マンションリノベーションの完成検査で施主が見るべき注意点!猫と暮らす家の猫による、施主検査?
- t-ogino
- 9月23日
- 読了時間: 6分

完成したマンションリノベーション。引っ越して、はじめての朝。どうやら、もうひとつの施主検査が始まっている様です。

猫ちゃんと暮らす、お家の設計増えているんですが、猫も人も一緒!それぞれ、個性が全然違う。個性=ライフスタイルなので、施主らしい家と共に、施主猫らしいライフスタイルのマンションのリノベーションになったな。(想定以上に、猫ちゃん楽しんでいて、ホッとした)

猫による、もうひとつの施主検査
—マンションリノベーションの朝ー
マンションのリノベーションが完了し、引っ越しを終えたばかりの朝。まだ段ボールがいくつか残る室内。住まい手の気持ち。想像するしかないけれど、ワクワクと緊張と安堵と、位置混じった感情なんでしょうか。ただ、施主さんかのご報告。もう一人——いえ、もう一匹の施主は、すでに活動を開始していたそうです!
この家には、施主と共に暮らす猫がいます。住まい手にとって家族そのものの彼女。今回のリノベーションは、施主自身のライフスタイルに合わせて設計しただけでなく、猫ちゃんの暮らしや性格も丁寧に反映させることを目指しました。つまり、人間と猫、両方の「施主」にとって快適で、心地よく、そして個性が活きる空間をつくることが、このプロジェクトの核心のひとつです。
引っ越し初日の日、猫はまるで検査官のように、家の隅々を歩き回っていたそうです。キャットウォークに上り、窓辺の陽だまりに身体を丸め、ワークスペースの奥に潜り込んでは「ここは合格」と言わんばかりにしっぽを立てている様子を写真で送ってくれました。その姿は、設計者としての私にとって、何よりのフィードバックでした。無事施工が終わったことと共に、彼女が楽しそうに空間を使ってくれていることが、嬉しかったです。
猫による「施主検査」は、人間のそれとはまったく異なるんでしょうね。人間は、動線の合理性や収納の容量、素材の質感や色彩のバランスなどを理性的に判断します。しかし猫は、本能と好奇心に従って空間を探索します。床の温度、壁の質感、隠れられる場所の有無、そして何より「自分が安心できるかどうか」を、身体全体で感じ取っているんでしょう。
今回のリノベーションでは、猫と暮らすことを前提に、設計段階からさまざまな工夫を凝らしました。たとえば、キャットステップの配置ひとつをとっても、猫の性格や運動量、好奇心の強さに合わせて調整しています。高い場所が好きな猫のために、高い位置にキャットウォークを設け、窓辺にはキャットゲージを配し、外を眺められる様にしました。
人も猫も、それぞれに異なる個性を持っています。個性とは、すなわちライフスタイルそのものです。人間の施主が「明るい場所が好き、落ち着いた静謐な空間が好き」と施主によって異なる望みがあるように、猫も「静かな場所で丸くなりたい」「高いところから部屋を見渡したい」といった、彼らごと異なるライフスタイルを持っています。今回のリノベーションは、そうした個性を尊重し、空間に反映させることを大切にしました。
「らしさ」が空間に自然と馴染むよう、素材や形状、配置を検討しました。たとえば、床材には滑りにくく、爪が引っかかりにくいものを選び、食いしん坊さんがご飯を横取りしない様、キャットゲージを設置しています。これらは、単なる「ペット対応」ではなく、「猫の暮らしを尊重する設計」として位置づけています。
また、人間の暮らしとの調和も重要なテーマです。猫のための設備が、人間の生活動線を妨げることなく、むしろ空間にアクセントを与えるように設計しました。猫の通り道のアーチ状の開口は、人には抜け感を感じさせ部屋を広く認識できます。収納の一部は猫の通路としても機能するように工夫しました。こうした設計は、猫と人が互いに干渉しすぎず、それぞれの時間を心地よく過ごせる空間づくりにつながっています。
この家は、猫によるもうひとつの施主検査を経て、ようやく「本当の完成」を迎えたのかもしれません。人間の目線だけでは見落としてしまうような細部も、猫の視点から見ることで、新たな発見があったかも。
今後、この家で過ごす日々の中で、猫と施主の関係性もさらに深まっていくと良いなと感じます。彼女がどの場所を「お気に入り」にするのか、どんな時間帯にどこで過ごすのか。想像通りなのか、違うのか?人だけでなく、猫の居場所も色々なところに作ったつもりです。
マンションリノベーションの完成検査で施主がみるべき注意点!
チェックすべきポイント──見落としがちな細部にこそ暮らしの質が宿る
検査では、以下のような具体的な項目を意識して確認してみてください。
1) 仕上げの状態
• 壁紙や塗装に汚れ、傷、浮きがないか
• 床材の継ぎ目や段差がないか
• タイルの目地が均一か、欠けていないか
2)建具・収納
• 扉の開閉がスムーズか、音が気にならないか
• 引き出しや収納扉の奥行き・高さが使いやすいか
• クローゼットのハンガーパイプの高さが合っているか
3)設備機器
• キッチン・洗面・浴室の水栓が正常に動作するか
• 給湯器の操作パネルが見やすい位置にあるか
• 換気扇や照明のスイッチが使いやすい高さか
4)コンセント・スイッチ
• 予定通りの位置に設置されているか
• 家電の使用動線に合っているか(掃除機、充電器など)
• スイッチの操作方向が自然か(上下・押し方)
5) 窓・サッシ
• 開閉がスムーズか、鍵がしっかりかかるか
• 網戸の状態(破れ、たるみ)がないか
• 外気の遮断性(音・風)が適切か
6) 備品・オプション
• 造作家具や棚の寸法が打ち合わせ通りか
• フックや手すりの位置が使いやすいか
• 表示されていた素材と実物が一致しているか
これらは、設計者と施工者が何度も確認してきた項目ですが、施主の視点で見ることで、実際の使い勝手や感覚的な違和感に気づくことがあります。遠慮せず、気になる点はその場で伝えてください。
「暮らしのシミュレーション」
検査は、完成の確認だけでなく、これから始まる暮らしを想像する時間でもあります。ぜひ、以下のような動作を実際にしてみてください。
• 朝起きてからキッチンに向かう動線を歩いてみる
• 洗濯物を干す動作をしてみる
• 子どもが遊ぶスペースを眺めてみる
• 友人を招いたときの導線を想像してみる
「気になること」は率直に伝えてください
検査の場では、気になる点があれば、遠慮なく伝えてください。不具合等、必要に応じて施工者と調整します。
「職人の仕事」にも目を向けてみてください
マンションリノベーションは、現場の職人たちの手によって形になります。壁の下地、配管、塗装、造作──その一つひとつに、目に見える工夫、目に見えない工夫がつめられています。
検査の際には、ぜひ以下のような点にも目を向けてみてください:
• 壁と天井の取り合いの美しさ
• 木部の面取りの丁寧さ
• タイルの目地の揃い方
• 扉の開閉の滑らかさ
こうした細部に気づき、感謝の言葉をかけていただければ、職人たちにとって何よりの報酬になります。
検査は「完成」ではなく「育てる」の始まり
マンションリノベーションは、完成した瞬間がゴールではありません。むしろ、そこからの生活がスタートです。空間は、使いながら育てていくもの。使い方に工夫をしながら、暮らしを楽しんで貰えるとなあと思っています。
設計者としても、検査の後も、あなたの暮らしに寄り添い続けたいと考えています。
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