青山で東洋医学のクリニックの設計をしました。医療経営難のこんな時期でも、志しのある方は前に進んでいて、少しでも助けになる、提案をしたいとデザインをしました。
都心のコンパクトなスペースですが、いやそれ故に、空間に変化をつけたい、緩やかに場の空気感を変えたいと、ピンク色のアーチを天井に架ける事に。
アーチは元々、部屋の仕切りをの上の方を、半円の下がり壁にするデザインパターンがあって、それを使ってみようとしたら、上手くいかない。
不整形な1/4円の曲線にして、アーチを架けたらしっくりきた。
気づくと10年前にメキシコでよく見た、コロニアル回廊の様。
過去の記憶の欠片が蘇って形になった。
やっぱりデザインは自分の中にある。
左右対象では無い、左右非対称のアシンメトリーの美。
欠けているから、美しい。
不完全な美こそ、美しかったりする。
透き通る光が指してて綺麗に見えてます。
コンパクトなスペースゆえに、変化をつけて開放感を生み出す
コンパクトなスペースでも開放感を生み出すためには、いくつかの設計手法があります。以下のポイントを考慮してみてください。
1. 色の使い方
明るい色: 明るい色や中間色を使うことで、空間が広く感じられます。特にホワイトやライトグレーなどの中立色は、光を反射しやすく、空間が明るく感じられます。
アクセントカラー: 一部にアクセントカラーを使うことで、スペースに個性を加えつつも広がりを感じさせることができます。
2. 光の取り入れ
自然光: 窓やガラスの面積を増やして、自然光を取り入れることで、空間を明るくし、広がりを感じさせます。
人工光: 照明器具を使って層状の光を作ると、空間に立体感が生まれます。間接照明や調光可能な照明を使うと、柔らかい雰囲気が作れます。
3. ミラーの利用
反射効果: ミラーや光沢のある素材を使うことで、光を反射させ、空間を広く感じさせることができます。特に、大きなミラーを壁に配置するのが効果的です。
4. 家具と収納
コンパクトな家具: 小さなスペースには、折りたたみ式やスリムなデザインの家具が適しています。使わないときに収納できる家具を選ぶと便利です。
収納の工夫: 壁面を利用した収納や、多機能の家具を使うことで、スペースを効率的に使うことができます。クローゼットの中に取り付けられる収納棚なども便利です。
5. オープンプラン
仕切りの少ないデザイン: 壁や仕切りを最小限に抑え、開放的なオープンプランを採用することで、空間に広がりを感じさせます。
6. 透明な素材
ガラスやアクリル: 透明な素材を使うことで、視覚的にスペースが広く感じられます。ガラスのパーティションやアクリルの仕切りなどが有効です。
7. 垂直方向の利用
高い棚や収納: 壁面を縦に利用して、高い棚や収納を作ることで、床面積を広く保ちながら収納力を高めることができます。
8. パターンとテクスチャー
ストライプやグラデーション: 壁や床にストライプやグラデーションのパターンを使うと、空間に動きが生まれ、広がりを感じやすくなります。
これらの方法を組み合わせることで、コンパクトなスペースでも開放感を持たせることができます。
待合室と診療室と緩やかに場の空気感を変える、クリニック
クリニックのデザインにおいて、待合室と診療室の空気感を緩やかに変えるためには、以下のポイントに注意すると良いでしょう。患者さんがリラックスできるようにしながら、機能性と快適さを両立させることが重要です。
1. ゾーニングとレイアウト
待合室: リラックスできる雰囲気を作るため、広めのスペースを確保し、適度なプライバシーを持たせるレイアウトが望ましいです。座席の配置に工夫を凝らし、視覚的な区切りを作ることで、より落ち着いた空間が生まれます。
診療室: 医療行為が行われるため、機能性を重視しつつも患者さんの緊張を和らげるようなレイアウトを心がけます。診療スペースをプライバシーが確保された場所に配置し、機器や収納の配置を工夫することで、スムーズな診療が可能になります。
2. 色と素材
待合室: 温かみのある色合いや、落ち着いたトーンを使用することで、リラックスできる空間を演出します。木材や柔らかいカーペットなど、自然な素材を使うと、よりリラックスできる雰囲気が作れます。
