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既存を活かした木造住宅のリノベーション工事とは

  • 執筆者の写真: t-ogino
    t-ogino
  • 2 日前
  • 読了時間: 11分
木材と断熱材が見える建築中の家の内部。天井に小型ファンがあり、床にははしごと作業台が置かれている。日の光が差し込む。
木造リノベーション住宅の工事現場。断熱材が張られ、木材の骨組みが見える内部の様子。

木材と断熱材が見える建築中の家の内部。天井に小型ファンがあり、床にははしごと作業台が置かれている。日の光が差し込む。


リノベーションは、この解体の段階でかなり完成イメージが見えてきますね。考えていた「抜け感のある空間」が、少しずつ形になりそうな気配があります。予想に近い骨組みが現れてきており、必要な補強もうまくいきそうです。


昨年度はヘリテージ・マネージャー講座を受講していて、その中で構造のヤマベさんが「実務は教科書通りにはいかないよね」と、実践的で特殊解ともいえる技の数々を教えてくれました。早速それらを参考にしながら、今回の実務にも活かしています。耐震補強の計算値(評点)も、余裕を持たせた設定で進めています。


新たに少し付け加えた踊り場が部屋に飛び出したことで、かえって奥行きを感じられるリビングになってきました。ここも狙い通り。構造補強には苦労しましたが、ここからはいよいよガシガシと作っていくフェーズに入っていきます。


そして、新旧の質感が良い感じに入り混じってきました。新しさと古さ、両方のトーンを活かしながら、少しラフでルーズな、リノベーションらしい質感に仕上がっていきそうです。


工事中の部屋の様子。黄色い壁、アーチ型の開口部、周囲に木材や工具が置かれている。断熱材の文字が見える。
和室のにじり口、制作中。 アーチ開口、アーチ壁も、プロポーションと組み合わせの違いで、「和」になる不思議

和室へとつながるにじり口の形が、いよいよはっきりと出来てきました。

写真でも分かるように、壁の下地が組まれ、ボードが張られていく中で、丸く切り取られた開口部が少しずつ姿を現しています。これまでは骨組みの段階でイメージしにくかった部分ですが、実際にアーチの輪郭が見えてくると、空間全体の雰囲気が一気に変わってきました。


今回のにじり口はアーチ壁の形状ですが、高さや幅、丸みのバランスといったプロポーションを丁寧に整えていくことで、洋風のアーチとは違い、しっかりと和の趣を感じられるデザインに近づいてきています。 少しの寸法の違いで印象が大きく変わる部分なので、何度も確認しながら形を整えていく工程はとても大切。


周囲の壁や天井の下地が見えている今の状態でも、すでに和室へと導く入口としての存在感が出てきていて、完成後に塗りや仕上げが入った姿を想像すると、とても楽しみです。

全体として、とてもいい感じに仕上がりつつあり、このまま進んでいくのがますます楽しみになってきました。


屋根裏の木製フレームと断熱材。木材は暖かい茶色で、背景には「R-30」と書かれたラベルがある。建設中の構造。
リノベーション中の住宅の小屋組み構造が見える様子。

リノベーション工事での解体とは


まず確認

最初に行うのは、いきなり解体を始めることではなく、どこまで残してどこを解体するのかを慎重に見極める作業です。写真のように太い梁や柱がしっかり見えている場合、これらが建物の骨組みとなりますので、これらを傷めないように解体の順番を決めていきます。特に古い木造住宅では、見た目は同じでも梁の掛かり方や柱の役割が現在の建物と異なることが多くあります。そのため、図面と現場の状況を照らし合わせながら、「この壁は撤去しても問題ないか」「ここは耐力壁の可能性があるか」といった点を一つずつ確認しながら進めていくことが大切です。


丁寧に取り外す

実際の解体作業は、まず内装材から丁寧に取り外していく流れになります。クロスや石膏ボード、合板などを一枚ずつ剥がしていきますが、このとき重要なのは、できるだけ構造体にダメージを与えないようにすることです。ビスや釘の位置を意識しながら慎重に外していくことが求められます。写真でも壁の下地や筋交いが見えておりますが、このような部分を傷めてしまうと補修の手間が増えてしまいますので、焦らず確実に作業を進めることが重要です。


