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造作家具・システムキッチンを組み合わせ方で暮らしやすい、マンションリノベーション。

  • 執筆者の写真: t-ogino
    t-ogino
  • 10月7日
  • 読了時間: 10分

窓の外の緑を眺めながら造作キッチンで料理をつくる

設計監理した、「子育て猫の家」。


窓から見える、木の緑を眺めながらの暮らしは気持ちよさそうですね。オープンなタイプのリビングダイニングキッチンです。既存の給排水の位置から、キッチンは壁付けにしました。その代りに造作カウンター(作業+家電置場+食器棚)を製作することで、対面空間になりました。家族が色々な場所に自然にいられる、そんなリビングです。


造作キッチンのマンション


カウンターの下に、食器や家電を隠したおかげでオープンで開放的なキッチンができました。大開口の横にキッチンを配置した効果で、気持ちの良い台所にんりました。オーク材を基調とした造作キッチンカウンターや天井造作はやわらかい場をつくりました。


手前のカウンターは、オリジナル造作。壁付けのキッチンは既製品。カウンターの上には、レンジフードが無くって抜け感があるところが良い感じ。カウンターが不思議な形をしているのは、施主さんの意見を形にした、住まい手の使い方「びたびた」にあわせた設計です。面白いかたち。天井は不燃木。室内をオーク(ナラ)とタモ、樹種は2種類だけで構成する事で、質感を整えてます。


リノベーションだと、設備配管の関係から、キッチンの位置が限定されてしまうことあって、リビング側にキッチンがある対面型キッチンとはならなかったけれど、転じてすっきり広い空間に感じます。


造作したキッチンで調理をしながら、小上がりで遊ぶ子供を見守る


隣の小上がりで、お子さんが遊んでますね。施主憧れの、木板貼りのキッチン天井。天然のオーク材ですが、不燃加工をしていて、火をつかうキッチンでも安心です。リビングとの間のダイニングカウンターは、造作でオリジナル製作。ティッシュやリモコンを置くオープンな場所をつくったり、使い方に最適な設計を細かくしています。オーク材の箱部分んと、左官調の天板の組み合わせです。壁付けのキッチンは使いやすい、LIXILの既製品。既存は天井高さが低かったので、天井を全て無くし、コンクリートに塗装をしています。唯一天井をつくったキッチンだけにダウンライトが組み込まれています。


ゴミ置場が隠れた、キッチンの家具


家電置場を兼ねた、ダイニングカウンターが開放的にリビングとつながっています。カウンターの下に、ゴミ箱や家電を設置。施主の使い方にピッタリあった、超機能的な造作家具です。カウンターの扉はオーク材。天板は左官の質感。木板貼りの天井材も板目のオーク材です。リビング壁面のタモ集成材の棚・カウンターと一緒に、木があることで、やわらかい空間になりました。アクセントウォールのグレーがピリッと効いてます。



「キッチンという場について」


キッチンという空間は、単なる調理の場ではなく、家族の気配が交差し、日々の営みが積み重なる場所です。今回のリノベーションでは、施主の暮らし方に寄り添いながら、機能性と情緒性を両立させた造作家具を中心に、空間全体を設計しています。


まず目を引くのは、リビングとキッチンの間に設けたダイニングカウンターです。これは既製品ではなく、完全オリジナルの造作家具。施主さまの「こう使いたい」という具体的な要望を一つひとつ丁寧に、設計を進めました。家電置き場としての機能を持ちつつ、ゴミ箱や日用品をすっきりと収納できるように設計されたこのカウンターは、まさに「住まい手の使い方に寄り添った」家具です。


カウンターの扉には、天然のオーク材を使用しました。オーク特有の力強くも穏やかな木目が、空間にやさしい表情を与えてくれます。天板には左官仕上げ調の素材を採用し、無機質でありながら手仕事の温もりを感じさせる質感を加えました。木と左官調という異なる素材の組み合わせが、空間に奥行きとリズムを生み出しています。


このカウンターの上には、吊戸棚を設けていません。あえて天井までの視界を遮らないことで、空間に「抜け」をつくり、開放感を高めています。キッチンという機能的な場でありながら、視線が遠くまで届くことで、リビングとのつながりがより自然に感じられるようになりました。


天井にもこだわりがあります。既存の天井は高さが低く、圧迫感がありました。そこで思い切って天井をすべて撤去し、コンクリートに塗装を施すことで、空間に伸びやかさをもたらしました。ただし、キッチンだけは例外。火を扱う場であることを考慮し、不燃加工を施した天然オーク材の板張り天井を設けました。これは施主が憧れていた「木の天井」であり、設計者としてもその想いを叶えることができたことに、喜びを感じています。


この天井にはダウンライトを組み込み、照明計画にも配慮しました。


リビング側には、タモ集成材の棚とカウンターを設けました。オーク材との組み合わせにより、空間全体に統一感と温もりが生まれています。木という素材が持つやさしさは、家族が集う場に自然な安心感をもたらしてくれます。さらに、アクセントウォールにはグレーを採用。木のやわらかさを引き締めるように、空間に程よい緊張感を加えています。


隣の小上がりでは、お子さまが楽しそうに遊んでいる姿が印象的でした。キッチンで料理をする親の気配を感じながら、安心して遊べる距離感。家族の営みが自然に交差する空間です。


今回のリノベーションでは、設備配管の制約から、対面型のキッチンを採用することができませんでした。一般的には、リビングに向かって開かれたキッチンが好まれる傾向がありますが、今回はその制約を逆手に取り、壁付けのキッチンと造作カウンターによって、すっきりとした広がりのある空間を実現しました。

