一体空間にリノベーション
住まいの間取りには、全体を「一体的」に使う間取りと、細かく分節して個々で使う「独立」した場所がつながっていく間取りがあります。
どちらが良いかは、家族の生活スタイルによって変わっていきます。このリノベーションマンションでは、家全体で暮らす「一体空間」の設計をしました。空間にゆとりを感じると共に、家族の中心として、家とリビングが存在する間取りです。
引戸を開け放して2室を1室に
リビングとダイニングに45度挟んで接する場所に、一部屋あります。この部屋は、引き戸2箇所を、開け放つとリビングとダイニングと一体の広い場になります。引き戸上の欄間はオープンになっていて、引き戸を閉じている時も、一体感覚を感じます。
この部屋、来客時に泊まれる部屋で有ると共に、子供達のプレイルームでもあります。リビングと合わせて、大きな居間にもなります。フレキシブルな使い方が出来る場所がリビング、ダイニングと紐づくり事で、家全体が一体になった感覚で暮らす、生活の場になりました。
窓の位置が変わらないのがマンションリノベーション
マンションリノベーションの場合は窓の位置が変わりません。窓位置を変えずに設計をするのが、苦しみでもあり、面白さでもあるんです。特に、光の入り方を開口部でコントロール出来ないぶん、間取りの工夫でどう光を取り込むのか、解決するのが、常道です。
南西角にある窓から、部屋の中を斜めに光が入って来る間取りにしました。一直線に平面を斜めに光が貫く為、奥行の有る住戸全体が自然光で明るくなります。
斜めに光が入って行く
本来、西向きの部屋のマンションでしたが、どうしても、南西角の最も明るい、南面窓、西面窓から光を取り入れたい。そこで南西角にダイニング、繋がる中央にリビングと一対の部屋を斜めに並べて、光が住戸の奥まで入る間取りにこだわり設計しました。
ビフォーPHOTO
ビフォーアフター(リノベーション)の内容
・天井を撤去して、天井高を高くする。
・壁を撤去して、部屋を大きくする。
・窓サッシは、カバー工法で入れ替え、断熱性を高くする。
・照明はサークルサイン(円形の蛍光灯)から、ダクトレール+スポットライトに変更。
・天井ボードを撤去して、コンクリートを露出させて白い塗装をする。
・床畳・CFシートを撤去して、無垢突板フローリングに。
・吊戸の可動間仕切りで、可変性のある空間に。
・壁付けキッチンから、ペニンシュラキッチンに。
・間取りは全て変える。
アフターPHOTO
「ルーバー天井の家」
設計:株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所
場所:東京都板橋区
延床面積:104.57㎡
内容:マンションリノベーション
構造:コンクリート造
用途:集合住宅
施工:2住戸→1住戸にリノベーション
一体的に使うマンションにリノベーションする設計
一体的に使うマンションにリノベーションする際の設計ポイントはいくつかあります。具体的なニーズや希望に合わせて、以下の要素を検討してみると良いでしょう。
1. 間取りの変更
オープンフロアプラン: 壁を取り払ってリビング、ダイニング、キッチンを一体化させることで広々とした空間を作る。
ゾーニング: 使用目的に応じて空間を分ける(例えば、プライベートゾーンとパブリックゾーンの分離)。
2. 機能性と快適性
収納の確保: 収納スペースを充実させる(ビルトイン収納やパントリーの追加など)。
設備のアップグレード: 最新の設備や省エネ機器を取り入れる(浴室、キッチン、空調など)。
3. デザインとスタイル
一貫性のあるデザイン: 色や素材を統一することで、全体的に調和の取れた空間にする。
照明計画: 機能的でありながら雰囲気を作り出す照明を設計する。
4. 安全性とバリアフリー
安全対策: 階段や段差をなくし、滑りにくい床材を使用する。
バリアフリー対応: 車椅子や高齢者向けの設計(例えば、広めのドアや手すりの設置)。
5. 自然光と通風
窓の配置: 自然光を取り入れるための窓の配置や大きさの調整。
通風計画: 空気の流れを考慮して、快適な室内環境を維持する。
6. コストと予算
予算の設定: 全体の予算を設定し、それに応じて設計や材料の選定を行う。
コスト管理: 設計の段階から費用対効果を考慮する。
7. 法律と規制
建築基準法: 必要な許可や規制を確認し、法的に問題のない設計を行う。
マンションの管理規約: マンションの規約に従って設計を行う。
このようなポイントを考慮しながら、リノベーションの設計を進めると良いでしょう。具体的なイメージや要望があれば、それに合わせたアドバイスもできますよ。
