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子供が安全安心に暮らす、マンションリノベーション。2段ベット・ヌック・小上がりアーチ壁。曲げ合板で製作中。

  • 執筆者の写真: t-ogino
    t-ogino
  • 8月26日
  • 読了時間: 9分
大工さんがリノベーション作業中


どんなにカッコいいパースを描いて、キメキメのディテールの線を引いても、造るのは大工なんだ リノベーション中のマンション。


経験豊富な大工さんが、頑張ってくれてる。小上がり、ベッドボード、上空ベッドにヌック。まさに大工さん、大活躍だ! 形が見えて来て、仕上がりが楽しみ。


ベットの安全性をスケッチ


施工現場での修正点は、その場でスケッチ書いて、施主にメール。細やかな事でも、「施主」「設計」「施工」の3者で共有して進めていくスタイルです。 2段ベットで遊ぶお子様を想定して、安全性を上げておくのよ。



子どもが安心して暮らせるマンションリノベーションのつくり方

──設計者の想いと現場のリアル、住まいづくり──


マンションリノベーションにおいて、私たちが最も大切にしているのは「住む人の暮らしが、安心とともに豊かになること」。特に小さなお子様がいる家庭では、空間のデザイン性だけでなく、安全性や機能性が欠かせません。今回のプロジェクトでは、2段ベッド、ヌック、小上がりといった造作を通じて、子どもがのびのびと遊びながらも安心して過ごせる住まいを目指しました。


ヒアリングからの設計

設計段階では、施主のライフスタイルや子育て環境を丁寧にヒアリングしながら、空間の構成を練り上げていきます。2段ベッドは単なる寝具ではなく、子どもにとっては冒険の舞台。ヌックは隠れ家のような安心感を与え、小上がりは家族が集まる柔らかな境界を生み出します。どんなにカッコいいパースを描いても、どれほど緻密なディテールを設計しても、それを形にするのは現場の職人たちです。だからこそ、設計者として現場との連携は欠かせません。


施工中のマンションでは、図面通りにいかない部分も当然出てきます。そんなときは、現場で即興スケッチを描き、施主にメールで共有。細やかな変更であっても、「施主」「設計」「施工」の三者がしっかりと情報を共有しながら進めていくスタイルを徹底しています。この連携こそが、安心して住める空間づくりの土台となります。


経験豊富な大工さん

今回の施工現場では、経験豊富な大工さんが大活躍。小上がりの框(かまち)を納める際、床材との高さ調整に細心の注意を払いながら、ミリ単位で調整してくれました。2段ベッドの手すり部分では、子どもがぶつかっても痛くないように、角を丸く削り出す加工を現場で提案してくれました。ある日、階段の作り方について現場で議論が起こりました。設計図ではベットの手摺を30cm程の高さで止めていましたが、大工さんが「体重がかかっても、歪まない様、一部に固定した方が良い」と提案。急遽その場でスケッチを描き、施主に確認を取り、設計変更が即座に反映されました。こうした柔軟な対応ができるのも、現場と設計が信頼関係で結ばれているからこそです。


2段ベッドは、子どもが遊び場としても使うことを想定して、安全性を最大限に高めています。手すりの高さ、素材の選定、角の処理など、細部にわたって配慮を重ねました。ヌックや小上がりも、子どもが安心して使えるよう、転倒や衝突のリスクを減らす工夫が施されています。設計者として、そして現場の職人として、私たちは「子どもが安心して成長できる環境」をつくることを第一に考えています。


施主・設計者・施工者、皆で!

このような設計と施工の連携が生まれる背景には、施主との信頼関係があります。今回の施主様は、子育て世代のご夫婦。リノベーションを決意された理由は、「子どもが安心して暮らせる家にしたい」という強い思いでした。マンションという限られた空間の中でも、子どもがのびのびと遊び、学び、休める場所をつくりたい。そんな思いを、設計者が丁寧に汲み取り、2段ベッドやヌック、小上がりといった工夫を提案しました。

打ち合わせでは、生活スタイルや子育ての悩みまでじっくり聞き取り、ました。特に印象的だったのは、施工中に現場で細かな変更が必要になったとき、すぐにスケッチを描いてメールで共有したこと。設計者・施工者・施主の三者が、常に同じ目線で進めていける安心感があったと語ってくださいました。


現場の大工さんについても、「本当に頼もしくて、2段ベッドの角を丸く加工してくださったり、ヌックの奥行きを子どもが使いやすいように調整してくださったりと、細部まで心を込めて造ってくださっているのが伝わってきました。図面だけでは見えない『人の手の温もり』が、空間に宿っているように感じます」と話されていました。


今、少しずつ形が見えてきて、完成が待ち遠しいです。子どもが笑顔でベッドに飛び乗ったり、ヌックで絵本を読んだりする姿を想像するとできます。

リノベーションは、単なる空間の刷新ではなく、そこに暮らす人の未来を形づくる仕事です。今回のプロジェクトでは、子どもが安心して成長できる環境をつくることを第一に、設計と施工が一体となって取り組みました。完成した空間で、家族が笑顔で過ごす日々を思い描きながら、今日も現場では大工さんが黙々と手を動かしています。


アーチ壁の工事中


工事中のマンションリノベーション。

アーチをモチーフに。


ヌックのアーチ壁工事中


こういうデザインをする時は、恥ずかしがらないこと。

振り切って目を引く使い方をしたい。

現場は、曲げ合板だらけで、ちょっと面白い。 猫.人、共生。

可愛らしくなってきた。仕上がりが楽しみ!


