしょうか?
お母さん?息子?おじいちゃん?
いえいえ、実は1番長い時間、家にいるのは家族の一員である猫ちゃんです。
ねこを飼っているお家では、ほとんど猫を外に出す事は有りません。
特に都心では、半外飼いのねこは今少なくなっています。
猫はストレスが溜まると粗相をしたり暴れたり、てきめんに行動に現れます。
ストレスをもたらすのは、何でしょうか?
環境です。
暗く、せせこましく、窮屈な環境は猫のストレスになるんです。
実際このお宅の猫ちゃんも、工事中の仮住まいでは、ストレスが溜まり粗相をよくしていました。
あれ?これ人間も同じでは?
明るくおおらかで、開放感のある家だと、人は快適に住めますよね!
猫も人間も根本的な所では同じです。
ところが、都心の狭小住宅は、暗く、狭く、圧迫感のある家になりがちです。
このお宅では、明るさ開放感を求めながら、そのための工夫が、猫の行動特性にもぴったりあった家を実現しました。
猫は高いところが好き!
どうしてでしょうか?
猫は高いところが好きです。
アニメなんかでも家の塀の上を歩く猫の姿が良く描かれています。
こちらのお宅の猫ちゃんも、高いところが好き。
普段は棚の上にいたかと思えば、棚からポンとジャンプして人の肩に乗って来たり自由気ままに行動をしていました。
設計の打ち合わせで、何度も伺っている私にもすぐ懐き、いきなり肩の上に乗られて、焦った事もあります。
奥様、旦那様いわく、自分の方が偉いと思いたいから、上の方にいるのよ!との解説。
また、自由奔放な猫は、ひとつの部屋だけにいるわけでは無く、階段を登り降りし、色々な部屋を楽しげに行き交い、かっ歩しています。
人とは違う猫の歩く道
高いところが好きで、棚の上にいたり、テーブルの下に隠れていたり、自由気ままに家の中を移動する猫ちゃん。
人とは、歩いている場所も位置も異なります。
猫のための動く場をつくってあげたい。
ところが、狭小住宅はスペースが限れています。
猫のためだけの場所をつくり、いかにもキャットウォークよというつくりでは、無駄が多い。
そこで、2つの工夫をしました。
ひとつは、作り付けの本棚に、猫が上がって歩く隠れたキャットウォークを仕込みました。
猫が駆け上がる足場の板は、猫ちゃんが使わない時は、旦那様のコーヒーカップ置き場になり、携帯の充電場所にもなり、違和感無く部屋に溶け込んでいます。
猫が快適な家の設計方法
猫が快適に過ごせる家の設計は、猫の行動パターンや習性を考慮することで、猫も人間も快適に暮らせる空間を作ることができます。以下に、猫が快適に過ごせる家の設計方法について詳しく説明します。
1. キャットウォークとキャットタワーの設置
高い場所が好きな猫のために、壁にキャットウォークを設置するのが理想的です。これにより、猫は部屋の中を見渡すことができ、安全な気持ちで過ごせます。
キャットタワーを部屋の隅に置くことで、猫が運動不足にならないようにし、遊びの場を提供します。
2. 窓辺のスペースを確保
猫は外の景色を見るのが好きなので、窓辺にキャットベッドや猫用のクッションを置くと良いでしょう。これにより、外の景色を楽しみながらリラックスできるスペースができます。
窓に簡単にアクセスできるよう、キャットウォークを窓辺まで延ばすのも効果的です。
3. 隠れ場所の確保
猫はストレスを感じたときや落ち着きたいときに隠れる場所が必要です。例えば、クローゼットの一部や家具の下に隠れられるスペースを設けたり、キャットハウスや猫用トンネルを配置することで、安心して過ごせる場所を提供します。
4. 爪とぎ場所の設置
猫は爪とぎをすることでストレスを発散し、爪のケアをします。適切な場所に爪とぎポールや爪とぎマットを設置することで、家具を守りながら猫の健康を維持できます。
5. トイレの配置
猫のトイレはプライバシーが保たれる静かな場所に配置するのが理想的です。人の目から隠れる場所で、かつ換気が良い場所を選びましょう。専用のトイレ収納家具を使うと、デザイン的にも部屋に馴染ませることができます。
6. 空調と温度管理
猫は快適な温度が好きなので、室温が快適に保たれるようエアコンや暖房設備を整えておくことが重要です。また、日当たりの良い場所にベッドやクッションを置いて、日向ぼっこできるスペースを提供しましょう。
7. 安全な屋外スペース(キャティオ)
安全に屋外を楽しめるように、ベランダや庭に猫用の囲いを設ける「キャティオ」を作るのも良いアイデアです。これにより、猫は安全に新鮮な空気を楽しみながら外の景色を堪能できます。
8. 階段のデザイン
猫は階段を上り下りするのも楽しむため、階段のデザインにも配慮しましょう。幅広で段差が低めの階段を設計し、猫が楽に移動できるようにします。キャットステップを階段の壁に設置するのも良いです。
9. おもちゃと遊び場の配置
猫が飽きないように、おもちゃを様々な場所に配置したり、定期的に入れ替えたりします。これにより、猫が家の中で楽しく活動的に過ごせます。
10. 食事と水のエリア
猫の食事スペースは静かで安心できる場所に設けます。水のボウルや自動給水機を設置することで、いつでも新鮮な水を飲める環境を整えましょう。
猫が快適に過ごせる家を作るには、猫の視点に立って空間をデザインすることが大切です。これらの要素を取り入れることで、猫も人間も共に幸せに過ごせる家を作ることができます。
猫が高い場所が好きなのは何故?