家族のライフスタイルにより変わる間取り
リノベーションを行う際には、家族のライフスタイルに合わせた間取りを考えることが非常に重要です。家族のニーズや生活習慣に応じて、間取りをどのように変更すべきかについて具体的な例を挙げて説明します。
1. 家族の人数と年齢層
小さい子供がいる家族:
安全性重視: 階段の手すりや安全ゲートの設置、角の丸い家具など。
プレイルーム: 子供が遊べる専用の部屋やエリアを設ける。
見守りやすい配置: キッチンからリビングやプレイルームが見渡せる配置。
ティーンエイジャーや成人した子供がいる家族:
プライバシー確保: 各自の個室や独立したワークスペースを確保。
共用スペースの工夫: ダイニングやリビングに大きなソファやゲームエリアを設ける。
高齢者がいる家族:
バリアフリー対応: 階段のない平屋建てやエレベーターの設置、広めの通路。
手すりの設置: トイレや浴室に手すりを取り付ける。
ゆったりした間取り: 障害物を避けるために広めの間取りにする。
2. 家族の生活スタイル
仕事と学び:
ホームオフィス: 家で仕事をするための専用のオフィスルームやデスクエリアを設ける。
スタディエリア: 学習や勉強のための静かなエリアや書斎を確保する。
料理や食事のスタイル:
オープンキッチン: 調理中でも家族とコミュニケーションが取れるようにする。
パントリーやアイランドカウンター: 収納や作業スペースを増やす。
エンターテイメントや趣味:
ホームシアター: 映画や音楽を楽しむための専用のエンターテイメントルーム。
趣味の部屋: ガーデニング、アート、音楽などの趣味に合わせた専用スペースを作る。
3. 家族の活動と動線
家族の活動:
フィットネスエリア: 家で運動をするためのジムエリアやヨガルーム。
収納と家事: 使いやすい洗濯室や収納スペースの配置。
動線の工夫:
効率的な動線: 各部屋へのアクセスがスムーズで、家事や日常生活が楽になるようにする。
ゾーニング: 仕事、休息、家事などのエリアを明確に分けて、家族が快適に過ごせるようにする。
4. 将来の変化に対応
成長や変化に合わせた設計: 子供の成長に合わせて部屋の使い方を変更できるフレキシブルな間取り。
リフォームのしやすさ: 将来的にリフォームしやすい設計(例えば、壁を簡単に取り外せるようにする)。
これらの要素を考慮して、家族全員が快適に過ごせるような間取りを設計することが大切です。具体的な家族のニーズやライフスタイルに合わせた間取りの提案が必要であれば、もっと詳しくお話しできるかもしれません。
引戸を開け話して、1室の大きな部屋にする
引戸を使って複数の部屋を一体化し、大きな部屋を作るリノベーションの間取りについて詳しく説明します。引戸はスペースを有効に使い、部屋の用途に応じて柔軟に対応できるため、さまざまなシーンに合わせたレイアウトが可能です。
1. 間取りの基本設計
1.1 引戸の選定と配置
引戸の種類:
フルオープンタイプ: すべての引戸が一方向に完全に引き込まれるタイプ。大きな空間を確保できます。
スライディングタイプ: 部屋を分ける部分だけがスライドして開閉するタイプ。部分的なオープンも可能です。
引戸の配置:
中央部: 複数の部屋を中心で分ける配置。開けると大きな空間が見える。
片側配置: 片側に寄せることで、一部の部屋だけを開けることができる。
1.2 空間の用途に応じたレイアウト
リビング・ダイニング・キッチンを一体化: これらのスペースを引戸で仕切ることで、開放感のある広いリビングやダイニングが実現できます。
多目的ルーム: 子供の遊び部屋やゲストルームなど、用途に応じて引戸で仕切りを変更できるスペース。
2. 設計のポイント
2.1 動線の確保
スムーズなアクセス: 引戸を開けたときに動線が阻害されないように、家具や設備の配置に注意します。
安全性の確保: 引戸のレールや取っ手が障害物にならないように配慮し、特に小さな子供や高齢者に配慮した設計を行います。
2.2 照明と通風
自然光の取り入れ: 引戸が開いたときに、外からの自然光が部屋全体に届くように設計します。
通風の確保: 引戸を開けた際に風通しが良くなるように配置を工夫し、快適な室内環境を維持します。
2.3 音の配慮
音漏れ対策: 引戸が閉じたときに音漏れが少ないように、防音効果のある素材を選ぶか、引戸の隙間にシールを追加するなどの対策を講じます。
3. 具体的な例
3.1 リビングとダイニングの一体化
状況: 家族が集まるリビングとダイニングを一体化することで、食事やくつろぎの時間を共に楽しむ。