天井の解体

天井の解体についても、非常に注意が必要な工程です。写真のように勾配天井やロフトが関係している場合は、特に慎重さが求められます。上を見上げながらの作業が多くなるため、粉じんが落ちてきやすく、また梁の間に配線やダクトが通っていることも少なくありません。そのため、まず照明器具やエアコン、換気ダクトなどの設備機器を取り外してから、天井材を順番に撤去していきます。断熱材が入っている場合には、袋を破らないよう注意しながら取り外し、再利用するか、新しく交換するかを検討することになります。


床の解体

床の解体については、写真の一枚目のように床の一部が開口されている状態が見られますが、これも順序を守って進めることが重要です。床板を剥がす前に、床下にある配管や配線の位置を把握しておかないと、水道管や電気配線を誤って切断してしまう可能性があります。特に古い住宅では、図面通りに配管されていない場合もありますので、少しずつ開口して内部を確認しながら進めることが多くなります。また、床材の中には再利用可能な材料が含まれていることもありますので、それらを見極めながら丁寧に取り外していくことが望ましいです。


木製の天井が映る画像。温かみのある茶色と白が交互に並ぶ。のどかな雰囲気が漂う。影が投影されている。
木摺り板。リノベーションで壁を剥がすとよく出て来て、おーきれいにやっとんなぁと、過去の大工仕事跡にニヤニヤしてしまう。この透かしたピッチで貼ってるのが、見た目に美しいんだよね。隠れちゃうけど。

廃材の分別

さらに、解体工事で意外と重要になるのが廃材の分別作業です。木材、石膏ボード、金属類、断熱材、プラスチック系の材料などを現場で分別していかないと、処分費用が大きく増えてしまうことがあります。写真を見ると、材料がある程度整理されている様子が見受けられますが、このように整理整頓が行き届いている現場では、作業効率が向上し、安全性の面でも大きなメリットがあります。


建物の状態の確認

また、解体を進めながら建物の状態を確認していくことも非常に大切です。壁や天井を取り外していく過程で、シロアリ被害や雨漏りの跡が見つかることは少なくありません。特に梁の色が黒ずんでいたり、木材が柔らかくなっている部分が見つかった場合には、そのまま作業を続けるのではなく、一度立ち止まって補強や交換の必要性を検討することが重要です。写真のように梁や柱が露出している状態は、建物の状態を詳しく確認できる貴重な機会でもあります。


安全管理

ロフトや吹き抜けのある空間では、仮設足場や脚立の使い方にも十分な配慮が必要です。写真にも脚立が設置されていますが、無理な姿勢で作業を続けると事故につながる恐れがあります。そのため、必要に応じて作業用の足場を設け、安全に手が届く高さで作業できる環境を整えることが基本となります。解体工事は単に「壊す作業」という印象を持たれがちですが、実際には安全管理が非常に重要な作業の一つです。


状態整理

最後に、解体工事は単に元の状態に戻すための作業ではなく、次の工程を円滑に進めるための準備段階でもあります。そのため、柱や梁の位置関係を確認し、水平や垂直の精度に問題がないかを見たり、新しく設置する配管や配線のルートを想定しながら解体を進めていくことが理想的です。写真のようにスケルトンに近い状態まで整理されていると、その後の断熱改修や耐震補強、間取り変更などの作業が進めやすくなり、最終的な住まいの性能や快適性にも大きく影響します。


木造建物の屋内、梁と柱が金具で固定されている。木目がはっきり見え、無彩色で落ち着いた雰囲気を感じる。
木造建築のリノベーションにおける金物の補強

解体後のリノベーションの進め方


解体工事がひと通り終わって、写真のように柱や梁が見えるスケルトンに近い状態になると、いよいよリノベーションの本番が始まる、という感覚になります。ここからは、ただ新しい材料を付けていくというより、「見えなくなる部分をどれだけ丁寧につくるか」が仕上がりや住み心地を大きく左右してきますので、順番と考え方がとても大事になってきます。


構造体の確認

まず解体後に最初にやるのは、構造体の状態をもう一度しっかり確認することです。壁や天井を取り払ったことで、柱や梁、土台の状態がはっきり見えるようになっていますので、ここで傷みや傾きがないかを丁寧に見ていきます。もしシロアリの被害があったり、雨漏りの跡で木材が弱っている部分が見つかった場合は、このタイミングで補修や交換をしておかないと、後からでは手が入れにくくなってしまいます。見た目には問題なさそうでも、木が柔らかくなっていたり、釘の効きが悪くなっている場所があれば、補強金物を追加したり、部材を入れ替えたりする判断をしていきます。