猫が高い場所を好む理由はいくつかあり、これらは彼らの自然な行動や進化の歴史に基づいています。以下に、猫が高い場所を好む主な理由を説明します。
1. 捕食者からの安全確保
野生の猫は、捕食者や他の危険から身を守るために高い場所を好む傾向があります。木の上や岩の上などの高所にいることで、地上の捕食者から離れ、安全な場所に身を置くことができます。家の中でも、同じような安全を感じるために高い場所を選ぶことが多いです。
2. 獲物を見つけるため
野生の猫は、獲物を狩るために高い場所に登ることがよくあります。高所から周囲を見渡すことで、獲物の動きに気付きやすくなります。この行動は狩猟本能の一部であり、家猫にもその名残が見られます。高い場所にいることで、周囲を観察しやすくなり、潜在的な興味や食事の対象を見つけやすくなります。
3. 領域の監視と支配
猫は自分のテリトリーを大切にします。高い場所から部屋全体や家の周囲を見渡すことで、自分の領域を監視し、安心感を得ることができます。また、高所にいることで他の猫や動物に対して優位性を示すことができ、社会的な地位の確認にもつながります。
4. ストレスの軽減
高い場所は猫にとって隠れ家のような役割を果たします。特にストレスや不安を感じているとき、猫は自分の存在をあまり感じさせず、落ち着ける場所を求めます。高所は人間や他の動物の手が届きにくいため、安心感を得やすいのです。
5. 快適な温度の確保
高い場所はしばしば暖かい空気が溜まりやすいため、猫は快適な温度を求めて高いところに行くことがあります。特に寒い季節には、部屋の上部が温かくなりやすく、猫がそのような場所を選ぶことが増えるでしょう。
6. 好奇心と楽しみ
猫は非常に好奇心旺盛な生き物であり、新しい視点から周囲を観察することを楽しみます。高い場所に登ることで、新しい視界や刺激を得ることができ、退屈を防ぐことができます。また、キャットタワーやキャットウォークなどの設置により、遊び場としても活用できます。
7. プライバシーの確保
家の中に他のペットや子供がいる場合、猫は高い場所に避難することでプライバシーを確保し、騒がしい環境から距離を置くことができます。自分だけのスペースを持つことで、ストレスを減らし、リラックスできる環境を作ることができます。
これらの理由から、猫は高い場所を好む傾向があります。家庭内でキャットウォークやキャットタワーを提供することで、猫の自然な行動を尊重し、快適で安心できる環境を提供することができます。
暮らしの中での人と猫の距離感
暮らしの中での人と猫の距離感は、互いの性格、生活環境、猫の年齢や体調など、さまざまな要因によって異なりますが、以下のような特徴や傾向があります。
1. 性格による距離感の違い
人懐っこい猫: 人に対して積極的に接触を求める猫は、常に近くにいたがることが多いです。このタイプの猫は、飼い主が座っていると膝の上に乗ってきたり、寝ているときに一緒に寝ようとしたりします。人の存在が安心感を与えるため、頻繁に触れ合いたがる傾向があります。
慎重な猫: 逆に、やや慎重で自立した性格の猫は、一定の距離を保ちながらも、人の周りにいることを好むことがあります。このような猫は、飼い主のそばに座ったり、同じ部屋にいたりすることを好みますが、直接の接触や抱っこを避ける場合があります。
2. 生活環境による影響
静かな環境: 静かで落ち着いた環境では、猫はリラックスして人の近くにいることが多いです。このような場合、猫は飼い主の足元で丸くなったり、ソファやベッドの隣でくつろいだりします。
にぎやかな環境: 子供がいる家庭や、騒がしい環境では、猫は少し距離をとりたがることがあります。安全で落ち着ける場所(高い棚の上や猫用の隠れ家)に隠れていることが多いかもしれません。
3. 猫の年齢や健康状態
子猫: 子猫は好奇心旺盛で、人と遊ぶのが大好きです。飼い主に対しても積極的に接触を求めることが多く、近くにいることが多いでしょう。
成猫: 成猫になると、猫の性格や生活スタイルに応じて距離感が決まります。多くの場合、猫は自分のスペースを大切にしながらも、人との交流を楽しむバランスを取ります。
