既存の魅力を引き出す。ジャパンディなリノベ
建物概要
所在地:東京都練馬区
構造用途:木造2階戸建てリノベーション
延床面積:79.49㎡+9.84㎡(ロフト)
Design:Ogino Takamitsu Atelier
Photo:Ogino Takamitsu
施主の想い
京都にお住まいの施主が、東京に移転するにあたって、中古住宅を購入、リノベーションのご依頼でした。住宅購入前に施主と一緒に既存住宅の内見をし、良いところ、懸念点などをアドバイスさせて貰いました。
つくりはしっかりしている既存住宅ですが、ちょっと無個性。写真で見ていた小木野さんの設計事例が気に入っているので、小木野さんらしい設計をして欲しいと言って戴きました。一般的なマンションの様な表層的な家では無く、素材感のしっかりした家にしたい。リモートワークのスペースが欲しい。自転車を家に入れたい。京都で見られる様な箱階段が好き。オープンなキッチンが好き。明るい家が良い。小屋裏収納をどう使うのか?ダウンライトなど輝度の高い照明器具を使わない照明計画をしてほしい。
要望のポイント
・箱階段が好き
・表層的では無く、素材感のしっかりした家
・小屋裏収納をどう使うのか。
・オープンな使いやすいキッチン
提案・設計内容
既存の住宅に引き算と足し算をすることで、見えていなかった個性を引き出せないかな?と意識して設計をしました。また、ユニークで魅力的な施主らしい家が形になる様心掛けました。
「ロフトがつなぐ、抜け感と開放感」
天井裏に隠されていた小屋裏収納部分の、壁・天井をとりさり吹抜けにつながる、ロフトにする事で、リビングから視線の抜け感のある伸びやかな家に設計しました。ロフトの床を一部無くす事で、下のリビングから上のロフトに光が上がり明るいロフト空間になっています。
「箱階段」
箱階段が好きという施主の想いに答えて、箱階段がリビングとロフトを繋いでいます。
古い箱階段を模して作っても、侘び感は出ないですが、箱階段らしい意匠にしたいなと、枠部分を白木のシナ合板。引出し部分を中間色のナラ材と異なる色彩の樹種とする事で、京町屋にある箱階段の太い枠と引出しの凹凸感を見出した設計としました。
「和室を小さく、土間スペースを大きく」
工事前の調整段階で大きく変更したのですが、6畳の和室を3畳+床の間の和室に減築。その分、土間スペースを大きくし、自転車がおけたり、ちょっとしたDIY的な作業が出来る場所にしています。小さくした和室は小間のお茶室の様に、その小ささがすごく居心地よい場所になりました。
「ジャパンディと既存古材の魅力」
天井を撤去したことで現れてくる、古材の梁。変に磨かずオイルを塗るだけにして、凹凸のある素材感を感じられ、木立の中にいるかの様な住まいです。ヒノキ合板の天井、杉材と和紙で作った障子、青森ヒバの無垢フローリングなど、オーガニックで和の要素も入った、ジャパンディなインテリアになりました。
「構造+断熱」
間取りを変更する為に、一部柱をとり、梁を補強、耐力壁の補強をしています。耐震補強計算を行い、現在の新築で必要とされる構造耐力と同等の構造補強を行いました。また、断熱補強も行い、断熱性を高めています。
完成後の様子と施主の声
遊びに来たご友人達に、素敵な家だと褒めて貰っているそうです。
縁側でビールを飲むのが楽しみになってしまった方は、何度も通ってきている様です。
夜は、木貼りの壁にあてた間接照明を楽しんですごしているそうです。竣工後遊びに伺った時に、キッチンにいれたガスオーブンで焼いたそば粉100%のクッキーを戴きました。飾れるオープンなキッチンでの調理を日々楽しんでいる様です。想定外だったのがロフトの居心地の良さ。使い方のイメージが仕切れていない様でしたが、ロフトは良い場所の様です。
リノベーションの工事中は仕上がりが想像しづらいところから、出来上がって来た時にやっと小木野さんらしい設計の家になって来たねと言って戴きました。リモートワークも、家の色々な場所でしている様で、多様な居場所のある住まいになっています。

箱階段+吹抜け+ロフト+リビング
ちょっとした引き算と足し算をして見えていなかった個性を引き出せないかな?と意識して設計しました。天井をとり、小屋裏収納部分をオープンなロフトにする事で、抜け感のある、のびやかなリビングにしています。