診療室: クリーンでシンプルな色合いを用いると、医療行為に適した清潔感を保ちつつも、冷たすぎない印象を与えることができます。例えば、白や淡いブルーの壁色に、アクセントとして温かみのある素材を使うことが考えられます。
3. 照明
待合室: ソフトで間接的な照明を使用し、リラックスできる雰囲気を作ります。自然光を取り入れるための大きな窓や、落ち着いた照明器具を選ぶと良いでしょう。
診療室: 明るい照明が必要ですが、直射光を避けるために、調光可能な照明や、柔らかい光を提供できるランプを使うと、快適に診療を受けることができます。
4. 音環境
待合室: 穏やかな音楽や自然音を流すことで、リラックスできる空間を提供します。音響設備を工夫して、静かな空間を保つことが大切です。
診療室: 背景音を抑え、医療行為に集中できる環境を作るため、音の拡散や音響対策を行います。診療中に患者さんに安心感を与えるため、柔らかい音楽やホワイトノイズを取り入れることもあります。
5. インテリアと装飾
待合室: インテリアには、リラックスできる家具やグリーン(植物)を取り入れると良いでしょう。アートやデコレーションも、穏やかで落ち着いた雰囲気を作るのに役立ちます。
診療室: シンプルで機能的なデザインが基本ですが、患者さんが安心できるようなデコレーションや、リラックスできる要素(例えば、風景画など)を取り入れると良いでしょう。
6. プライバシーとアクセシビリティ
待合室: 視線が交錯しにくいように工夫し、個々の患者さんのプライバシーが守られるようなデザインにします。また、リラックスできる空間を作ることで、ストレスを軽減することができます。
診療室: 完全にプライバシーが確保されるようにし、患者さんがリラックスできるようにします。バリアフリーの設計も考慮し、すべての患者さんがアクセスしやすいようにします。
これらの要素をうまく組み合わせることで、待合室と診療室それぞれに適した空気感を作り出すことができます。
アーチをつくる事で場の印象を変える
アーチを取り入れることで、空間の印象を大きく変えることができます。アーチは視覚的な魅力を高め、空間に深みや優雅さを加えるだけでなく、機能的にも使える場合があります。以下に、アーチを使って空間の印象を変える方法を詳しく説明します。
1. デザインの種類
アーチ型ドアや窓: 従来の四角い枠からアーチ型にすることで、空間に柔らかさと優雅さを加えます。アーチ型の窓やドアは、クラシックな印象を与えると同時に、視線を上に引き上げ、天井が高く感じられます。
フルアーチ vs. セミアーチ: 完全なアーチ(フルアーチ)と半円形のアーチ(セミアーチ)など、アーチの形状によって空間の印象は異なります。フルアーチはより豪華で歴史的な感じを与え、セミアーチは現代的でシンプルな印象を与えます。
2. 空間の仕切り
柔らかい仕切り: アーチを使って部屋やエリアを仕切ることで、開放感を保ちつつもエリア分けができます。例えば、リビングとダイニングエリアをアーチで仕切ると、視覚的に空間が広く感じられます。
間仕切りとしてのアーチ: 高い天井を持つ空間では、アーチ型の間仕切りを使うことで、より立体的な分割が可能です。アーチは視覚的に開放感を持たせつつ、機能的なゾーニングを提供します。
3. 装飾的な要素
装飾的なアーチ: アーチの上部に装飾を施すことで、さらに豪華さや特徴を加えられます。例えば、アーチの周囲にモールディングや彫刻を追加することで、空間に歴史的な趣やエレガントさをプラスできます。
照明との組み合わせ: アーチ型の照明器具を使うことで、アーチそのものがアクセントとなり、空間に独自の雰囲気を加えることができます。
4. 視覚的な効果
空間の広がり: アーチは視覚的に空間を広げる効果があります。特に小さな部屋や狭い通路にアーチを取り入れると、天井が高く感じられ、広がりを感じさせます。
視線の誘導: アーチの形状が視線を上に引き上げ、部屋全体がより広く感じられるようになります。高いアーチは空間に高さを加え、壮大さを演出します。