壁付けのキッチンには、LIXILの既製品を採用しています。使い勝手の良さとコストバランスを考慮しながら、造作部分との調和を図りました。既製品と造作家具を組み合わせることで、機能性とデザイン性の両立が可能となり、空間に無理のない自然な流れが生まれています。


室内の素材構成にもこだわりました。オーク(ナラ)とアッシュ(タモ)、樹種はこの2種類に絞り込むことで、空間全体の質感を整えています。異なる木材を多用することで生まれる雑多な印象を避け、統一感と落ち着きを重視しました。木の持つ表情の違いを活かしながら、空間に豊かなニュアンスを加えています。

造作カウンターの形状も一風変わっています。これは施主さまの具体的な使い方に合わせて設計したもので、ティッシュやリモコンを置くためのオープンなスペースや、家電を隠す収納など、細部に至るまで使い勝手を追求しています。


キッチンの配置にも工夫があります。大開口の窓のすぐ横にキッチンを配置することで、自然光がたっぷりと差し込み、気持ちの良い台所空間が生まれました。朝の光の中でコーヒーを淹れる時間、夕暮れ時に家族と食事を囲む時間——そんな日常のひとコマが、より豊かに感じられるような設計です。


この住まいは、単なる機能の集積ではなく、施主の暮らし方や価値観を丁寧に反映したマンションリノベーションです。木の温もり、素材の質感、光の入り方、家族の距離感——それらすべてが調和することで、住まいは単なる「箱」ではなく、「暮らしの場」となります。


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キッチンの造作家具とは


キッチンの造作家具とは、住まいの空間や使い手のライフスタイルに合わせて、オーダーメイドで設計・製作される「造り付けの家具」のことです。既製品のシステムキッチンとは異なり、素材・寸法・機能・配置などを自由にカスタマイズできるため、空間にぴったりと馴染み、使い勝手や美しさを最大限に引き出すことができます。


造作家具とは何か


造作家具(ぞうさくかぐ)とは、建築やリノベーションの際に、空間に合わせて設計・製作されるオーダーメイド家具のことです。壁面収納や洗面台、テレビボードなども含まれますが、キッチンにおける造作家具は特に人気が高く、住まいの中心としての役割を担います。

キッチンの造作家具には以下のような要素が含まれます:

• キッチンカウンター(天板、シンク、コンロを含む)

• 背面収納(食器棚、パントリー)

• 吊戸棚

• 調理器具の収納スペース

• ダイニングとの連続性を持つカウンターテーブル

• 子ども用の踏み台や家族のための多目的スペース


造作キッチン家具の魅力とメリット


1. 空間にぴったりフィットする設計

造作家具の最大の魅力は、空間に対して「ジャストサイズ」で設計できることです。梁や柱の位置、天井高、窓の配置など、既製品では対応しきれない細かな条件にも柔軟に対応できます。特に狭小住宅や変則的な間取りでは、造作家具が空間の可能性を広げてくれます。


2. 素材・仕上げの自由度

木材(オーク、タモ、ウォールナットなど)やステンレス、モルタル、タイル、人工大理石など、素材の選択肢は豊富です。左官仕上げや自然塗料による風合いの調整も可能で、空間全体の質感を統一することができます。


3. ライフスタイルに合わせた機能性

例えば、料理好きな方には広い作業スペースと収納力を、子育て世代には安全性と使いやすさを、ミニマル志向の方には隠す収納とすっきりしたデザインを。造作家具は、使い手の生活リズムや価値観に寄り添った設計が可能です。


4. デザインの一体感

造作家具は、建築やインテリアと一体化したデザインが可能です。床材や建具と素材を揃えたり、照明や壁面との連続性を持たせたりすることで、空間全体に統一感と落ち着きをもたらします。


5. 耐震性と安全性

壁や床にしっかり固定されるため、地震時の転倒リスクが低く、安全性が高いのも造作家具の特徴です。特に大型の収納や吊戸棚では、耐震性が重要な要素となります。


デメリットと注意点

造作家具には多くの利点がありますが、いくつかの注意点もあります。


1. 完成までに時間がかかる

打ち合わせ、設計、製作、施工といった工程を経るため、完成までに時間がかかることがあります。特にリノベーションの場合は、現場調整が必要になることも。


2. 移動や撤去が困難

壁や床に固定されるため、模様替えや引っ越しの際に持ち出すことはできません。将来的な住み替えやレイアウト変更を考慮する場合は、可動式の家具との併用も検討しましょう。


製作工程と関わる職人

造作キッチン家具は、主に以下の2つの方法で製作されます:


1. 大工工事(現場造作)

現場で大工が材料を加工し、直接取り付ける方法。細かな調整がしやすく、空間にぴったり合わせた仕上がりが可能です。塗装や寸法の微調整も現場で対応できます。


2. 家具工事(工場製作)

家具職人が工場で製作し、完成品を現場に搬入・設置する方法。複雑な構造や高精度の加工が可能で、品質の安定性が高いのが特徴です。ただし、運搬費や設置調整が必要になります。


素材選びと質感の工夫

造作キッチン家具では、素材選びが空間の印象を大きく左右します。以下は代表的な素材とその特徴です:


素材の選定は、使い勝手だけでなく、空間全体の雰囲気や住まい手の感性に深く関わります。


実例紹介:暮らしに寄り添う造作キッチン

たとえば、ある家族のために設計された造作キッチンでは、以下のような工夫が施されました:

• 子どもが安全に使える高さのカウンター

• 家電を隠せる引き戸付きの背面収納

• オーク材と左官仕上げの天板で、温かみと清潔感を両立

• 家族の動線に合わせたL字型レイアウト

• 朝食や宿題に使える一体型カウンターデスク


このように、造作家具は単なる「家具」ではなく、住まい手の暮らし方や価値観を映し出す「空間のパートナー」として機能します。


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