箱階段
箱階段らしい意匠にしたいなと、枠部分を白木のシナ合板。引出し部分を中間色のナラ材と異なる色彩の樹種とする事で、京町屋にある箱階段の太い枠と引出しの凹凸感を見出した設計としました。

古材と新材:補強梁
天井を撤去したことで現れてくる、古材の梁。補強の為に新しい梁を組みあわせて設置しています。どちらも変に磨かずオイルを塗るだけにして、凹凸のある素材感を感じられ、木立の中にいるかの様な住まいです。

天井裏収納の壁を外して、オープンなロフトに
開放的なリビングにする為に、収納の壁を取り払いオープンなロフトにしています。視線の場所・高さが変わる事で、家の中で色々な景色が見られる、その変化が楽しさを感じさせます。

居心地良すぎ!なロフト
ロフトはどんな使い方になるのかな?と思っていたのですが、施主が家具やファブリックを入れたら意外や意外、凄く居心地の良い空間になりました。造作した本棚に本も入って、良い感じに。家の中の余白な場所に。

にじり口から和室へ
土間の待合→アーチ開口のにじり口→和室の畳→床の間→雪見障子→お庭の植栽、と視線が抜ける和室の入り口です。玄関土間は自転車置いたり、作業をしたり日常の動きのある場所。和室の入り口であるにじり口を通るとすこし気持ちが切り替わり、静かな和室に入ります。

6畳の和室を3畳の和室に減築
元々6畳だった和室を、3畳+床の間に小さくしました。その分、土間スペースを大きくしています。和室を小さくしたこ とで、お茶室の様な小さいゆえに居心地の良い和室になっています。客間にしたり、仕事をしたり、ヨガをしたり、縁側でビールを飲んだり。楽しみスペースになっている様です。

造作した洗面化粧台
壁に水栓を取り付けた、洗面化粧台。造作しています。鏡の裏は収納。洗面化粧台は割と安く造作できるので、オリジナルの洗面化粧台を製作するのがおススメです。

オープンなL型キッチン
キッチンはオリジナルで製作しています。ステンレス.バイブレーションの天板に、オーク材のキャビネット、ガスオーブンがついています。外から見える棚と、隠す収納のバランスが施主の個性が出てますね。

ロフトからダイニングとキッチン
動く事で視線が変わるって、快適な家の良さポイントの一つです。

ダイニングとキッチン
木材は多様な樹種を使っています。青森ヒバ、シナ、杉、米松、ヒノキ、オーク。暮らしの背景となるインテリアを、木という質感でトーンを揃えながら、色や木目の違う異なる樹種を使うことで、必然的に持ち込まれる生活の中に色々なモノやコトを受け止めながらも、一定の質をたもつ場をつくっています。

スケルトン・ストリップな階段
階段の蹴込み板を無くす事で、抜け・開放感のある場 をつくっています。障子とナラ材の階段の相性も良いです。

箱階段
箱階段は法規にあった、階段寸法にしています。オーク材の手摺が木を使ったこの家に良くあっています。

ヒノキの天井
天井はヒノキ合板で仕上ています。木目が浮き出る様な印象的な天井です。

リモートワーク
住まいで仕事をするのも、当たり前になって来ました。働く場と暮らす場の調整も大事。オンラインミーティングの時は、引戸 を閉じます。

シーリングファン
リビングの吹抜けには、シーリングファンを設置。

間接照明と木の壁
この壁だけ木板貼りで仕上げました。木に間接照明を照らす事で、細かい陰影が浮かび、美しい灯りの空間になります。間接照明って時々しか使わないと思われがちですが、いやいや、部屋全体を照らすのが間接照明で、手元を照らすライトと併用で使うと快適です。

ロフトの床を一部無くす
自然光・太陽の光って上から下に照らされると思いがちなんだけど、実際は多方向反射して光が廻ります。ロフトの床を一部無くす事で、自然光が下の部屋から天井を伝ってロフトに上方向に照らしてくれています。ロフトが浮いているかの様。

洗面化粧台のタイル
タイルの質感って良いですね。

障子を使う事で
障子を色々な場所につかっています。障子は光は通すけれど、向こうは見えない半透明の素材なので、明るいながら部屋を分けたりプライバシーを確保できる優秀な素材です。ここの障子はアクリルに和紙を貼った割れない障子。和のテイストも入り、独特な質感が生まれます。