キャットウォークもアーチ


アーチと共生──やさしいかたちでつくるマンションリノベーション


都内のとあるマンションで進行中のリノベーションプロジェクトは、非常に思い入れの深い取り組みとなっています。築年数を重ねた集合住宅の一室を、住まい手のライフスタイルに寄り添いながら再構築するというこのリノベーションは、単なる内装の刷新ではなく、住まい手のライフスタイル空間そのものの意味や役割を見つめ直す機会でもあります。


今回の設計では、「アーチ」というモチーフを空間の中心に据えました。アーチは古代建築から現代に至るまで、構造的にも象徴的にも多くの意味を担ってきた形です。人の視線を自然に誘導し、空間にやさしい境界を生み出す造形でもあります。私たちはこのアーチを、単なる装飾ではなく、空間のリズムを生み出すデザインとして積極的に活用したいと考えました。


アーチというかたちに込めた思い


設計段階では、アーチをどのように空間に取り込むかについて、色々考えました。マンションという限られた空間の中で、アーチを用いることは一見すると大胆な選択に思えるかもしれません。しかし、私たちはむしろその「大胆さ」こそが空間に物語性を与えると考えました。アーチは、リビングからその他の空間へと続く動線の中に配置され、空間の切り替えを視覚的に強調する役割を果たしています。また、猫のための通路や隠れ家的なヌックにもアーチを応用し、人と動物が共に暮らす空間において、やさしい共生の象徴として機能させています。


こうした象徴的なモチーフを用いる際に大切なのは、「恥ずかしがらないこと」だと感じています。遠慮してしまうと、空間に込めた意図は曖昧になり、とりあえず作ってみただけになってしまいます。だからこそ、今回は思い切って、視覚的にも印象的な使い方を追求しました。アーチの曲線が連続することで、空間にリズムが生まれ、住まい手の動線や視線が自然と導かれていきます。空間体験そのものを設計すしています。


素材との対話──曲げ合板がつくるやわらかな空間


現場に足を運ぶと、そこには曲げ合板が所狭しと並び、まるで建築の舞台裏を覗いているような面白さがありました。曲げ合板は、アーチの造形を可能にする重要な素材であり、職人さんたちの手仕事によって一枚一枚が丁寧に加工され、空間の骨格を形作っています。通常のフラットな壁面では得られない、やわらかな陰影と奥行きが生まれ、空間に豊かな表情を与えてくれます。


この素材を選定するにあたっては、施工性とコスト、そして仕上がりの質感を検討しました。曲げ合板は、加工の自由度が高い一方で、施工には高度な技術が求められます。現場では、職人さんたちが試行錯誤を重ねながら、アーチの曲率に合わせて合板を曲げ、固定していく様子が見られました。アーチの寸法調整など、見た目の美しさだけでなく、住まいとしての機能性を両立させることが、設計の大事な部分でもあります。


共に暮らすということ──人と猫の共生空間


今回のリノベーションでは、住まい手が猫と共に暮らすことを前提に設計が進められました。私たちは「共生」というテーマを空間全体に散りばめることを意識しました。猫が自由に移動できる通路や隠れ家のようなスペース、人の動線と交差しない居場所の確保など、細部にまで配慮を重ねています。


例えば、リビングや小上がりの一角には、壁面に沿って猫が登れるステップを設け、その先には小さなアーチ状の開口部を設けました。そこを抜けると、猫専用の隠れ家スペースが広がっています。人の視線から少し外れた場所にあることで、猫にとっての安心感が生まれます。こうした設計は、単にペット対応というだけでなく、動物の習性や心理に寄り添った空間づくりを目指したものです。


また、猫のトイレや食事スペースについても、換気や臭気対策を含めて慎重に設計しました。人と猫がストレスなく共に暮らすためには、こうした細部の積み重ねが不可欠です。設計者として、住まい手の生活を想像し、そこに寄り添うことが何より重要だと感じています。


形になっていく建築現場

アーチというモチーフが空間にどのような印象を与えるか、現場が進むにつれて、空間全体がどこか可愛らしく、温かみのある雰囲気に包まれてきました。曲線が生み出すやわらかさ、素材の質感、光の入り方──それらが相まって、住まいとしての魅力が徐々に立ち上がってきています。

特に今回は、住まい手のライフスタイルや価値観に深く寄り添った設計であるだけに、完成が楽しみです。きっと、住む人も訪れる人も、そして猫たちも、心地よく過ごせる場所になるはずです。


設計という営みの中で

毎回のことですが、このプロジェクトを通じて、改めて「住まいとは何か」を考えさせられました。単に機能的で快適な空間をつくるだけではなく、そこに住む人の価値観や感性、そして共に暮らす動物の存在までを包み込む器としての住まい。その器をどう設計するか。施主のライフスタイルにどう寄り添うのか。

アーチというモチーフを通じて、空間に物語性を与えること。曲げ合板という素材を通じて、造形と施工の可能性を広げること。そして、人と猫の共生というテーマを通じて、住まいのあり方を問い直すこと。深く多くのことを考え設計を進めていきました。


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