設計: リビングとダイニングの間に引戸を設置し、普段はオープンにして広々とした空間を確保。必要に応じて引戸で仕切り、プライバシーを保つ。
3.2 子供部屋とプレイルームの統合
状況: 子供の遊び場と学習スペースを一体化することで、遊びながら学ぶ環境を整える。
設計: プレイルームと学習スペースの間に引戸を設置し、使い分けができるようにする。引戸を開けることで広い空間で遊ぶことができ、閉じることで静かな学習環境を提供する。
3.3 ゲストルームとホームオフィスの統合
状況: ゲストルームとホームオフィスを一つの大きな部屋として使い分ける。
設計: ゲストルームとオフィススペースの間に引戸を設置し、必要に応じて部屋を分ける。ゲストが来たときには引戸を閉じてプライベートな空間を確保し、普段はオープンにして広い作業空間を提供。
4. 最終調整と実装
デザインと仕上げ: 引戸のデザインや素材を部屋全体のインテリアに合わせて選びます。
施工の確認: 引戸のレールや取り付けが確実に行われ、スムーズに開閉できることを確認します。
このように、引戸を使った間取り変更は、空間の柔軟性と利便性を高めるために非常に効果的です。具体的なニーズやライフスタイルに合わせて、引戸の配置や使用方法を工夫すると良いでしょう。
マンションリノベーションでは何故窓の位置を変えられないのか
マンションのリノベーションで窓の位置を変更できない理由は、主に以下の点に関連しています。
1. 構造的な制約
外壁と構造体: 窓は通常、外壁に設置されており、マンションの外壁は構造体の一部です。外壁の変更や窓の位置変更は、建物の構造的な安全性に影響を与える可能性があります。
耐震性: 窓を移動することで、耐震性能が損なわれる恐れがあるため、構造上の理由から変更が難しい場合があります。
2. 管理規約と建築基準
マンション管理規約: マンションの管理規約には、外観や構造に関する制限が設けられていることが多いです。窓の位置変更は建物の外観を変えることになるため、規約で禁止されている場合があります。
建築基準法: 日本の建築基準法には、外壁の変更に関する厳しい規制があり、これに違反する変更は認められないことがあります。
3. 建物のファサード
統一性: マンションは多数の住戸があるため、外壁のデザインや窓の位置が統一されていることが求められます。窓の位置を変更することで外観が損なわれる可能性があるため、個別の変更が難しいです。
4. 安全面
防火性能: 窓の位置変更は、防火性能や避難経路に影響を与える可能性があります。特に高層マンションでは、安全基準が厳しく設定されているため、窓の位置を変更することができません。
5. 費用と手続き
施工費用: 窓の位置変更には大掛かりな工事が必要で、その費用は非常に高額です。また、工事が建物の外部に及ぶため、周辺住民への配慮も必要です。
許可の取得: 窓の位置を変更するためには、管理組合や地方自治体からの許可が必要で、手続きが複雑です。
6. リノベーションの範囲
内装のリノベーション: マンションリノベーションでは、通常、内装や間取りの変更が主な対象となります。窓の位置変更は外装に関わるため、リノベーションの範囲に含まれないことが一般的です。
これらの理由から、マンションのリノベーションで窓の位置を変更するのは難しいのが現状です。もし窓の位置変更が絶対に必要な場合は、マンションの管理組合や専門家と相談し、可能な範囲や代替案を検討することが重要です。
天井を撤去して天井高さを高くする方法
マンションのリノベーションで天井を高くする方法はいくつかありますが、いくつかの注意点もあります。具体的な方法としては以下のようなものがあります:
天井の撤去:
低天井の撤去: 既存の天井を撤去し、上の階のコンクリートスラブまでの高さを利用する方法です。これには構造的な安全性を確認する必要があります。
天井材の取り外し: 既存の天井材を取り外し、梁や配管を見せることで高さを感じさせることもできます。この場合、梁などの構造物が露出するため、デザインとして意識する必要があります。
フロアの下げ:
フロア下げ工事: 天井を高くする代わりに、フロアを下げることで天井高を確保する方法です。ただし、これには床の構造変更が必要となるため、費用と手間がかかります。
これらの方法を検討する際は、マンションの管理規約や許可が必要な場合があるため、事前に確認することも大切です。
マンションリノベーション設計プロジェクトの解説
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