5. 素材と仕上げ
素材の選択: アーチの素材を変えることで、空間の印象が大きく変わります。例えば、木材、レンガ、石材など、素材によって温かみや冷たさが変わります。
仕上げの工夫: アーチの仕上げ(ペイント、タイル貼り、モールディングなど)を工夫することで、空間のデザインに一体感を持たせることができます。仕上げによっては、モダンにもクラシックにも仕上げることができます。
6. 機能的な活用
収納スペース: アーチの内側に収納棚やカウンターを組み込むことで、デザイン性と機能性を兼ね備えた空間を作ることができます。
スペースのつなぎ: 大きなアーチを使って異なる部屋やエリアをスムーズに接続することで、空間の連続性を保ちつつ、印象的なつながりを作ることができます。
アーチを使ったデザインは、空間に特徴的な印象を加えるとともに、機能性を高めるための多くの方法があります。空間の目的やスタイルに合わせて、アーチのデザインを工夫することで、素敵な空間を作り出すことができるでしょう。
アシンメトリーの美しさ
アシンメトリー(非対称)は、デザインやアートにおいて特別な魅力を持つ要素です。対称と比べてより動的で自然な印象を与えることができます。アシンメトリーの美しさについて詳しく説明します。
1. 動きとダイナミズム
動きの感覚: アシンメトリーは、空間やデザインに動きやリズムをもたらします。例えば、非対称の形状や配置は、静止しているように見えるものでも動きを感じさせることができます。
視覚的なリズム: アシンメトリーは、視覚的なリズムを生み出し、見る人の目を引きつけます。非対称なデザインは、目が自然に移動する経路を作り出し、興味を引きます。
2. バランスと調和
非対称なバランス: アシンメトリーは、対称がないからこそ逆にバランスを感じさせることができます。デザインや空間の中で、異なる要素が互いに補完し合い、調和を生み出します。
視覚的な重心: 非対称なデザインでも、視覚的な重心がうまく配置されると、全体としてバランスの取れた印象を与えることができます。意図的な不均衡が逆に美しいバランスを生むことがあります。
3. 独自性と個性
ユニークな印象: アシンメトリーは、一般的な対称的なデザインとは異なるユニークな印象を与えます。非対称なデザインは、個性や創造性を表現するのに適しています。
特徴的なデザイン: アシンメトリーを使うことで、デザインが他と差別化され、記憶に残りやすくなります。独自の形状や配置が強い印象を与えます。
4. 自然な美しさ
自然界の模倣: 自然界には多くの非対称なパターンがあります。花の花弁や木の葉の形状など、自然界の美しさを模倣することで、よりリラックスできる、または自然な印象を与えることができます。
不完全さの美: アシンメトリーは、完璧な対称性がないことを自然な美しさと捉えることができます。この「不完全さの美」は、日本の「わびさび」など、いくつかの美的哲学で重要視されています。
5. 視覚的な興味を引く
焦点を作る: アシンメトリーは、視覚的に興味深い焦点を作るのに役立ちます。非対称な要素が視線を集め、注目を集めることができます。
視覚的な興奮: 非対称なデザインは、視覚的な興奮を提供し、見る人を引きつけます。シンプルな対称のデザインに比べ、アシンメトリーはより刺激的です。
6. スペースの使い方
空間の利用: アシンメトリーを活用することで、スペースをより効率的に利用することができます。例えば、非対称な家具配置や収納ソリューションは、機能性と美しさを兼ね備えたデザインを実現できます。
ダイナミックな空間: アシンメトリーなデザインは、空間に動きや活気を加えることができます。特に現代的なデザインでは、非対称なレイアウトがよく使われます。
アシンメトリーの美しさは、デザインやアートにおいて動きや独自性、自然な感覚を生み出す力があります。対称の安定感に対抗する形で、非対称は新しい視覚的体験を提供し、空間やデザインに個性を加えるための強力な手段です。
クリニック設計プロジェクトの解説
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