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北欧、住まいの特徴とは?(1)北欧住宅の工夫を日本の住まいに、活用するには

|北欧の住まい・リビング|
シンプルさとやさしさと、装飾的な部分と、いっけん相反する感覚がなぜか同時に存在している、北欧デザインの不思議な魅力です。
北欧と言っても、デンマーク・スウェーデン・フィンランドで、デザインの特徴も実は少し変わってきます。
スウェーデンは装飾性が強く、ビビットで伝統的な部分を上手く取り込んでいます。
対して、フィンランドは軽快感と優しさ、爽快なデザインが多い。
建築の設計においても、同様の傾向が見られますが、住まいには北欧独特の間取りや配置の仕方があります。
自然環境・気候風土・自然と人との関り方に、北欧の人独特の考え方や哲学があるからです。
四季を愛で・光や風を楽しむ、私たちとも共通する哲学です。

|北欧の住まい|
ソファの向きは窓を背に?窓際に座る
元来私たち日本人は、眺めを非常に重視する習慣があります。
あけっぴろげで楽天的な眺めを。
大きな、床まで続く掃き出しの窓から外の景色を楽しみます。
借景という言葉もあるように、他人の庭すらも自身の家の景色に取り込んでしまう、貪欲さがあります。
北欧の住まいも、同様に眺めを楽しむ、非常に重要視した住まいですが、少し違いがあります。
ソファの向きが必ずしも、庭に向きません。
窓を背に、ソファや作り付けのベンチをつけています。
あけっぴろげで、自分の体の真正面に庭や外の景色を持ってくる分けでは無く、自然の景色が目の端に感じる配置が多く見られる。
窓を背にソファを置かない場合も、ソファや椅子の横方向に窓がある配置をしています。

|北欧の住まい|
自然のそばに寄り添いたい
窓を背に、ソファやベンチがあると、人の居場所が外部に近くなります。
植物や光・外の空気を近くで感じていたい表れ。
ダイニングテーブルに花を飾ったり、観葉植物の鉢をリビングにおいたりするのは、自然を身近で感じたいが為です。
窓のそばに座ることは、同様に、自然を身近に感じられる行為です。

|北欧の住まい|
北欧の光の特徴を上手く使う
白夜に代表されるよう、緯度の高い北欧では太陽の高さは高くありません。
光が、低い位置から入ってきますから、窓の正面に相対していると、目に直射日光が直接はいってきて、明るさよりも眩しさを感じます。
西日は一日中入ってくるようなもの。
その為、窓を背にソファを置いたり、正面では無く、椅子の横に窓をつける配置にしています。

|リノベーション狭小住宅 design by 株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所|
プライバシーを大事にし始めた日本の住まいは
大きな窓のあけっぴろげな眺めを、私たち好むと言いましたが、現在では、プライバシーを重視する傾向が大きくなりました。
完全に家の中が覗かれなければ良い。
完全に家が覗かれないつくりで無くとも、真正面から自分をみられたくないという方が多くなりました。
実際、我が家でも、ソファの位置をあれこれ試行錯誤したあげく、今では、掃き出しの窓に背を向けて配置しています。
腰の高さまで壁がある窓だったら、ちょうど良かったのですが。。。。。
窓のすぐ外が、道路という住まいも少なくありません。
写真の住まいは、リノベーション設計をさせて貰ったお宅です。
窓の外すぐが、道路だったので、窓を背に作りつけのソファをつくる事で、プライバシーの確保と、居心地、光を取り入れ、時々の眺めを楽しむつくりになっています。
狭小住宅ゆえに、ソファを作りつけることで、より上手に空間が使えていますが、これは又別の話し。
株式会社小木野貴光アトリエ一級建築士事務所