高齢の猫: 高齢の猫は、体力や健康状態の変化により、より多くの時間を静かに過ごすことを好むかもしれません。そのため、人と近くにいることはあっても、抱っこや激しい遊びよりも穏やかな触れ合いを求めることが多いです。
4. 飼い主との信頼関係
猫が飼い主に信頼を寄せている場合、猫はリラックスし、人のそばにいることを好む傾向があります。信頼関係が築かれていると、猫は自ら進んで人の近くに寄ってきて、撫でられることや話しかけられることを楽しみます。
信頼関係がまだ構築されていない場合や、トラウマを抱えている猫は、一定の距離を保ちながらも、徐々に人に慣れてくることがあります。時間をかけて優しく接することで、距離感が縮まっていくでしょう。
5. 生活のリズムと習慣
猫は習慣的な動物であり、特定の時間帯に人と接触したり、特定の場所で休んだりするのが好きです。飼い主が毎日同じ時間に食事をあげたり、遊んであげたりすることで、猫はそのリズムに慣れ、人との距離感を適切に保つことができます。
人と猫の距離感は、猫の個々の性格や状況、環境によって大きく異なります。重要なのは、猫が安心してリラックスできるように環境を整え、猫自身が心地よい距離感を選べるようにすることです。また、猫のサインを理解し、無理に距離を縮めようとしないことが、猫との良好な関係を築く鍵となります。
キャットウォークについて
キャットウォークとは、猫が家の中を自由に移動したり遊んだりするための専用の通路や棚のことを指します。壁や天井付近に取り付けられ、猫が高い場所を歩いたり、休んだりできるように設計されています。キャットウォークは猫の自然な行動や本能を満たすために設けられるもので、猫が家の中でより活動的で満足感を感じながら暮らせるようにするための工夫です。
キャットウォークの特徴
高い位置: 多くのキャットウォークは、壁の上部や天井付近に設置されます。猫は高い場所が好きで、そこから家全体を見渡すことができるため、安全で安心感を得られます。
複数のレベル: キャットウォークは一つの棚だけでなく、複数のレベルやルートを持つことが一般的です。これにより、猫がジャンプしたり、遊んだり、運動することができるようになります。
安全性: キャットウォークは猫が安全に移動できるように設計されています。滑り止めの素材を使用したり、適切な幅を確保したりすることで、猫が落下するリスクを減らします。
素材: 木材やカーペット、布などが一般的に使用されます。猫が爪を研ぐことができる素材を選ぶことで、家具やその他の家の部分が傷つくのを防ぐ効果もあります。
インテリアとの調和: 現代のキャットウォークは、部屋のデザインやインテリアに合わせて美しく設計されることが多いです。家の美観を損なわないようにデザインされるため、飼い主の満足度も高まります。
キャットウォークの利点
運動不足の解消: 室内で飼われている猫は、運動不足になりがちです。キャットウォークは猫が走り回ったり、ジャンプしたりする機会を提供し、健康的な生活を支援します。
ストレスの軽減: 猫は自然界での探索活動や狩りの本能を持っています。キャットウォークを使って家の中を探索することで、精神的な刺激を得て、ストレスを軽減することができます。
縄張り意識の充足: 高い場所から部屋全体を見渡せるキャットウォークは、猫が自分の縄張りを把握し、安心感を得るための手段にもなります。
多頭飼いの場合の安心感: 複数の猫がいる場合、キャットウォークは猫たちがそれぞれのスペースを持ち、個々の安心感を保てるようにします。特に高い場所は、猫が他の猫から逃げるための避難場所としても利用されます。
キャットウォークは、猫の生活の質を向上させるための素晴らしいアイテムです。猫が安全に遊び、運動し、安心して過ごせるように設計されており、飼い主との距離感を適切に保ちながら、猫にとって楽しい生活空間を提供します。デザインや設置場所に工夫を凝らすことで、飼い主にとっても魅力的なインテリアの一部となるでしょう。
戸建て木造リノベーション設計プロジェクトの解説
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