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  • 執筆者の写真t-ogino

土間空間の作り方。余白と余裕のある快適な暮らしを生む、土間という中間領域の設計方法(東京都北区)

更新日:8月30日


土間に置かれた黒い自転車、観葉植物

農家にも町屋にも、かつての日本の家には土間がありました。


土間の使い方は農家や町屋で違う部分も、同じ部分も有り、お台所が土間という機能的な部分から、玄関的な、通り道的な、作業場的な、もの置き場的な、色々な要素が入り込んだ中間領域の様な土間が有りました。


この中間領域的な土間は、現代的な生活と実に相性が良い空間で、近隣外部と生活領域との間に入って調和をとる干渉領域になったり、色々な機能を重ね合わせる領域になったりします。

木の部屋、土間に置かれた自転車と玄関扉、アルミ引戸、観葉植物、杉のフローリング

このリノベーションアパートメントでは、元々無かったところに、あえて土間空間を作り自転車も置ける様にしています。建物出たすぐ前が道路なので、土間空間を生活空間と挟む事で、外部とのクッションになるバッファ空間になり、外の道路を人が通っても気にならない。洗濯モノを干すサンルームにもなり、外で使うモノの置き場所にもなる。


意味ある余白になっています。



土間空間とは


土間空間(どまくうかん)とは、主に日本の伝統的な住宅で見られる、床が土やコンクリートで作られた空間のことです。具体的には、以下のような特徴があります:


  1. 床材: 土間の床は、通常、土やコンクリートで作られています。現代の家では、コンクリートやタイルが多く使われています。


  2. 用途: 土間空間は、昔から台所や物置、作業場などとして利用されてきました。また、靴を脱がずに使えるため、玄関としての機能も果たすことがあります。


  3. 機能: 土間は湿気に強く、泥や水分を家の中に持ち込むことなく外で処理できるため、掃除や手入れがしやすいという利点があります。また、物を置いたり、作業をしたりするスペースとしても使われます。


  4. デザイン: 現代の住宅では、土間空間をデザインに取り入れることで、リビングやエントランスとして使うこともあります。自然素材やシンプルなデザインを活かしたインテリアが特徴です。


土間空間を設けることで、伝統的な雰囲気を持ちつつ、現代的な使い方にも適応させることができます。どのように利用するかは、家のスタイルや住む人のライフスタイルによって異なります。


土間がつくる、余白と余裕とは


土間がつくる「余白と余裕」は、空間に対する感覚や機能面での柔軟さを提供します。具体的には次のような点があります:


  1. フレキシブルな使い方: 土間空間は、従来の用途に縛られず、さまざまな使い方ができる余白を提供します。例えば、物置として使ったり、趣味の作業場にしたり、子供たちの遊び場として使うことができます。


  2. 自然な流れ: 土間は、内部空間と外部空間のつながりを自然に作り出します。外からの土足での移動がスムーズにできるため、家の中に入りやすく、外と内の境界を曖昧にすることで、生活に余裕をもたらします。


  3. 整理整頓の助け: 土間の設置により、物を外に置いておくことができ、家の中を整理整頓しやすくなります。特に、靴や外で使う道具などを収納する場所として活用でき、家の中のスペースを有効に使えます。


  4. リラックスできる空間: 土間は、暖かみのある素材や素朴なデザインが特徴で、落ち着いた雰囲気を作り出します。これは、家の中での心の余裕を生む一因となります。


  5. シンプルなメンテナンス: 土間は、土やコンクリートで作られているため、掃除やメンテナンスが比較的簡単です。これにより、空間の使用に対する心理的な余裕が生まれます。


これらの要素が組み合わさることで、土間空間は物理的な空間の余白だけでなく、心理的な余裕を生む要素として機能します。


土間空間を設計する上での注意点


土間空間を設計する際には、いくつかの重要な注意点があります。これらを考慮することで、使い勝手の良い、快適な空間を作ることができます。


1. 水はけと湿気管理

  • 排水設計: 土間空間は湿気がこもりやすいので、適切な排水システムを設けることが重要です。床に軽い傾斜をつけることで、雨水や洗浄水をスムーズに排水できるようにします。