木製の梁とボルトがある天井の建設現場。背景には「MAG isover」と書かれた断熱材が見える。ムードは建設途中の雰囲気。
補強梁はボルトで繋いだ。2度目ご一緒の大工さん、仕事しっかりだ 実はこういうの図示だけだとスルーされがち。何度も説明、説明、コミュニケーションとります。 現場にうるさい奴だと思われつつ、なぜか仲良くなって、困ったら助けて貰う。そんな特殊能力が身につくのが、建築設計という仕事

耐震補強

その次に重要になるのが、耐震補強の工程です。古い木造住宅のリノベーションでは、この段階で筋交いを追加したり、構造用合板を張ったりして、建物の強さを底上げしていくことが多いです。解体後の今の状態は、柱や梁に直接手を入れやすい貴重なタイミングですので、必要な場所にしっかり耐力壁を設けたり、接合部に金物を取り付けたりしていきます。ここを丁寧にやっておくと、地震のときの安心感がまったく違ってきますし、その後の内装工事も安心して進めることができます。


断熱補強

耐震補強と並行して考えていくのが、断熱の工事です。写真のように壁や屋根の内部が見えている状態では、新しい断熱材を入れたり、既存の断熱材を入れ替えたりする絶好のタイミングです。特に屋根や外壁側の断熱は、住み心地に直結する部分ですので、隙間なく丁寧に施工することが求められます。断熱材を入れるときは、ただ詰め込めば良いというわけではなく、柱や梁との間に隙間ができないようにカットしたり、しっかり連続させたりすることが大切です。この部分をきちんと仕上げておくことで、冬の寒さや夏の暑さが大きく変わってきます。


設備工事

その後に進むのが、配管や配線といった設備関係の工事です。電気配線、水道配管、排水管、換気ダクトなどを、壁や床の中に通していきます。解体後の骨組みが見えている状態だと、配線ルートや配管の取り回しがとてもやりやすくなりますので、この段階で将来の使い方も想定しながら計画していきます。たとえばコンセントの位置を少し増やしたり、将来エアコンを増設できるように配管用のスペースを確保したりといったことも、このタイミングで考えておくと後々助かることが多いです。


下地づくり

設備関係の工事が一通り終わると、次は床や壁、天井の下地づくりに入っていきます。床であれば根太や合板を張り直して水平を整えたり、壁であれば間柱や下地材を整えて、仕上げ材を貼れる状態にしていきます。古い建物の場合は、床や柱がわずかに傾いていることも珍しくありませんので、この下地づくりの段階でしっかり水平や垂直を調整していくことがとても重要になります。この作業が丁寧にできているかどうかで、最終的な仕上がりの美しさや、建具の開け閉めのしやすさなどが大きく変わってきます。


ボード貼り

下地が整ってくると、いよいよ壁や天井のボード張りに進んでいきます。石膏ボードを張っていくことで、部屋の形がだんだん見えてきて、空間の雰囲気が一気に変わってきます。この頃になると、現場の印象も「工事中」から「家らしくなってきた」という感覚に変わってきます。ボードを張る際には、後から棚や手すりを取り付ける位置を考えて、必要な場所に下地を入れておくことも忘れてはいけません。これをやっておかないと、完成後に取り付けたいものがあっても固定できず、苦労することがあります。


仕上工事

その後は、内装の仕上げ工事に進んでいきます。床材を張ったり、壁紙を貼ったり、塗装を行ったりして、空間がどんどん完成形に近づいていきます。この段階になると、色や質感によって空間の印象が大きく変わりますので、素材選びや仕上げ方がとても重要になります。また、キッチンや洗面台、トイレなどの設備機器の取り付けも、この頃に行われることが多いです。


調整

最後の仕上げとして、照明器具やスイッチ、コンセントの取り付け、建具の設置、細かな調整などを行っていきます。ドアの開閉具合や、床のきしみ、壁の仕上がりなどを一つずつ確認しながら、細かな手直しをしていきます。この最終調整の時間をしっかり取ることで、住み始めてからのトラブルを減らすことができます。


解体後のリノベーション工事というのは、見た目の変化だけでなく、建物の性能や寿命を大きく左右する大事な工程の積み重ねです。写真のようにしっかり骨組みが見える状態まで解体できている現場であれば、構造や断熱、設備といった見えなくなる部分にしっかり手を入れることができますので、ここでどれだけ丁寧に進められるかが、完成後の快適さや安心感につながっていきます。




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