  • 防湿対策: 湿気対策として、防湿シートを敷いたり、通気口を設けるなどの対策を講じると良いでしょう。


2. 素材選び

  • 耐久性: 土間の床材は、耐久性があり、汚れや傷に強いものを選ぶと良いです。コンクリートやタイルが一般的ですが、最近ではエポキシ樹脂やモルタルなども選ばれています。


  • 滑り止め: 土間は濡れやすいため、滑りにくい素材や仕上げを選ぶことも大切です。


3. 空間の広さと配置

  • 用途に応じた広さ: 土間の広さは、目的に応じて適切に設計する必要があります。例えば、物置や作業スペースとして使う場合は広めに、またはコンパクトにするか決めます。


  • 動線の考慮: 空間内の動線を考慮し、物の出入りや作業がしやすいレイアウトを心がけます。


4. 使い勝手の向上

  • 収納スペース: 土間を物置や収納スペースとして利用する場合、棚や収納ボックスなどの設置を計画すると便利です。


  • 照明: 土間空間は自然光が入りにくいことが多いので、適切な照明計画を行うことで、明るく使いやすい空間を作ります。


5. 温度管理

  • 冷暖房: 土間は温度変化が激しい場合があるため、適切な冷暖房設備を考慮することも重要です。特に寒冷地では、床暖房を検討することがあります。


6. デザインと統一感

  • デザインの調和: 土間は家の他の部分と調和するようにデザインすることが大切です。特に素材や色使いに注意し、全体的な統一感を持たせます。


  • アクセサリー: 照明や収納家具など、小物のデザインも土間の雰囲気を考慮して選ぶと良いでしょう。


これらのポイントを考慮することで、土間空間を機能的で快適な場所にすることができます。設計の段階でじっくり検討し、自分のライフスタイルに合った土間空間を作ると良いでしょう。


土間空間という中間領域


土間空間は、家の中と外の中間領域としての特性を持っています。この「中間領域」としての役割は、生活空間に独特の価値をもたらします。以下にその詳細を説明します。


1. 中間領域としての特徴

1.1 内外の緩やかな境界

  • 境界の曖昧さ: 土間空間は内部と外部の境界が緩やかで、物理的にも心理的にも外と内が自然に繋がります。これは、屋外のアクティビティと屋内の活動をスムーズに行えるようにするためです。


  • 通気性と光の取り入れ: 土間空間は、外部からの光や風を取り入れることができるため、空間に明るさや自然な風通しを提供します。


1.2 使い方の多様性

  • 多機能な利用: 土間空間は、靴を脱がずに使えるため、玄関として使ったり、作業スペースや物置、または子供の遊び場など、用途が多様です。生活のシーンに合わせて柔軟に活用できます。


  • 変化するニーズへの対応: 家族のライフスタイルの変化に応じて、土間の使い方を変更しやすいです。例えば、子供が成長するにつれて、土間を収納スペースから遊び場へと変えることができます。


2. デザインと機能の調和

2.1 デザインの柔軟性

  • 和洋折衷: 土間は伝統的な日本家屋でも見られますが、現代の住宅でもデザインに取り入れることができます。和風にも洋風にも合わせやすく、家全体のデザインと調和させることができます。


  • 素材の選択: 土間の床材や壁材は、自然素材やモダンな素材を選ぶことで、空間の雰囲気を自由にコントロールできます。


2.2 機能性の向上

  • 収納と整理整頓: 土間は物を整理する場所として非常に便利です。靴や外で使う道具を収納するための棚や収納ボックスを設置することで、家の中をスッキリと保つことができます。


  • 快適性の確保: 冷暖房や換気の計画をしっかり行うことで、土間空間も快適に過ごせるようにします。特に寒冷地では、床暖房などの対策を検討することが大切です。


3. 生活の質を向上させる

3.1 リラックスとエンターテイメント

  • リラックス空間: 土間をリラックススペースとして利用することも可能です。座布団やクッションを置いたり、自然な光が差し込む場所にすることで、落ち着いた空間を作ることができます。


  • エンターテイメント: 家族や友人と一緒に楽しむ空間としても利用できます。バーベキューの準備をする場所や、子供たちが遊ぶスペースとして活用できます。


3.2 生活の一部としての土間

  • 生活の一部: 土間空間は、単なる通路や収納スペースにとどまらず、生活の一部としての機能を果たします。家族のコミュニケーションや日常の活動に自然に組み込まれた空間です。


土間空間は、家の中と外を繋ぐ中間領域として、多機能で柔軟な使い方ができる特徴があります。設計時には、これらの特性を活かして、自分たちのライフスタイルに最適な使い方を考えると良いでしょう。


土間空間のバッファゾーンとしての役割


道路と生活空間の間に位置する土間空間は、「バッファゾーン」として多くの重要な役割を果たします。この中間領域は、生活空間を保護し、快適性を高めるために設計されています。以下にその具体的な役割を詳しく説明します。


1. 環境的なバッファ機能

1.1 噪音の軽減

  • 音の遮断: 土間空間は、道路からの騒音や車両の音をある程度遮る役割を果たします。土間の床材や壁が音を吸収し、生活空間への音の侵入を減少させます。

  • 音の拡散: 土間が音の反響を抑えることで、生活空間内の音の拡散や反響を減らし、静かな環境を提供します。


1.2 汚れの防止

  • 泥や雨水の処理: 土間空間は、道路から持ち込まれる泥や雨水を一時的に処理する役割を果たします。靴を脱ぐ場所として利用することで、生活空間内への汚れの持ち込みを防ぎます。

  • 整理整頓: 土間に物を置くことで、外からの汚れや持ち込まれる物を整理し、家の内部を清潔に保つことができます。


2. 快適性の向上

2.1 温度調整

  • 温度の緩和: 土間空間は、外気温の影響を受けやすいですが、ある程度の温度緩和効果を持ちます。冷暖房の効率を高め、生活空間の温度管理をサポートします。

  • 季節ごとの利用: 季節に応じて、土間空間の利用方法を変えることで、温度管理を助けることができます。例えば、冬は温かい場所として使い、夏は涼しい空間として利用することができます。


2.2 風通しの確保

  • 自然換気: 土間空間が外部と接していることで、自然な換気が可能になります。風の流れを取り入れることで、生活空間内の空気の入れ替えを促進し、快適な環境を保ちます。


3. 機能的なバッファゾーン

3.1 プライバシーの確保

  • 視覚的な遮断: 土間空間は、道路からの視線を遮ることで、家の内部のプライバシーを保ちます。これにより、外部からの視線が気になることなく、快適な生活空間を確保できます。

  • 活動スペースの確保: 土間が生活空間と道路の間にあることで、家の内部でのプライバシーを守りながら、外部での活動を行うためのスペースを提供します。


3.2 動線の改善

  • エントランスの役割: 土間空間は、家のエントランスとしての機能を果たし、外部からの物の取り扱いや移動をスムーズに行うことができます。荷物の出し入れや、家族やゲストの訪問時の動線を確保します。

  • 作業スペースの確保: 外での作業や準備を行うためのスペースとして利用できるため、生活空間をより効率的に使うことができます。


4. 美的な要素

4.1 外観と内部空間の調和

  • デザインの一体感: 土間空間は、外観と内部空間を調和させるデザイン要素としても重要です。外からのアプローチと内部の生活空間を繋ぐことで、全体のデザインに一体感をもたらします。


4.2 外部との連携

  • 庭や景観との一体化: 土間空間は、庭や外部の景観と内部空間を繋げる役割を果たし、外部の美しい景観を内部にも取り入れることができます。


このように、道路と生活空間の間に設ける土間空間は、環境的、快適性、機能的、美的な面で多くの利点を提供するバッファゾーンとして重要な役割を果たします。設計時にはこれらの役割を十分に考慮し、空間を最大限に活用することが大切です。



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